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廃棄物カニ殻から抽出した新素材「キチンナノファイバー」とは?

20160120キチンナノファイバー
ワールドビジネスサテライトで「キチンナノファイバー」について放送されましたのでご紹介します。

カニを食べた後のカニ殻は今まで捨てられていました。しかし、鳥取大学の伊福伸介准教授はこのカニ殻からキチンナノファイバーという新素材を抽出することに成功しました。

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キチンとはカニ、エビなどの甲殻類の外皮を構成する主成分です。このキチンを繊維の状態で取り出すことに成功しました。
このキチンナノファイバーの繊維は人の髪の毛の1万分の1(10~20 nm)の太さです。

キチンナノファイバーの作り方

カニ殻に含まれるカルシウム、タンパク質などを3日程度かけて取り除くと、繊維状のキチンだけとなり、カニ殻は真っ白になります。これを水とともに細かく砕いてできたものがキチンナノファイバーです。

キチンナノファイバーの特徴

繊維が極細

0.5ccのキチンナノファイバーには、なんと地球一周分の長さに相当する繊維が含まれています。
いかにキチンナノファイバーが極細の繊維かが分かります。

高い保湿力

キチンナノファイバーを皮膚に塗ると極細繊維の保護膜ができ、皮膚からの水分の蒸発を防ぐことができます。即ち、高い保湿力を持たせることができます。
効果を測る実験では保湿力が4.5%上りました。

伊福准教授はメーカと共同開発をすすめ、2015年9月にキチンナノファイバーを使った乾燥性敏感肌用の保湿液が商品化されました。

キチンナノファイバー研究のきっかけ

伊福准教授はセルロースナノファイバーの第一人者である京都大学の矢野教授の元で学びました。
セルロースナノファイバーは鋼鉄並みの強度がある植物由来の繊維です。

2007年に鳥取大学の採用面接に向かう電車の車内で、研究テーマを考えていた時、
鳥取といえばカニ、カニと植物の主成分である繊維質は非常によく似た化学構造であることを知っていたので、カニからでもナノファイバーが取り出せるはずだと考えたそうです。

着任後、地元の旅館を回って材料であるカニ殻を集めたり、同じキチン質のエビを大量購入し、開始後1ヶ月でナノファイバーの抽出に成功したそうです。

カニ殻は従来あまり有効活用されていませんでしたが、新素材キチンナノファイバーの開発により新たな光が当たるようになってきました。

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キチンナノファイバーの新しい活用法

スマートホンの画面

シート状にしたキチンナノファイバーを樹脂の原液に浸すと透明になります。
キチンナノファイバーは鋼鉄並みに硬く熱にも強いので、透明にすればスマートホンなどの画面に応用できます。

その他の応用

キチンナノファイバーには以下のような効果が確認されていて、いろいろなことへの応用が期待されています。
・傷に塗ると治りが早くなる。
・ダイエット効果がある
・植物にかけると成長が早くなったり、病気が少なくなる。

キチンナノファイバーはカニの殻からできていますが、タンパク質、カルシウム分を全てとり除いているので甲殻アレルギーの方でも問題はなく、また、カニの臭いもしないそうです。

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出典
ワールドビジネスサテライト

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