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カブトガニの血液が医療や薬で人類に大きく貢献!

2016/08/19

カブトガニとは

カブトガニ2016-05-10カブトガニは2億年前から生息していて、シーラカンス、オウムガイとともに生きた化石と呼ばれています。

生きている化石とは何億年も前に繁栄し、現在もなお、その姿を変えずに生き続けている生物のことです。

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名前にカニがつきますが、カニの仲間ではなく、トンボやセミなどと同じ節足動物に分類され、クモに最も近い生き物です。

カブトガニの生息地

カブトガニは、北アメリカの東海岸とアジア大陸の東南海岸だけに4種類しかいません。

米国、メキシコの東海岸では、アメリカカブトガニが、日本、台湾、中国、フィリピン、ボルネオ、インドネシアではカブトガニが、インドのベンガル湾沿岸、ミャンマー、タイ、マレーシア、インドネシアではマルオカブトガニミナミカブトガニが生息しています。

カブトガニは波の穏やかな浅海に広大な干潟と砂浜があるところに生息していて、日本では、元々瀬戸内海一帯と北九州の一部に棲んでいましたが、生息地が次々と埋め立てられ、現在では岡山県、山口県で多く見られます。

現在日本ではカブトガニは絶滅危惧種に指定されていて、佐賀県伊万里市と岡山県笠岡市の繁殖地が国の天然記念物に、愛媛県西条市の繁殖地が県の天然記念物に指定されています。

カブトガニの生態

カブトガニは、一年中干潟などで生活しているわけではありません。

水温が18℃以上になると活動を開始し、活動期は6月中旬から9月一杯までです。

海水の温度が低下するとともに、沖合いの少し深いところにもぐって、餌も食べずに冬眠に入ります。

カブトガニは海中の生きている生物を食べます。視力があまりよくないので、餌を探すようなことはしないで、海底を動き回って胸肢(きょうし)に引っかかったものを食べます。

1~2歳の幼生は、主としてプランクトンや微生物などを食べ、3歳以上になるとゴカイなどの環形動物を食べます。

カブトガニの利用

カブトガニは生きている化石として貴重な生き物ですが、それ以外ではあまり利用価値がないものと、考えられてきました。

日本では農作物の肥料にしたり、夜尿症の薬として殻を粉末にしたものを子供に飲ませるくらいでした。また米国ではウナギの餌にしていたようです。

しかし、その後カブトガニの血液が医学や薬学で脚光を浴びるようになってきました。

カブトガニの血液

人間などの血液には体内に酸素を運ぶために鉄分を含むヘモグロビンが入っているため、赤色に見えますが、カブトガニの血液には鉄の代わりにヘモシアニンという銅の成分が入っていて、これが青色に見えるのです。

カブトガニの医学的研究を最初に始めたのは黄熱病の研究で知られている野口英世氏です。

野口氏は1903年にアメリカカブトガニの血液中にレクチンという物質が含まれることを発見しました。レクチンは細胞を活性化させ、有害な細菌などが体内で増殖するのを防止する働きがあります。

その後、カブトガニの血液について様々な研究が行われました。

1968年に、米国の研究者によりアメリカカブトガニの血液には、大腸菌などの細菌の内毒素(エンドトキシン)がカブトガニの血液を凝固させる成分があることが突き止められました。

内毒素(エンドトキシン)は通常は細胞壁に付着して直接微生物から分泌される毒素ではないので、外部には影響を及ぼしませんが、この成分に免疫系が反応して重篤な症状を起こすことがあるので、毒(トキシン)とされています。

その後の研究により、アメリカカブトガニの血液から取り出したLAL(ラル:カブトガニ血球抽出成分)という試薬により、短時間で細菌の存在を確認することが可能となり、様々なところに利用されるようになりました。

カブトガニの血液が巨大なビジネスに

カブトガニの血液は米国では現在巨大なビジネスになっています。

1ℓの血液が約15,000ドルの価格で売買され、LAL の産業規模は1億5千万ドルとなっています。
毎年50万匹のカブトガニが捕獲され、その血液が採取されています。

カブトガニに与えるダメージを少なくするために、抜き取る血液の量はカブトガニ体内の血液量の30%までとし、血液を採取されたカブトガニは、再び海へ戻されます。

戻されたカブトガニは数ヶ月で元の状態に戻りますが、約15%は死んでしまうようです。

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カブトガニの血液の用途

カブトガニの血液は様々な用途、特に医療分野で利用されています。

医療分野

医療機器、薬品の内毒素の検出

内毒素(エンドトキシン)が体内に入ると免疫系が反応して重篤な症状を引き起こすことがあるので、医療現場では人工腎透析膜のような医療機器や患者に投与する輸液、注射液、ワクチンにはエンドトキシンフリーであることが求められます。

LAL試薬を使用することにより、内毒素があるとLALが反応してゲル状に凝固するのでその存在を知ることができます。

以前はこの検出にはウサギを使っていました。
ウサギに内毒素を接種すると、発熱するという現象を利用していました。
ウサギを使用した検査では48時間もかかってしまいますが、
LAL試薬では1時間以内で検出することが可能となりました。

HIV(エイズ)の治療薬

これはまだ研究段階ですが、カブトガニから抽出したタチプレシン、シコン、トウアズキがHIVの増殖を抑制することがわかっています。

食品

輸入肉や牛乳などの食品の細菌汚染にLAL試薬が使用されています。

水質検査

水道水、井戸水などの検査にLAL試薬が使用されています。

宇宙分野

NASAの科学者、技術者が宇宙で使われた器具が汚染されていないかどうか検査するのにLAL試薬が使用されています。

まとめ

カブトガニが私たちの知らないところで人類に大きく貢献していることは非常に興味深いことですが、何億年も生き抜いてきたこの生きた化石が絶滅しないような方策を考えてほしいものですね。

岡山県の笠岡市に市立カブトガニ博物館があります。

この博物館は、世界で唯一のカブトガニをテーマにした博物館で、カブトガニに関する情報発信や保護、繁殖活動に取り組んでいます。

カブトガニについてもっと知りたい方は、カブトガニ博物館を見学されてはいかがでしょうか。本物のカブトガニを見ることができます。

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