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宇宙エレベーターの仕組みとは? いつ実現するの?

2016/06/28

宇宙エレベーターとは?

20150831宇宙エレベータ


宇宙エレベーターって聞いたことありますか?

宇宙エレベーターは軌道エレベーターとも呼ばれています。

ケーブルを使って地上と宇宙との間をつなぐ未来の乗り物で、実現すると日帰りの宇宙旅行が可能になります。

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赤道付近にアースポート呼ばれる宇宙エレベーターの出発点を建設し、時速200kmで国際宇宙ステーション(ISS)と同じくらいの高度400kmの地点まで上昇します。

宇宙エレベーターは箱のようなものに車輪が付いている昇降機(クライマー)が車輪でケーブルを挟んで上に上がっていく、いわば天空へ上がるモノレールのようなものです。

宇宙エレベーターの考えは新しいものではなく、1895年に当時ソ連の科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキー氏が自著の中で宇宙エレベーターのことを記載しています。

宇宙エレベーターの仕組み

地球を周る人工衛星は、地球の重力と、遠心力でバランスが保たれているため、高度を維持し続けながら地球の周りを回り続けています。

人工衛星のうち赤道上の高度約3万6000㎞を回る人工衛星は、周期が地球の自転と同じで、地上に対して静止しているように地球の周りを回っているため静止衛星と呼ばれ、静止衛星が回る軌道を静止軌道と呼びます。

静止軌道上から、地上へ向けてケーブルを垂らしたとすると、吊り下げたケーブルの分だけ、地球に向いている側がやや重くなり、そのままでは徐々に地球の重力に引かれて落下してしまいます。そこで、静止軌道上から地球とは反対側にもケーブルを伸ばしてバランスをとれば、静止軌道の高度を維持して回り続けられます。

バランスを保ちながらこの両方のケーブルを徐々に伸ばし続けると、地球の方へ伸ばしたケーブルは地上に到達します。

この方法は当時のソ連の科学者アルツターノフ氏が1960年に発表しました。

この静止軌道と地球の間のケーブルに昇降機(クライマー)を取り付け、人や物資を輸送できるようにしたものが宇宙エレベーターです。

1979年に英国のSF作家アーサー・C・クラーク氏はアルツターノフ氏の考えを基に、宇宙エレベーターをテーマにした小説「楽園の泉」を発表し、これがきっかけになり宇宙エレベーターは世に広く知られるようになりました。

静止軌道から地球までは3万6000kmですが、上方にもケーブルを伸ばさなければならないため、宇宙エレベーターのケーブル長は全部で10万kmの長さが必要となります。
幅が数cmのケーブルでも重さは7000トンにもなります。

しかし、この重さに耐えられる強度を持つ素材が存在せず、その実現性が困難だったため、宇宙エレベーターはあまり話題にされることはなくなりました。

カーボンナノチューブの発見で宇宙エレベーターが再び注目

1991年に日本の研究者の飯島澄男氏によりカーボンナノチューブという軽量かつ極めて強度の高い新素材が発見されました。

カーボンナノチューブは炭素同士の結合が強く、重さは鉄の5分の1で、20倍以上の強さをもつといわれています。

このカーボンナノチューブの発見により、宇宙エレベーターは理論的には十分実現可能なものであり、技術開発をすれば手の届く領域にあると考えられようになりました。

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宇宙エレベーターのケーブルの作り方

建設用の宇宙船をロケットで静止軌道に送り込み、そこから地球側へケーブルを伸ばすと同時に、地球側の反対側にも同時にケーブルを伸ばして、バランスを取ります。

最初に張るケーブルはロケットに載せられる重量の関係で十分な強度のものではなく、薄いケーブルを何百回も貼り合わせて太くしていきます。

そして2030年から2050年の20年の歳月をかけて最終的に1本のケーブルの重さが7000トンになるまで貼り合わせます。

宇宙エレベーターの必要性

現在、国際宇宙ステーション(ISS)などの静止衛星に物資や人間を運ぶ手段としては
宇宙ロケットしかありません。
宇宙エレベーターはロケットと比較してさまざまなメリットがあります。

環境破壊の心配がない

固体燃料ロケットが出す塩素ガスは、オゾン層と化学反応を起こし、オゾン層を減少させる恐れがあります。宇宙エレベーターはこの心配がありません。

効率が良い

宇宙ロケットは、大気圏を脱出するために多量の燃料を必要とします。
全重量の約9割が燃料を占めており、乗り物として見た場合の効率は非常に悪いのです。

宇宙エレベーターの場合、昇降機が上がったときに使ったエネルギーは下りる際の勢いを利用して回収することができ、外部からのエネルギー供給も可能であるため、ロケットに比べて遙かに効率良く物資などを運ぶことができます。

ある試算によると、1kgの物を国際宇宙ステーションの高さまで運ぶのにかかる費用はロケットでは約100万円かかるのに対して、宇宙エレベーターでは約1万円で済むのだそうです。

天候に影響されにくい

ロケットの打ち上げは、天候に影響されやすくスケジュール通りにいかないことが多いのですが、宇宙エレベーターは、ロケットほど天候の影響を受けません。

宇宙エレベーターはいつ実現するの?

米国では宇宙エレベーターの建設を目的とした会社(Liftport社)などが設立されています。
NASAは宇宙エレベーター建設に必要な技術を民間に開発させるために、2005年より宇宙エレベータ競技会に数十万ドル以上の賞金を提供しています。

同じような動きは欧州宇宙機関でも始まっており、2008年からのヨーロッパ版宇宙エレベータ競技会の準備が始まっています。

日本では東京スカイツリーを作った大林組が2012年2月に宇宙エレベーター建設構想を発表しました。
それによると建設費は10兆円で、建設着工は2025年完成は2050年をめざしています。
現時点では多くの技術的課題が残されています。

宇宙エレベーターの課題

昇降機のエネルギー供給方法

昇降機に太陽電池を取り付け、これにレーザー光線を当てると電力に変換され、
このエネルギーで昇降機を動かす方法やマイクロ波を使う方法が検討されていますが、いずれも既存の技術で解決できる課題です。

ケーブルの材料

先に記載しましたようにケーブルの材料としてカーボンナノチューブが使える可能性がでてきましたが、すぐに使えるわけではありません。

カーボンナノチューブは現在、電池材料、タッチパネル、薄型テレビなどに不可欠なレアメタルの代替品などに使用されていて、短いものは作成できますが、長くするのが難しいのです。現時点では2cm程度までしか長くできていないようです。

このような状態から10万kmのケーブルを作ろうとしているのです。

2015年5月より国際宇宙ステーション(ISS)にて、カーボンナノチューブの耐久性実験が開始されています。
   
宇宙エレベーターの実現まであと三十数年ありますが、工事を着工する2025年までには技術的課題をクリアしなければなりません。非常に技術的ハードルは高いようです。
今後の動向に注目していきたいと思います。

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