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サイエンス

鮮度を保つ食品を凍らせない新冷凍技術とは?

2016/06/03

なぜ冷凍食品は解凍すると美味しくないの?

20160214冷凍技術
肉を冷凍庫で保存後すると、食材の中の水が凍って氷の結晶となって膨張して、肉の細胞膜を破壊して、中の旨味を逃がしてしまいます。

食べる時に解凍すると、旨味成分と水分がドリップ(肉汁)となって出てしまいます。

このために解凍した食品は美味しくないのです。

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不凍タンパク質

鮮度を保ち、旨味を逃がさないためには食品を凍らせないで冷凍する必要があります。
その一つの方法は不凍タンパク質を使うことです。

不凍タンパク質は氷の結晶の成長を抑制する働きを持っています。

不凍タンパク質の入った溶液に漬け込んだ肉では冷凍しても小さな結晶しかできないので、肉の細胞をあまり傷つけずに済み、ドリップはほとんど出ません。

不凍タンパク質は1969年に南極海に生息するコオリウオという魚の血液の中から初めて発見されました。以来、多くの寒冷地に棲息する生物や植物、昆虫、カビ、キノコなどからも発見されています。

不凍タンパク質の名称は、魚の血液、体液中の凍結温度が、南極海の海水の凍結温度
より低下する現象から付けられました。

この不凍タンパク質の冷凍食品への応用を考えた時、南極海の生物は入手しにくく、コストが高くなります。

関西大学の河原教授は身近な物から不凍タンパク質を含んでいるものを捜した結果、冬野菜の中のカイワレ大根から優れた性質の不凍タンパク質が見つかりました。

カイワレ大根から抽出した植物由来の不凍タンパク質は2012 年 3 月に実用化され、冷凍麺を初めとして、現在は様々な冷凍食品に利用されています。

不凍多糖類

不凍タンパク質は高温処理に比較的弱く、酸性下では活性が低下するという
性質を持っていたため、一部の冷凍食品へ応用することができませんでした。

アラスカに棲むゴミムシダマシという昆虫が持つ不凍多糖類という物質は、氷の成長を防ぐ上に、熱にも強いことがわかりました。

関西大学の河原教授はこの物質を冬が旬のエノキダケから取り出すことに成功しました。

例えば、冷凍の揚げ物では不凍多糖類を染み込ませた、から揚げを通常の冷凍から揚げと比較するとジューシー感が全然違うそうです。

従来、冷凍食品にはできなかった、だし巻きたまごやカマボコなどの冷凍食品が不凍多糖類を使用することできるようになりました。

現在、不凍多糖類を使用した様々な冷凍食品が販売されています。

今後は、不凍多糖類の販売も考えているそうです。

そうなれば、大量に買ってきた肉を家庭で不凍多糖類を染み込ませて家庭の冷蔵庫に冷凍しても、美味しい肉が食べられるようになります。

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過冷却促進物質

今、河原教授が注目しているのが、こしあんを製造した後のあん粕とコーヒー豆の粕です。

あん粕やコーヒー粕を水に溶いて、ぐつぐつ煮て取り出した液体には画期的な物質「過冷却促進物質」が含まれています。

過冷却促進物質は氷の核の発生を抑制する物質です。

核を作らなければ水は凍らないので、過冷却促進物質は結局、凍らなくする物質です。

極寒の地の植物が凍らずに生きているのはこの過冷却促進物質を持っているからです。

河原教授はこの物質を使って氷点下でも凍らずに保存できる野菜を作れないか研究を進めています。

凍らなければ野菜の組織はこわれないので、氷点下では2カ月間鮮度を保つことができますし、細菌などの発生も抑制できます。

過冷却促進物質の応用としては
・枝豆や大葉などの葉に塗布して緑の色が変色しない状態での保存
・夏野菜など冷凍に弱いものの保存
・保存できないと言われているイチゴの保存
・コンテナ輸送で1、2ヶ月持つことが確認できれば、ヨーロッパや北米などへ
 新鮮な状態で輸出することが可能になります。

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