バナナは種がないのになぜ繁殖できるの?


バナナは種がないので食べやすく、日本人が一番よく食べる果物です。

ここでは、バナナがなぜ種がないのか、また、種がないのにどうして、繁殖できるのかをご紹介します。

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バナナは種子植物

バナナはバショウ科の常緑多年草で高さは2~ 10m程度の種子植物です。

バナナの花はメシベしか持たない雌花とオシベしか持たない雄花のほかに、オシベとメシベの両方を持つ両生花も咲かせます。私たちが食べるバナナは 雌花の子房といわれる部分が成長したものです。

バナナの原産地は東南アジアの熱帯地域で、原種(野生種)のバナナには、実は種があるのです。食べられる果肉の部分がほとんどないぐらい、小豆粒ほどの大きな種子がたくさんあります。

私たちが普段食べているバナナには種は有りませんが、よく見ると中心部に小さな黒い点があり、これが昔、種があった名残です。

なぜバナナの種がなくなったの?

紀元前5000~1万年頃に突然変異により、偶然、種なしバナナができました。

種子がないバナナは放っておけば子孫を残せないので、やがて消えてしまっていた筈ですが、それが消えずに残ったのは、人間の関与があったからです。

種があると非常に食べにくいですが、種なしバナナは人間にとって食べやすく都合が良かったので、突然変異でできた種なしの野生種を人間が栽培するようになり、その後もさまざまな突然変異の中から、より種ができにくいものを選んで育てていくことで、ほぼ完全に種のないバナナができあがったのです。

突然変異で種なしバナナができる仕組み

突然変異でできた種なしバナナは、生物学的には3倍体と呼ばれるものです。

3倍体とは?

一般に人間を始めとする有性生殖を行なう生物は、受精の際に両親から遺伝情報(ゲノム)を1セットずつ受け継ぎ、あわせて2セットの遺伝情報を1対の染色体に分けて保持しています。

このように染色体を2セットもつ生物を2倍体と呼び、人間も2倍体の生物です。

そして、原種である種ありバナナはその染色体の数が2本ずつ対になっている2倍体です。

しかし、遺伝子の突然変異によりできた種なしバナナの染色体の数は3セットずつになっている3倍体です。

3倍体の生物は3つの染色体をきれいに半分に分けることができないので、染色体を半分にする減数分裂が難しく、花粉や卵細胞がほとんど作られず、種子もできないのです。

3倍体は人工的に作ることができる

人工的に3倍体のタネなし果実を作ることにも成功しています。それはタネなしスイカです。

スイカは元々、11対合計22本の染色体をもつ2倍体の植物です。それをコルヒチンという薬剤で処理することで、11本の染色体を4セット、合計44本の染色体をもつ4倍体のスイカが先ず作られました。

染色体のセットが偶数であれば、染色体を半分にする減数分裂が可能なので、4倍体のスイカも有性生殖を行なうことができます。

4倍体のスイカと2倍体のスイカを交配させることにより、3セットの染色体をもつ3倍体のタネなしスイカを作ることに成功しています。

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バナナは種がないのになぜ繁殖できるの?

植物は、木の枝や草の茎を地面に挿すと、そこから根を生やして大きく育っていきます。

この仕組みを応用したのが、果樹栽培などの現場で用いられる、挿し木、葉挿し、株分け、という手法です。

リンゴやナシなど種のある果物でも、通常、品種改良をする場合以外は種で殖やことはせず、挿し木や株分けなど、親株の一部から再生させる方法を用います。

果物の品種にはいろいろなものがありますが、それが品種として認められるためには、味、香り、色艶、形などの見た目が同じである必要があります。

オスとメスの遺伝子を組み合わせる有性生殖では、生まれてくる子が親とまったく同じ遺伝情報をもつことは可能性としてほとんどあり得ず、子孫をつくるたびに、味も香りも見た目も変わってしまいます。

挿し木や株分けの場合は、元の樹木とまったく同じ遺伝情報をもったものを新たに増やすことができるので、果樹栽培の現場でこの技術が重宝されているのです。
即ち、果樹栽培ではクローン技術が用いられているのです。

バナナの殖やし方は、通常、株もとに生えてくる吸芽(きゅうが)という子供を切り離して次の苗にするのです。

バナナは多年草で、一生に一度だけ実をつけた後に地上部は枯れてしまいますが、地下茎だけは枯れずに生き残ります。

地下茎からは吸芽が出てくるので、この吸芽を掘り出して株分けをします。
新芽は3年ほど育てると、バナナを実らせるようになるのです。

まとめ

バナナの原生種は元々種があったのですが、突然変異により、種がない3倍体と呼ばれるバナナができました。

種がないバナナは大変食べやすく都合が良かったので、人間が栽培するようになりました。

バナナは実をつけた後に地上の部分は枯れてしまいますが、地下茎だけは枯れずに生き残ります。この地下茎から出てくる吸芽を掘り出して株分けをし、クローン技術により繁殖させているのです。

新芽は3年ほど育てると、バナナを実らせるようになります。

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