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教養・雑学

海水を飲めない理由~飲めば飲むほど喉が渇く!


海のど真ん中で遭難した時、水分を含んだ食べ物や飲料水がなくなってしまって、水分を補給できなくなると、脱水症状を起こして死んでしまいます。

この場合、海水を飲めばよさそうなものですが、残念ながら海水を飲むことはできません。ではなぜ海水を飲んで生き延びることができないのでしょうか。

ここでは海水を飲めない理由を記載しています。

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体内の塩分濃度のコントロール

人体の約60%は水分です。

このうちの約2/3は、細胞内にある細胞内液として、残りの約1/3は血液や細胞間の体液である細胞外液として存在しています。

細胞内液と細胞外液とは細胞膜という半透膜を隔てて存在しています。

半透膜は小さな粒子だけが通過できる小さな穴のあいた膜です。

濃度の異なった2種類の液体が半透膜を隔てて、隣り合わせに置かれていると、お互いに同じ濃度になろうとする力が働きます。これを浸透圧といいます。

浸透圧の強さは液中に存在する粒子の数に比例します。

細胞内液は主にカリウムイオンを含み、細胞外液は主にナトリウムイオンと塩素イオンを含んでいて、食塩水とほぼ同じ成分です。

細胞内液と細胞外液の水分は半透膜である細胞膜を通って、行き来できますが、通常はその両液の浸透圧のバランスが取れているので、水の行き来はありません。

細胞外液の塩分濃度は0.9%に保たれていて、これを浸透圧で感知し、浸透圧を一定に保つことにより、塩分濃度はコントロールされています。

浸透圧はおよそイオンの総和に等しく、細胞外液の主要なイオンはナトリウムなので、浸透圧が一定に保たれれば、ナトリウム濃度も一定に保たれることになります。

細胞外液のナトリウム濃度が上昇すると、体内のセンサーが働いて、ナトリウム濃度を下げるための水分が必要となります。

これは腎臓における水分の再吸収を増やして尿の量を減らして、細胞外液の水量を増やすことにより、濃度、つまり浸透圧を一定に保って安定させようとします。

また、脳から喉が渇いたという指令が出され、水分の補給を促します。

逆に体液のナトリウム濃度が下がると、ナトリウム濃度を上げるために、腎臓における水分の再吸収を減らして尿の量を増やすことにより、細胞外液の水量を減らして浸透圧を一定に保って安定させようとします。

腎臓の働き

心臓から腎臓に流れてきた血液は糸球体でろ過され、細尿管へと流れていきます。

この時、血液中の血球やタンパク質はろ過されませんが、それ以外の液体成分の大半はろ過されます。こうしてできたものが尿の元になる原尿です。

糸球体でろ過されてできた原尿は、細尿管で再吸収され、残ったものが尿として排泄されます。

再吸収とは、原尿に含まれている物質のうち必要なものを血管に戻して、尿として捨てないようにする働きです。

細胞外液の浸透圧の調整は、原尿の再吸収による水分の調整で行われます。

海水を飲めない理由

海水の塩分濃度は約3.5%と、人間の体液の塩分濃度0.9%より高いため、海水を飲むと体液のナトリウム濃度が上昇します。

このため、海水を飲むと細胞外液の塩分濃度を下げるために、腎臓で原尿の再吸収を増やし、尿の量を減らして、細胞外液の水量を増やすことによって浸透圧を一定に保とうとします。

海水を飲んで、細胞外液の塩分濃度が高まると、体内のセンサーが働き、のどの渇きとなって現れます。

海水を飲み続けると、さらに喉の渇きが増し、細胞外液の浸透圧がより一層高まります。

腎臓ではほとんど原尿を100%再吸収されるように働き、尿となって排泄される水分がほとんどなくなることになります。つまり腎臓の排泄機能がなくなり、老廃物が溜まり尿毒症に陥ることになります。

また、細胞内液と細胞外液の浸透圧のバランスが崩れるので、細胞内にある水が細胞の外へ出ていき、細胞内は脱水状態に陥る危険な状態になります。

細胞内が脱水状態になると、細胞の核の崩壊などを起こして細胞が壊れていきます。

また、脳細胞が障害を受けると脳症をきたし、神経の異常、痙攣、昏睡が見られ、悪化すると死亡することもあります。

以上のことから、真水がない時に海水を飲みながら生き続けることはできないのです。

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クジラなどの海洋性哺乳類はどうしているの?

クジラのような海洋性哺乳類は、体液の塩分濃度は人間とほとんど同じです。

海水を飲んでも、余分な塩分を排出することができます。

これらの哺乳類は人間より高濃度の塩を含む尿を排出することで、余分な塩分を体外に排出し、体外液の浸透圧を維持しているのです。

人間の腎臓では、1000mℓの海水中の塩分を排出するには、海水中の水以外に、体内からの水が350mℓも必要となりますが、クジラでは650mℓの水で余分な塩分を排出し、350mℓの水を体内に残すことができるようです。

また、餌とする魚の体液の塩分濃度は、哺乳類の塩分濃度とそれほど変わらないため、海水を飲むよりは、餌から水分をとり込む方が負荷は少なく済みます。

まとめ

人間の血液などの体液の濃度は常に約0.9%に保たれています。

海水の塩分濃度は約3.5%で、これは人間の体液の濃度0.9%より高いため、海水を飲むと体内の塩分濃度が高くなり、喉が渇くようになります。

腎臓では原尿の再吸収を増やし、尿の量を減らして、細胞外液の水量を増やすことによって浸透圧を一定に保とうとします。

海水を飲み続けると喉の渇きがさらに増し、腎臓ではほとんど原尿を100%再吸収されるように働き、尿が出なくなり老廃物が溜まり尿毒症に陥ることになります。

細胞内液と細胞外液の浸透圧のバランスが崩れるので、細胞内にある水が細胞の外へ出ていき、細胞内は脱水状態に陥る危険な状態になります。

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