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なぜ熟成で食品が旨くなるの?氷温熟成、雪室熟成とは?

熟成とは?

熟成が今、食品分野でブームになっています。

従来、熟成というと熟成肉で使われることが多かったのですが、最近では手間がかかっていて、高級感を高めるために、他の食品にも用いられるようになりました。

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熟成とは寝かせることです。エイジングとも呼ばれます。

肉に含まれるタンパク質自体に味はなく、寝かせることによって肉に含まれる酵素によってタンパク質がグルタミン酸などのアミノ酸に分解されると、うま味や甘みが出てきます。
また、柔らかくなるため、食感がアップし、香りも出てきて、見た目も変わります。

熟成の種類

一口に熟成といってもその製造方法にはいろいろあります。

ドライエイジング

ドライエイジングのルーツは米国です。国内の食肉業者が2008年ごろに取り入れました。

温度1~2℃、湿度70~80%の庫内で、送風機を使って1ヶ月以上乾燥させると、表面が黒ずんできて、カビが生え、水分が飛びます。

腐っている表面の数ミリだけを削ると、鮮やかな赤身の肉が姿を現し、ナッツのような香りがします。

旨味のもとになるアミノ酸は熟成前に比べて5倍以上に増加し、肉の繊維がほぐれ、軟らかさも2割増しになります。

熟成により水分が飛び、表面のカットによって、重さは6割ほどに減ります。このため価格は通常よりも約4割高くなります。

ウエットエイジング

肉を真空パックに入れて風を使わずに寝かせるやりかたです。

牛丼店の吉野家では冷凍庫から冷蔵庫に移して約2週間寝かせています。

ファミレスのロイヤルホストはチルド状態(0℃前後)で30日以上寝かせたステーキ肉を熟成と表示しています。

氷温熟成

水が凍り始めるのは0℃ですが、食品は0℃以下になってもすぐには凍らず、各々の食品の固有の氷結点で凍り始めます。
0℃からこの氷結点までの氷温域と呼ばれる温度領域で熟成を行うことができます。

氷温熟成の例として、三重県伊勢市にあるアサリの加工会社では、収穫されたアサリをパッケージに入れた後、海水を凍らせた氷温ジェルアイスと呼ばれる細かい氷を詰めて全国各地に出荷し、輸送段階で熟成され、配送先に届きます。

氷温ジェルアイスは海水を特殊な技術により、直径0.1~0.5ミリ程度の細かい球状に凍らせたもので、温度を-1℃~-2℃の氷温域に保つことができるシャーベット状の氷です。
シャーベット状の氷では通常の氷と比べて隙間が少ないので、融けにくく、24時間経過しても氷温域を保つことができます。

氷温域で冷やすと細胞内の酵素の働きにより熟成され、旨味成分がアップします。

雪室熟成

新潟県など冬に降雪が多い地方では、昔から地面に穴を掘り、この穴に冬に降った大量の雪を入れ、雪が融けにくいように、ワラやムシロで覆った雪室(ゆきむろ)という貯蔵庫を作り、生鮮食品の冷蔵保存に利用されてきましたが、電気冷蔵庫が一般家庭に急速に普及し始めると、雪室は姿を消してしまいました。

しかし、最近、雪室の良さが見直されてきています。
雪室の内部では室温1~2℃、湿度90%前後の状態が安定して保たれていて、食品の貯蔵だけでなく、熟成に利用できることが分かったからです。

牛肉では細胞が傷まず、肉汁が失われません。
じゃがいもは低温が続くとでんぷんがブドウ糖に変わり、糖度が約2倍に増えます。

現在新潟県内にビジネス用として雪室は40個あり、牛肉、じゃがいも以外に米、白玉、お茶など20種類以上の食品を熟成しています。

新潟の中小企業26社が連携して雪室ブランドという独自ブランドを作り、約60種類の商品を販売しています。

雪室ブランドを立ち上げるきっかけになったのがコーヒー豆です。
地元の喫茶店店主が軽い気持ちでコーヒー豆を雪室に入れてみると、風味に驚きの変化がありました。
全体的に丸い感じがし、苦みはあるがワンテンポ遅れてくるようなまろやかさが出るそうです。

成分を分析してみると香り成分の中で不快成分のアルデヒド類が大きく減少しました。
雪がアルデヒド類を吸収したと考えられています。

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熟成の法規制

外食チェーン店や、今まで熟成肉を取り扱っていなかった店が熟成肉を取り扱う例が出てきています。

こうした熟成肉ブームの中で、熟成肉の製造方法、安全管理、品質管理が業者により異なります。

熟成肉は、表面についたカビを取り除いてから提供されますが、このカビの処理が適切でないと、カビも一緒に食べてしまうことになり、衛生面の危険性を指摘する声が上がっています。
 
熟成に関してはハム、ソーセージ、ベーコン類は農林水産省によりJAS規格が決められていますが、その他のものは規格がありません。

このため農林水産省はドライエイジングによる熟成肉の製造方法など一定のルールを設ける検討をしていて、早ければ2016年度中にルールが決まる予定です。

熟成と発酵はどのように違うの?

熟成に似たものに発酵があります。

発酵は微生物の働きにより、食材に含まれるでん粉、糖、タンパク質などの成分が分解して新しい成分に変化することです。

これに対して熟成は微生物が関係する場合と、関係しない両方の場合があり、時間をかけて成分が変化し、それが良い方向に向かうことです。

家で熟成食品は作れるの?

専門家の話では、一般家庭の冷蔵庫内の温度は一定ではなく変動があるので肉が傷みやすく、また、冷蔵庫内はそれほど衛生的ではありません。

このため個人的に熟成食品は安易に作るのはやめた方がよいようです。

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