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軟骨伝導方式のスマホ、補聴器の商品化は?

20160203軟骨伝導
耳の軟骨の振動を使って音を聞く「軟骨伝導」という気導、骨伝導に続く第3の聴覚が注目されています。

これは、奈良県立医科大学学長の細井 裕司氏によって発見されものです。

この軟骨伝導技術を使ったスマートフォンや補聴器の開発がすすめられています。

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音源から耳への3種類の伝わり方

気導

私たちが音を聞く最も一般的な伝わり方は、まず音が空気を震わせて、その振動が鼓膜に伝わり、内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分で信号として神経に伝えられて脳で音として認識されるます。

骨伝導

音は頭蓋骨から蝸牛に伝わり、この蝸牛で神経信号に変換されて脳に伝えられ音として認識されます。この場合鼓膜は通りません。

軟骨伝導

振動部分を耳の軟骨部(耳は耳たぶ以外は軟骨でできている)に接触させると、耳の軟骨がスピーカの役目を果たし、その振動が耳の穴の中の空気を振動させて音が発生し、鼓膜を揺らして蝸牛に届き、神経に伝えられて脳に届きます。

奈良県立医科大学学長の細井氏は耳鼻科医で約10年前に軟骨伝導の仕組みを発見しました。

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軟骨伝導の応用

補聴器

難聴患者のうち推定で約35万人の人は生まれつき耳の穴がふさがっていたり、耳の穴から膿が出るなどの理由で通常の補聴器が使用できないため、これまでは骨伝導補聴器を使用するのが一般的でした。

骨伝導補聴器では頭蓋骨全体が振動して、左右の耳にほとんど同じ音が伝わってしまうので、左右の音の微妙な差がわからず、うまく反応できないというデメリットがあります。

奈良県立医科大学とメーカとの共同開発で軟骨伝導方式補聴器が開発されました。

軟骨伝導方式の補聴器は両耳に装着すると、これまで分かりにくかった音の方向が判別できるようになり、また、音漏れがしにくく、漏れた音をマイクが拾って、それが増幅すると起こるハウリングが起こらないという特長があります。

骨伝導方式の補聴器では振動子を強く押し当てる必要があるので耳が痛くなりますが、軟骨伝導方式では軽くあてるだけでよいので、耳が痛くなるようなことがありません。

軟骨伝導方式の補聴器は現在臨床試験中で、2016年に商品化の見込みらしいです。

スマートフォン

電子部品メーカのロームが軟骨伝導を適用したスマートフォンを試作しました。
スマートフォン上部の角に振動子を取り付け、この振動している部分を耳の軟骨に接触させると音が聞こえるのです。

スマートフォンを耳から離すとスマートフォンからの音は全く聞こえません。
つまり、周囲には音漏れがないのです。

このスマートフォンが期待されているのは周囲が騒々しい場所での通話です。
周囲が騒々しくても明瞭に聞き取ることができます。

耳の軟骨の振動により耳の穴の中で音が発生するので、周囲の騒音の影響は受けないのです。
また、周囲への音漏れを気にすることもありません。

ロームのホームページで、2012年4月23日付けの「軟骨伝導を適用したスマートフォンを新提案」の記事の中で、「関連特許30件余りを出願するとともに、様々なセットメーカーに商品化を提案していく予定です。…最適なドライバおよびこれを含む電源IC等の開発を進めています。」との記載があります。

メーカから軟骨伝導方式スマートフォンの発売が待たれるところです。

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骨伝導って?~基礎知識と応用例

出典
NHK サイエンスZERO 軟骨で聴く!?超音波も聞こえる!??新しい聴覚が広げる音の可能
ローム 軟骨伝導を適用したスマートフォンを新提案

-サイエンス