オジギソウはなぜお辞儀をするの?その仕組みとは?

出典:https://www.weblio.jp

オジギソウは、ブラジルを原産地とするマメ科の植物です。

別名をネムリグサともいわれ、6~8月頃に、淡紅色のかわいらしい花を咲かせますが、触れられた途端、パッと葉を閉じて下に折れ曲がってしまいます。

英語圏では、そんな動きを見て、葉が恥ずかしがっていると思い、シェイム・プラント(恥ずかしがる草)と呼ばれています。

一方、日本では、同じ動作を見て、葉がお辞儀していると考え、オジギソウと名づけられました。

オジギソウは何かが触れたり、振動、光、熱を感じたりすると、素早く葉を閉じて葉の柄がお辞儀するように垂れ下がり、20分程すると、また元の状態に戻ります。

ここでは、オジギソウがなぜお辞儀をするのか、その仕組みを記載しています。

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オジギソウがお辞儀をする動作は膨圧運動という仕組みで引き起こされています。

植物が姿勢を保てる理由

木の幹の細胞壁は厚く硬く、それ自体で強度を備えていますが、オジギソウなどの通常の植物の茎や葉、花びらの細胞壁は薄くて柔らかいです。

それが強度を保ち、葉、茎、花が自らの重量を支えることができるのは、細胞膜内に水が十分に満たされていて、適度な膨圧がかかって、細胞壁を押しているからです。

植物細胞は通常、細胞膜の外側を弾性が小さくて、丈夫な細胞壁で取り囲まれています。

細胞が水を吸って体積を増加させ、細胞膜が細胞壁を外側に押し広げる時に働く圧力が膨圧です。

十分に吸水した時の細胞の膨圧は、 1M Pa以上を示すこともあります。

重い自動車を支えるタイヤの空気圧が、0.2MPa程度であることを考えると、膨圧がいかに大きいかが分かると思います。

この膨圧によって葉は張りを保ち、草本植物では枝や茎がぴんと立っていられるのです。

これは、ちょうど水風船のチューブに水を入れて、膨らませた状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。

植物の体は膨圧の変化で動く

植物は、自分で歩くことはできませんが、一日の間に葉の角度を変えたり、 気孔を開閉させたりするなど、体の一部を動かします。

これを植物の運動と呼び、植物の細胞の膨圧の変化により、こうしたいろいろな運動を引き起こすことができます。

気孔は、カリウムイオンなどの溶質の取り込みによって、高まった濃度を薄めるために、水を取り込んだ孔辺細胞の膨圧が、周囲の細胞よりも高くなることによって開きます。

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葉が接触を感じる仕組み

動物の神経は、接触などの外部からの刺激が加わると、電気信号に変換されて伝達され、知覚しています。

オジギソウも動物と同じような仕組みをもっていると考えられています。

オジギソウが接触、振動などの刺激を感知すると、その刺激を活動電位と呼ばれる電気信号に変換し、この電気信号が葉枕(ようちん)と呼ばれる組織に伝わります。

出典:https://shiny-garden.com

オジギソウはなぜお辞儀をするの?

葉枕はオジギソウの葉のつけ根にある枕のような形をした組織で、葉と茎を結ぶ蝶つがいのような役割を果たしています。

オジギソウには、葉柄の付け根にある主葉枕、4つの羽片が集まる部分にある副葉枕、1枚ずつの小葉の付け根にある小葉枕の3つの葉枕があります。

葉枕は、上下2種類の運動細胞に囲まれていて、上側の運動細胞の細胞壁は、下側に比べて3倍の厚みがあります。

葉枕の運動細胞は、通常の状態では、多くのカリウムイオンが含まれていて、浸透圧が大きくなり、その浸透圧の力で細胞内に水が引き込まれていて、運動細胞の体積が増えて膨圧が大きくなっています。

接触などの刺激による電気信号が葉柄に伝わることで、葉枕の運動細胞のカリウムチャネルを開く合図になります。

電気信号により、3種類の葉枕の下側の運動細胞内に含まれていたカリウムイオンが外へ出ていきます。

すると、細胞内の浸透圧が低下するのと同時に細胞外の浸透圧が上昇し、下側の運動細胞内の水が外へ流れ出し、膨圧が低下します。

下側の細胞壁は張りを失って、葉の重さを支えられなくなり、葉は萎れ、慎ましくお辞儀をします。

オジギソウが刺激によって、どのような目的でお辞儀をするような動作をするのかは、よく分かっていませんが、捕食者からの防御として体を小さくするために使っていると考える人もいるようです。

まとめ

オジギソウなどの植物の細胞は柔らかいですが、ぴんと直立姿勢を保てるのは、細胞の膨圧によります。

オジギソウに接触したりして、刺激を与えると、その刺激が電気信号となり、葉枕に伝わります。

この信号がきっかけで、葉枕が囲まれている運動細胞の内の下側の細胞のカリウムイオンが外部に流れ出し、浸透圧が低下し、水分が外部へ流れるので膨圧が低下し、葉枕の下側の細胞壁は張りを失って、葉は萎れ、これがお辞儀をするような動作となってあらわれます。

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