燻製にすると日持ちするのはなぜ?|保存だけではない効果とは?

肉や魚は、普通の状態では、すぐに腐ってしまいます。

しかし、ベーコンやスモークサーモンなどの燻製にされた食品は、日持ちがよく、長期保存ができます。

なぜ、薫製にするだけで腐りにくくなり、日持ちがよくするのでしょうか?

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燻製とは?

燻製の燻は燻す(いぶす)ことです。

いぶすとは、物を燃やして煙が出るようにする。または、煙にむせるようにすることです。

燻製は様々な?材を?材などを使って、いぶす調理法です。

今から約13000年前の石器時代には、燻製の原型ともいえる調理法が生まれました。

その頃は食べ物を長期間保存する技術がなく、釣りや狩猟で捕まえた魚や肉を長期間保存するための手段として、燻製が考え出されたのです。

焚き火のそばに干されて、煙が自然に肉や魚にかかり、その保存性の高さに気づいたのが、燻製のはじまりといわれています。

燻製にすると日持ちするのはなぜ?

燻製の基本的な流れは、以下のようになっています。

下処理→塩漬け→塩抜き→風乾→燻煙→完成

腐るということは、カビや細菌などの微生物が肉や魚などの食べ物を分解し、人体にとって毒となる物を作ってしまうことです。

腐敗を防止するためには、微生物が繁殖しないようにすればよいことになります。

腐敗を防止して、保存性を高めるための燻製のメカニズムは、その他の保存食と基本的には同じです。

塩漬け

いぶす前にほとんどの食品で塩漬けにします。これは、過度の塩分を除いて効率的にいぶせるようにするためです。

塩漬けは、食糧を長期保存するために、古くから行われてきた方法です。

微生物が増殖するには、適当な栄養素や適当な温度の他に、水の存在が不可欠です

塩があると、浸透圧により微生物中の水分が細胞外に引き出されて、微生物は死滅します。
(但し、好塩菌は、体内で細胞外の浸透圧とバランスさせるので死滅しません)

食品中の水は,その存在状態により、大きく自由水結合水に分けられます。

自由水は、分子が自由に動き回ることのできる水で、微生物が利用できる水です。

一方、結合水は、食品中のたんぱく質や炭水化物などの他の成分と水素結合で結びついていて、分子の運動が束縛されている水で、微生物に利用されることもありません。

食品に塩を少し加えると、腐敗し難くなるのは,食塩が自由水と結びついて、結合水とすることで、微生物が使える水が少なくなるため、増殖できなくなります。

以上のように、塩漬けにすることにより、微生物が殺菌、制菌(増殖しない)されます。

乾燥

カビや細菌などの微生物は水分がないと活動できません。

乾燥させて、微生物が利用できる自由水をなくすことで、腐敗を防ぎ、長く保存することができるのです。

いぶす

燻製に使われる煙のことを燻煙といいます。

燻煙には、カルボニル化合物(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドetc.)、フェノール系化合物(ファノールetc.)、有機酸(蟻酸etc.)が含まれていて、食品に殺菌成分や防腐成分を浸み込ませる働きがあります。

カルボニル化合物は、高い殺菌成分と防腐効果があり、これによって食材の水分が抜かれ、食材保存が可能になります。

フェノール系化合物は、燻製に使われる木材に含まれる主成分のセルロース、ヘミセルロース、リグニンが熱分解で出来たものです。

燻製中の食品に反応して作られた強い樹脂膜が食品をコーティングし、細菌が食品の内部に侵入するのを防止します。また、長時間の燻製により、食品に含まれる水分を抜き、保存性を高める働きがあります。

有機酸はカルボン酸ともよばれ、抗菌作用があります。

以上の相乗効果によって、燻製の保存性はより高くなっているということです。

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燻製の効果

現代は冷蔵、冷凍などの保存技術が発達し、長期保存の手段はいくらでもあります。

このため、現代において、燻製は保存という意味合いは薄れつつあり、普段と違う食感や味わいを楽しむためのものへと変化しつつあります。

燻製独特の色合い、香り、風味は、いぶすことによって生まれるものです。

燻製によって生まれる、ほのかな渋味と苦味がつくり出す複雑で深い味わいが、燻製の一番の魅力です。これは、カルボニル化合物の作用によるところが大きいようです。

燻製独特の色合いは、食品に含まれるアミノ酸と、燻煙に含まれるカルボニル化合物とが反応して生まれる色といわれています。

温度が高くなるほど反応が速くなり、燻煙材にザラメ糖などを加えることにより、さらに深い色づきになります。

香りはフェノール系化合物によって生まれるものです。

この量が多いと、むしろいやなにおいになってしまいますが、燻煙をかけた後、しばらくおいておくと、マイルドでよい香りになります。

たとえば燻製時間が長くなりすぎて、ちょっとくどい味になってしまったら、風にさらすなどして味をなじませるのです。

風味

風味は、もちろん素材となる食品本来の味や、使われるスパイスによっても大きく変化します。

以上のように、燻製は元々、保存用のために、先人によって考え出された調理法です。

しかし、現在では、食品の保存技術が発達し、その意味が薄れつつあります。

燻製の独特の風味を楽しむために作られることが多くなり、昨今の燻製ブームとなっているのです。

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