暖かい季節の夕方になると、群れをなして飛び回るコウモリを見かけることがあると思います。
この記事では、コウモリが何類に属しているのかについて記載しています。
コウモリは何類?
コウモリは日本では、江戸時代には空を飛ぶことから鳥類の仲間に分類されていました。
また、古代ローマの博物学者は、コウモリのことを「翼を持つネズミ」と呼び、鳥類に分類していました。
しかし、現在ではコウモリは哺乳類に分類されています。
人間を含め哺乳類は世界中に約5400種類生息しています。
コウモリは普段あまり見かけることが少ない動物ですが、全世界に生息している哺乳類の4分の1の種類はコウモリが占めており、地球上でコウモリは大変繁栄している動物なのです。
コウモリ類は分類学的には哺乳類の中の翼手目(よくしゅもく)に属しており、哺乳類の中ではネズミ目についで大きなグループとなっています。
それでは、コウモリは鳥のように飛ぶことができますが、なぜ鳥類ではなく、哺乳類に分類されるのでしょうか?
コウモリが哺乳類に分類される理由
哺乳類も鳥類も、脊椎動物といわれる背骨をもった動物という点では共通ですが、哺乳類であるコウモリには、鳥類とは異なるいくつかの特徴があります。
コウモリは赤ちゃんを産む(胎生)
鳥類は、卵の状態で産卵して、卵中に蓄えられた栄養でふ化するまで発育する卵生という様式で成長しますが、コウモリは鳥のように卵を生むのではなく、赤ちゃんを産み、乳を与えます。
哺乳類は、カモノハシのような一部の例外を除いて、卵を産まず、母親のおなかの中である程度成長した段階で、親と同じ形をして生まれてきます。これを胎生といいます。
哺乳類以外で胎生の動物はいません。
コウモリは皮膚に毛が生えている
コウモリの体に毛が生えていることも哺乳類の特徴です。この体毛は外部からの防御や、体温や水分の保持などの機能を持っています。
哺乳類の毛は体全体を覆うように生えている種類が多く、毛は分岐することなく、根元から同じ太さで生えています。
哺乳類の毛は皮膚の角質層からできていて、皮膚から派生したといえるものです。
一方、鳥類の体は羽毛でおおわれていて、この羽毛は、皮膚の角質層からできた毛ではありません。
コウモリは歯が生えている
一部の例外を除き、哺乳類の多くは歯が生えています。
コウモリにも犬歯や臼歯などの歯が生えていて、コウモリの種類により歯の本数や形状は異なりますが、20本~38本の歯が生え、食べる物により機能的な変化が見られます。
一方、鳥類には歯がなく、食べ物は飲み込んで、体内にある砂嚢(さのう)という器官を使って食べたものをすり潰します。
以上が、コウモリが哺乳類に分類されている理由です。
コウモリと鳥の翼の違い
鳥類の翼は羽毛をまとっているのに対して、コウモリの翼は、肩から指先までと体や脚の間に膜を張ったようになっています。
コウモリの翼は、じつは「手のひら」が進化したものです。指と指の間には油紙のように薄い皮膜が広がっています。
長い指の骨は、うちわの骨のような役割をして翼の膜を支えています。但し親指だけは翼の前に突き出しています。
哺乳類の中でコウモリに近い動物は?
体の各部分の形状から、似たもの同士の動物を近い仲間とする分類法では、哺乳類の中でコウモリに近い動物は見つかりません。
鳥類の祖先として始祖鳥のような発展途上の翼を持った化石が発見されていますが、 コウモリ類ではそのような発展途上の翼を持った化石は発見されていません。
遺伝子解析からどの動物同土が近い仲間なのかを決める方法によると、コウモリは馬の仲間に近いというような説があるようです。
また、コウモリがいつ頃どのようにして飛べるようになったのかも、まだ謎に包まれたままです。
コウモリは哺乳類で唯一飛べる動物
コウモリのいちばんの特徴は、哺乳類の中で唯一空を飛ぶことができることです。
哺乳類の中には、ムササビやモモンガ、ヒヨケザルなども空を飛ぶことができますが、これらの動物は紙飛行機やグライダーのように、風に乗ってゆっくりと空中を落下して遠くまで飛んで行くだけです。
自分の力で方角や高さをコントロールして自由自在に空を飛びまわることのできる哺乳類はコウモリだけです。
コウモリはなぜ空を飛べるの?
鳥は羽毛をバタバタ動かして空気抵抗が少なくなるようにして空を飛びます。
しかし、コウモリには羽毛がありませんが、指があり、指と指の間に飛膜(ひまく)という伸び縮みする膜があります。
この飛膜が翼の役割をすることで空を飛ぶことができるのです。
以上、コウモリは鳥類ではなく哺乳類に分類され、その理由についてご紹介しました。