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健康

咀嚼が脳に与える影響とは?

2016/08/26

20150729噛む力

江戸時代の儒学者、医者であった貝原益軒は「日本歳時記」という書物の中で、人にとって健康に生きていくためには、歯で食べものをよく噛むこと、すなわち咀嚼が何より重要であると言っています。

また、最近では噛むということは単に食べた物を噛み砕くだけでなく、脳の中の運動や感覚を司る部分や記憶、思考、意欲に関係する部分まで活性化させることがわかってきています。

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咀嚼することのメリット

咀嚼することにより、唾液が多く分泌され、唾液に含まれる消化酵素が十分働き、体内での消化吸収がよくなり、胃腸の負担が減少します。

唾液には10種類の抗菌物質が含まれており、唾液がたくさん分泌されると、歯周病、虫歯を予防します。

また、咀嚼することにより、あごの骨が丈夫になり、歯並びがよくなります。

これだけに留まらず、よく噛むことは脳に非常に大きな影響を及ぼします。

咀嚼が脳に与える影響

咀嚼することと脳の関係のカギを握るのが歯の根元にある歯根膜という組織です。

歯根膜は歯を守るクッションの役割をするとともに、食べ物の硬さや柔らかさ、噛みごたえなどの情報を感じ取る優秀なセンサーです。

歯根膜の神経は、脳神経の中でも最も太い三叉(さんさ)神経につながっています。

歯が抜けるとこれらの食べ物の正確な情報が脳に伝わらなくなるため、単純な顎の動きで食べられる軟らかいメニューしか食べられなくなります。

歯根膜で受け取った情報は、単に食べ物の情報を脳に送るだけではありません。

咀嚼することで、脳の血流量が増えて脳の神経活動が活発になり、前頭前野と海馬が顕著に活性化し、特に高齢者ほどこの傾向は大きいことが分かっており、よく噛むことは認知症の予防につながると考えられています。

ここで、前頭前野は、さまざまな情報を統合し、物事の判断力、集中力、コミュニケーション力など、社会生活を営む上で不可欠な働きを担っています。

また、海馬は、新しい記憶形成と深く関わっていて、さまざまな情報は、先ず海馬に送られ、短期記憶として一時的に保存された後、大脳に送られて長期記憶として脳に定着します。

一定時間ガムを噛むことも同様に脳の活性化には有効です。

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歯の本数は認知症に関係している

噛むためには歯が必要ですが、最近の研究で歯の本数と認知症の関連が明らかになってきています。

歯の本数が少ないほど、また、咀嚼能力が低いほど、認知症を発症する割合が高くなっているのです。

東北大学が行った高齢者を対象にした歯の本数と認知症の関係を調べた研究によると、認知症でない健康な人では平均14.9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある人では9.4本と明らかな差が見られました。

また、愛知県知多半島に住む65才以上の高齢者を対象にした4年間の追跡調査では、歯がほとんどない人の認知症の発症リスクは20本以上歯が残っている人の約1.9倍高いことが明らかになっています。

ちなみに日本人の歯の本数は28本(親知らずは含めない)です。

噛み合わせとアルツハイマー病の関係

岡山大学のラットを使った研究によると、噛み合わせを悪くすると、アルツハイマー病の原因物質といわれるアミロイドβが脳の海馬に溜まり、噛み合わせをよくするとアミロイドβが減少し、元の正常な状態に戻ることが確認されています。

噛み合わせが悪いと、人間でも認知症が悪化する可能性が高いということです。

噛み合わせと運動能力の関係

東京医科歯科大学の上野俊明准教授によると、
スポーツで勝敗に大きく影響するのは筋力で、筋力は元々持っている筋力の強さと、試合の時の興奮性により加算される筋力の足し算で決まります。

元々の筋力はトレーニングにより強くするしかありません。
一方、興奮性の筋力は、その人に合った、特性のマウスピースを使用することにより、上下の歯を噛み合わせた時の面積を増やして強く食いしばるようにすると、歯から脳へ伝わる信号量が増えることにより脳を刺激し、脳から筋肉への信号量が増えると、興奮性の筋力を増やすことができることが長年の研究から分かっているそうです。

元巨人軍の王貞治氏は現役時代に試合では歯を食いしばってボールを打つので奥歯がボロボロになり、シーズンオフには歯の治療をしていたというような逸話もあります。


このように歯で噛むということは非常に重要なことなのです。

噛むことにあまり気にかけていない現代人は、あらためて噛むことの意味を見直してみる必要がありそうです。

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