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鹿は害獣なのに奈良公園ではなぜ天然記念物に指定されているの?

2016/10/28

20150513シカ日本における鹿の生息地は、北は北海道から南は九州、対馬まで広く分布しています。

鹿と言えば奈良公園の鹿が有名で、国の天然記念物に指定されています。

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奈良公園にはなぜ鹿がいるの?

奈良公園周辺に鹿が棲みつくようになったのは以下のように伝えられています。

710年平城京遷都の時、春日大社が作られました。この時、都の守護神として神様の中でも特に武勇の誉れ高いタケミカヅチノミコトを招くことになりました。

タケミカヅチノミコトは茨城県の鹿島神宮に住んでいて、奈良まで行くのに乗り物に選ばれたのが鹿島神宮の森にすんでいた一頭の白い鹿でした。

この白い鹿がその後、春日大社の森で子孫を殖やし、これが奈良の鹿のルーツだと伝えられています。

現在、奈良公園の鹿は約1200頭生息しています。これらの鹿は飼われているわけではなく、全て野生の鹿です。特別な種類ではなく普通に生息しているニホンジカです。

終戦直後、鹿の数は二桁まで減少しましたが、奈良の鹿愛護会などの地道な保護活動によりその後増加し、ここ二十数年は1000頭前後で推移してきています。

雄と雌の頭数はアンバランスで、雌の頭数は雄の約3.5倍です。

人間と同じく鹿も雌の方が雄より長生きで、平均寿命は雄が約15才に対して、雌は約20才で、長生きするものは28才くらいまで生きます。

5月下旬~6月上旬にかけて出産のピークを迎え、毎年約200頭前後の子鹿が誕生しています。

奈良公園の鹿はなぜ天然記念物に指定されているの?

鹿は森林資源や農作物を食い荒らしたりして、害獣とみなされており、鹿狩りがされたりしています。

しかし、一方奈良公園の鹿は国の天然記念物に指定され、保護されています。

天然記念物に指定されているのは以下の理由によります。

先に記したように、1300年前にタケミカヅチノミコトが奈良に来るときに乗っていた鹿が奈良公園の鹿のルーツとして言い伝えられています。

平安時代になって都が京都に移った後も、京都の貴族は奈良の鹿をありがたい神様の鹿(神鹿)として敬い続けました。

奈良ではその後、貴族だけでなく庶民の間でも鹿を敬う信仰が広まっていきました。

鹿は人によく馴れ、奈良公園の風景の中にとけこんで、日本では数少ないすぐれた景観を生み出しています。東大寺の大仏とともに年間1300万人以上の観光客が訪れる観光都市・奈良の観光の目玉となっています。

このようなことから奈良公園周辺の鹿は「奈良のシカ」として1957年に国の天然記念物に指定されました。所在地は奈良市一円となっています。

奈良公園の鹿の中には周辺の農作物を荒らしたりするものがありますが、問題のある鹿は奈良の鹿愛護会のスタッフにより、鹿苑内に収容し、保護され、問題が起こらないようにされているのです。

鹿の角きりはいつから始まったの?

角が生えるのは雄鹿のみで、雌には生えません。角は1年で生え変わり、若い鹿は20cm程の長さですが、年齢を重ねるにつれて大きな角が生えるようになります。

9月から12月にかけて雄鹿は発情期を迎え、角は凶器となります。
観光客や周辺住民に危害を加えたり、鹿同士が角を突き合わせて死傷することがあるので、春日大社の境内の鹿苑で3か月ほどかけて鹿の角きりが実施されます。毎年10月には一般公開されます。

