トレンドピックアップ

気になる話題、旬の情報をお届けします。

サイエンス

電流発生菌(発電菌)が電気を起こす~微生物燃料電池

2016/04/25

シュワネラ菌 http://www.athome-academy.jpより引用


燃料電池はご存知じと思いますが、この燃料電池と原理は似ていますが、その反応に微生物の力を借りて電気を作り出すという微生物燃料電池の研究が東京薬科大学の渡邉一哉教授が中心となって進んでいます。

この微生物燃料電池は有望な再生エネルギーとして注目を集めています。

スポンサードリンク

電流発生菌(発電菌)とは

すべての生物は、生きるためにエネルギーを必要とします。

人間の場合は毎日の食事という形で有機物を摂取して、これを酸化分解してエネルギーを得て、この時電子が発生します。呼吸によって体内に取り入れた酸素に電子を渡すことによりエネルギーを得ているのです。
酸素がなければ有機物からエネルギーを取り出すことはできません。

電流発生菌は有機物を分解し、電子を外部に捨てることで、自分自身が生きるのに必要なエネルギーを得ています。その際に発生する電子は電極で回収して電流として取り出すことが可能です。

電流発生菌は地中や水中などの身近な場所に棲んでいるどこにでもいる微生物です。

電流発生菌の代表的なものがシュワネラ菌です。

シュワネラ菌は2000年頃ニューヨーク近郊の湖底で発見され、酸素がない環境下で
電極呼吸(電極に電子を渡すこと)することでエネルギーを得られることが分かりました。

微生物燃料電池

一般の燃料電池は水素と酸素が反応して発電しますが、微生物燃料電池は電流発生菌に有機物をエサとして与えると発電します。

電流発生菌の培養液中に正極(カソード)と負極(アノード)の電極を設置して、そこに電流発生菌のエサとなる有機物を与えると、負極でその有機物が酸化分解されて電子が発生します。
電子は負極と正極の電位差によって負極から正極に流れるので、その電流を回収して電気を得ることができます。

20160419微生物燃料電池の原理

                微生物燃料電池の原理 http://j-net21.smrj.go.jpより引用

電流発生菌は土壌や水中などにいるので、例えば水田を燃料電池に見立て、実際に発電できることは実証試験で確認されています。

シュワネラ菌のいる100mlの培地に有機物を加えた発電装置では、約0.3Wの発電を行うことが可能です。

これは、同一体積の燃料電池と比較すると10~100分の1ほどの発電効率ですが、発電量としては携帯音楽プレーヤーを聴くことができるレベルです。

スポンサードリンク

微生物燃料電池の応用例

微生物燃料電池が有望視されている用途としては下水処理場の汚水処理です。

汚水の浄化処理は、一般的には微生物に有機物を分解させる活性汚泥法によって行なわれています。

この方法では、微生物により汚水中の有機物を分解するために、空気(酸素)を水中に送り込む曝気(ばっき)に大きな電力が必要となります。

微生物燃料電池ではシュワネラ菌は酸素を必要としないため、曝気は不要となり、電気代を削減できます。

また、活性汚泥法では微生物そのものが有機物を分解して増加するので、最終的に沈殿させて取り除き、廃棄処理しなくてはいけませんが、微生物燃料電池で処理する場合には、発生したエネルギーの一部を電気として取り出してしまうので、微生物そのものの増加も抑えることができるのです。

課題としては電極の素材や触媒のコストが割高になっていてそれらをコストダウンすることです。

今後の研究テーマは電気合成

今は微生物が有機物を分解する際に電子を取り出していますが、逆に電子を流し込むことにより、電気から有機物をつくる光合成のような作用をする微生物がいることが分かってきています。いわば電気合成というようなものです。

将来的には電気から食料ができれば、食糧難対策などに利用できるかもしれません。

スポンサードリンク

-サイエンス