まぜるな危険!何と何を混ぜたら危険なのか?

家庭でよく使用する洗剤、漂白剤の中には「まぜるな危険」と表示されているものがあります。

ここでは、「まぜるな危険」と表示されているものはどのような種類の製品で、何と何を混ぜたら危険で、混ぜるとどうなるのかも記載しています。

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「まぜるな危険」の表示のある何と何を混ぜたら危険なのか?

「まぜるな危険」の表示のある製品は洗剤と漂白剤です。

洗剤

一般に洗剤といわれるものの主成分は界面活性剤で、汚れの種類に合わせて、液性が酸性、弱酸性、中性、弱アルカリ性、アルカリ性の5段階に分かれています。

酸やアルカリが強いほど汚れは落ちやすくなりますが、肌や材質には強い影響を与えます。

漂白剤

漂白剤はシミや汚れの色素を化学反応によって分解し、白くするものです。

酸素を与えて白くする酸化型と、酸素を奪って白くする還元型の2種類があります。

酸化型には塩素系と酸化系があります。

塩素系漂白剤は、強い酸化力、殺菌力、漂白力があるので、衣類のしみ取りや漂白、除菌やカビ取りの洗剤などの用途に広く使われています。

酸化系は塩素系より効き目が穏やかで、脱脂力が強く、頑固な油汚れにも効果があります。

「まぜるな危険」の表示のある何と何をまぜると危険なのか?

塩素系漂白剤と酸性タイプの洗剤を混ぜると塩素ガスが発生し、非常に危険です。

塩素系漂白剤や酸性タイプの洗剤のうち、定められた塩素発生試験を実施して、1.0ppm以上の塩素ガスが発生する製品には、「まぜるな危険」の表示を記載することが義務付けられています。

「まぜるな危険」の表示のあるものを混ぜるとどうなる?

塩素系漂白剤と酸性タイプの洗剤を混ぜると塩素ガスが発生します。

塩素系漂白剤には、塩素化合物である次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が含まれています。

次亜塩素酸ナトリウムは不安定な物質で、塩素が出やすい性質をもっていて、通常は安定させるために、アルカリ性になっています。

塩素系漂白剤は、漂白する物質と接触するとゆっくりと塩素を放出して、その作用で漂白されますが、酸を混ぜると短時間で多量の塩素が発生します。

例えば、次亜塩素酸ナトリウムが含まれている塩素系漂白剤に塩酸(HCl)が含まれている酸性タイプの洗剤を混ぜると、次のような化学式で示すような化学反応が起こり、塩素ガス(Cl2)が発生します。

NaClO+2HCl→NaCl+H2O+Cl2

漂白剤以外に、風呂場やトイレで使われるカビ取り剤や排水パイプの洗浄剤にも、同じく次亜塩素酸ナトリウムが主成分として含まれています。

塩素ガスの危険性

塩素系漂白剤と酸性の洗剤を混ぜると先に記したように塩素ガスが大量に発生します。

塩素は殺菌作用があるため、水道水の消毒に使用されていますが、殺菌作用とともに非常に強い毒性があります。

塩素ガスは、特有の刺激臭があり、呼吸器、眼、口腔などの組織を破壊する作用があります。

そのため、塩素ガスが発生すると、眼、鼻、喉に刺激を感じるようになります。

高濃度の塩素ガスに長時間さらされると塩素ガス中毒となり、生命の危険をともなうことがあります。

第1次大戦の時には、ドイツ軍によって塩素ガスが毒ガス兵器として使用されたことがあるほど強い毒性があるのです。

酸性タイプの洗剤以外で塩素ガスが発生する場合

塩素系漂白剤は酸性タイプの洗剤だけでなく、食酢、アルコール等と混ざったりする場合でも、塩素ガスが発生する危険があります。

また、大量の生ごみにかかった場合も注意が必要です。

例えば、生ごみの中にレモンの搾りカスなどがあった場合には、塩素系漂白剤と反応して塩素ガスが発生する可能性があります。

こんな使い方も危険

混ぜなくても、以下のような使い方は危険です。

・酸性タイプの洗剤に塩素系のカビ取り剤をふりかける。逆に、塩素系のカビ取り剤に、酸性タイプの洗剤をふりかける。

・塩素系のカビ取り剤を使用した後、水で洗い流さないまま、酸性タイプの洗剤を使用する。逆に、酸性タイプの洗剤を使用した後、水で洗い流さないまま、塩素系のカビ取り剤を使用する。

安全な漂白剤は?

上に記したように、塩素系漂白剤は取扱いを間違えると非常に危険です。

衣類や台所で漂白が必要なときは、塩素系ではなく、酸素系漂白剤を使用すると安全です。

酸素系漂白剤は2つの成分からなっています。

その1つは過酸化水素です。過酸化水素は、酸素を出して汚れを酸化、分解します。

もう1つの成分は炭酸ナトリウムです。炭酸ナトリウムはアルカリ剤で洗浄力があります。

洗濯中に酸素系漂白剤を洗剤と一緒に投入しても、水の温度が低いと、時間が短いので、十分効果を発揮できません。

酸素系漂白剤を効果的に働かせるには、温度と時間が必要です。

酸素系漂白剤を80℃の湯に入れ、汚れた衣類を約10分間つけ置きし、湯の温度が50℃以下になったら、通常の粉の洗剤で洗濯機の通常コースで洗濯すると黄ばみが取れ、生地が元の白さに戻ります。

「まぜるな危険」を表示することになったきっかけとは?

1987年、徳島県の主婦が風呂場の掃除中に次亜塩素酸ナトリウム入りのカビ取り剤と酸性の洗剤を同時に使用して、この2つが化学反応を起こし、塩素ガスが発生し、それを吸入したために呼吸困難になり、急死するという事故が起こりました。

1988年には、同様の原因で病院に行った事故が5件発生しましました。

さらに、1989年には長野県の主婦が同じ原因で死亡する事故が発生しました。

これらの事故を受けて、当時の通産省では、表示の見直しを行い、1990年3月から塩素系の漂白剤と酸性の洗剤の一部のラベルに「まぜるな危険」の表示を義務付けることになりました。

まとめ

「まぜるな危険」の表示がある製品の種類は、塩素系漂白剤などの塩素系製品や酸性タイプの洗剤の一部の製品です。

塩素系漂白剤と酸性タイプの洗剤を混ぜると塩素ガスが発生します。

実際に塩素系漂白剤と酸性タイプの洗剤を混ぜて使用したことにより、死亡事故が発生しています。

塩素系の製品は酸性タイプの洗剤以外でも食酢などの酸性のものと化学反応を起こして、塩素が発生する可能性があり、注意が必要です。

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