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ステルス戦闘機~仕組みと見破る技術

2016/05/06

日本で初めての国産のステルス戦闘機の試験機X-2の試験飛行が開始されました。

海外では、これまで有人ステルス機の飛行に成功しているのは、米国、ロシア、中国の3カ国だけです。

出典 Wikipedia

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ステルスとは

ステルスは英語ではstealthといい、広い意味では「敵に見つかりにくいこと」を指し、軍事関係では敵のセンサーから見つかりにくいことを表します。

センサーの主なものはレーダーや赤外線センサーです。

レーダーには波長が極めて短いマイクロ波という電波を送信する機能と電波を受信する機能があり、これらを使って物体の位置や大きさを把握することができます。

電波は物体に当たると反射する性質があり、レーダーから電波を送信すると、電波は物体にあたると反射し、返ってきた電波を受信してこれを解析することにより、目標の位置、速度、進行方向などを知ることができます。

ステルスの仕組み

戦闘機でのステルスは、主に反射する電波をできるだけ発信源であるレーダーへ戻らないようにすることです。

ステルス戦闘機はレーダーで捉えようとすると、全くレーダーに映らないということではなく、レーダーで受信する電波が少なすぎて航空機とは認識できず、鳥などの小物体と認識してしまうのです。

ステルス機は電波が来た進路とは異なる方向に反射するように機体表面の形状に工夫を凝らしたり、反射を少なくするために電波を吸収するような素材を使用したり、コーティングをしたりしているのです。

ステルス性能を出そうとすると、機体表面の空気抵抗が大きくなり、戦闘機に求められる高い機動性が損なわれるといった技術的に矛盾するような課題をクリアする必要があります。

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ステレス機を見破る技術

最近は中国やロシアがステルス性能に優れた戦闘機の開発を進めていて、日本としては防空態勢を強化する必要があり、防衛省は、レーダーで捉えにくいステルス戦闘機を探知するレーダーの研究開発を開始すると表明しています。

具体的にどのようなことをするかは明らかにはなっていませんが、次のようなことが考えられます。

レーダーを複数配置する

ステルス機はレーダーからの電波がきた方向へできるだけ反射しないように設計されているので、変な方向へ反射した電波をその電波を送信したレーダーとは異なる別のレーダーで捉えるという方法です。

この時レーダー間をネットワーク接続して発信電波の情報を共有する必要があります。

低周波の電波を使用する

電波は周波数が低い(波長が長い)と物体を透過しやすく、周波数が高い(波長が短い)と物体を透過しにくい性質を持っています。

レーダーでは通常周波数が高い電波を使用しますが、周波数が低い電波を送信すると、ステルス機の機体表面は透過しますが、一部の電波はエンジンなどの大きな金属製の物体に当たって跳ね返ります。
エンジン部分はステルス性はないので、その反射した電波はレーダーがきた元の場所へ返ります。

低周波のレーダー波は反射波としては弱くて、かつては正確な位置は分からなかったのですが、近年、反射波を詳しく分析しつつ、周波数や照射位置をずらしながら解析することで正確な位置を特定できるようになってきました。

レーダーの性能を高める

日本では窒化ガリウム(GaN)を用いてレーダーから送信する電波の出力を高める研究が行われており、ステルス機からの微弱電波レベルを検出できるようになるかもしれません。

戦闘機の状況

日本

戦後日本では独自開発した戦闘機はありません。

現在航空自衛隊の保有している戦闘機はF4、F15、F2です。
F2は当初日本独自に開発する予定でしたが、技術的、政治的問題により米国との共同開発となりました。

F4は1972年から40年以上にわたって運用を続けてきていて、2016年中に導入されるF35Aは、その後継という位置付けで、F4は順次退役していく予定です。

国産ステルス戦闘機の実証機X-2の試験飛行が2016年4月22日に開始しました。
X2は2009年度に試作を始め、約400億円を投じてきた国家プロジェクです。
機体本体は主に三菱重工が担当、エンジンをIHI(旧石川島播磨重工)が担当しています。

この実証機の性能を見極めたうえで、後継機について、独自開発、他国との共同開発、輸入の3つの選択肢から2018年までに選ぶ予定です。
実用化は早くて2030年代とされています。

米国

現在、ステルス機の実用化に成功しているのは米国だけです。
F117とF22の2機種を実用化していて、このうちF117はすでに退役しています。
現在最新鋭F35の試験飛行中です。

中国

ステルス戦闘機J20、J35の試験飛行を行っています。

ロシア

ステルス戦闘機T50をインドと共同開発しています。

まとめ

試験機X-2はF2の後継機をどのようにするのかを検討するための材料として製造されました。
実用化するための技術的ハードルはかなり高そうですが、実用機の開発費用は少なくとも5000億~8000億円もかかるそうです。どのようにして資金を捻出するのでしょうかね。

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