年間約200頭の雄鹿の角がのこぎりで切られています。
人間が爪を切るように鹿は角を切られても、痛くないのだそうです。

この角きりは江戸時代の1671年(寛永11年)から始まりました。
鹿を数人がかりで抑え込んで、のこぎりで鹿の角を切るこのやり方は江戸時代から変わっていません。

切った鹿の角は商品として販売されます。価格は1000~10万円くらいです。
2016年から奈良市のふるさと納税の返礼品にもなっています。

鹿寄せ

ホルンを吹いて鹿を集める鹿寄せは1892年(明治25年)に鹿園竣工奉告祭でラッパを使っておこなわれたのが始まりです。

集まってきた鹿たちには、ごほうびとしてどんぐりが与えられます。
鹿寄せの場所は、春日大社境内の「飛火野」です。

冬と夏のキャンペーン期間中(2週間から1か月程度)料金は無料です。
1回約15分程度です。

キャンペーン期間以外で鹿寄せを見たい場合は、奈良の鹿愛護会に予約を入れると1回2万円で見ることができます。

鹿せんべい

奈良公園の鹿は飼われているわけではないので、芝生の草やどんぐりなどの自然の植物を食べて生きています。

奈良の鹿愛護会では鹿寄せの時に、どんぐりを与える以外では餌を与えることはありません。

鹿せんべいは鹿の大切なおやつで、奈良公園周辺の土産物店などで販売されています。

鹿せんべいの材料は米糠と小麦粉です。水で溶いて焼き上げられ、着色料、香辛料、調味料は一切入っていません。人間でも食べられますが、味は全くないのでおいしくありません。

価格はどこの店で買っても十枚一束で150円です。奈良の鹿愛護会で扱っている証紙が十字に巻かれています。

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鹿の糞は誰が片付けるの?

1頭の鹿が1日に排出する糞は700~1000gです。約1200頭だと1日では合計840kg~1.2トン、1年間で300トンをはるかに超えます。しかし糞の掃除は誰もしていません。

鹿が糞をすると大きさ5~30mm位のコガネムシが糞に潜り込み、黒豆の大きさの糞を1日で分解してしまいます。

ハエが産み付けた卵も一緒に食べてしまうので、ハエの発生も防ぎます。

奈良公園の約79ヘクタールに及ぶ園内の芝地の芝刈りを業者に委託すると、年間100億円もの費用が必要ですが、鹿が芝を食べてくれるため、芝刈り作業は不要なのです。

このように奈良公園では鹿と芝とコガネムシが互いに共生しあって自然が守られています。

奈良公園の鹿が抱える問題

奈良公園の鹿は千年以上の歴史があり、なんとか人間とうまく共存してきました。
しかし、問題はたくさんあります。

春は出産後の雌鹿が我が子を守るため、秋は雄鹿が発情期に入るため、気が荒くなっていて人に襲いかかることがあります。

公園内には道路があり、車は増える一方です。鹿が被害に遭う交通事故は年間150件以上発生しています。

鹿の食べものは人間が食べるものとは異なります。観光客が持ってきた食べものを食べたり、ビニール袋などのゴミを、エサと勘違いして誤飲することがあります。

奈良公園には、鹿の誤飲事故を防ぐために、ゴミ箱は設置されていません。

公園の外辺部では餌を与える人が多いと、鹿が集まるようになり、農作物を荒らしたりして鹿害が増えます。

鹿苑(ろくえん)

春日大社の石燈籠の並ぶ参道の南側には柵で囲われた鹿苑(ろくえん)という保護施設があります。

ここでは、病気の鹿、交通事故などで怪我した鹿、妊娠している鹿、生まれたばかりの赤ちゃん鹿、奈良公園周辺から遠く離れた場所へ行き、農作物を荒らした鹿など300頭以上の鹿が収容され、保護されています。

「鹿の角きり」はここで行われ、鹿のことが詳しく分かる資料展示室もあります。入場は無料です。

鹿苑は奈良の鹿愛護会により運営されています。

奈良の鹿愛護会は奈良の鹿を保護するために1891年に設立され、県や市、春日大社などの補助金によって運営されている財団法人です。

鹿苑は「奈良の鹿愛護会」により運営されています。
奈良の鹿愛護会は奈良の鹿を保護するために1891年に設立されました。

愛護会の運営には年間約1億円かかり、県や市、春日大社などの補助金のほかに
角、鹿せんべいで得た収入で運営されています。

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