タンポポ(蒲公英)の特徴~タネ、根、葉、茎、花

タンポポは、夏に咲くヒマワリや秋に咲くコスモスと同じキク科の仲間で、シロツメクサやハルジオンといっしょに咲いているのをよく見かける、春の花の代表的な多年生植物です。

ここでは、タンポポの特徴について記載しています。

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タンポポの特徴

タネ

植物はタネが少しでも多く芽を出すように、それぞれ工夫していますが、タンポポはタネに綿毛を付けて風によって遠くまで飛んで散らばるようになっています。

綿毛から、1本を抜き出すと先端に乾燥した、数mmのタネのようなものがついていますが、正確には、これはタネではなく、果実です。

果肉がないので、痩果(そうか)と呼ばれていて、痩果の皮をむくと、タネが出てきます。

タンポポのように風を利用してタネを広く散布する植物を風媒花と呼びます。

在来種の日本タンポポは、休眠という性質があり、春に風に乗って、着地してもすぐには発芽しません。夏草が枯れ始めて自分たちが発芽後に効率よく育てる秋まで発芽時期を遅らせます。

外来種の西洋タンポポは、少し暑くても、芽を出すことができるので、春から秋まで、さまざまな季節に芽を出し、着地して5日ほどで発芽します。

根は、土の中の水や養分を吸い上げたり、葉で作られた養分を貯える働きがあります。

土の上に出ているタンポポは、背が低く、花も小さいですが、土の下に隠れている根は、ものすごく太くて長いです。

土を掘ってみると、太いものでは直径が5cm以上もあり、ゴボウのように長い根が、土の中で深く伸び、長さは30~50cmくらいで、中には1mを超えるものもあります。

タンポポの根はこのように太くて長いので、多くの養分を貯えることができ、花が折られたり、葉が摘み取られたりしても、根が残っていれば、また葉をつけ、花を咲かせることができます。

タンポポの葉は、育つ場所の環境で形状が違ってきます。

日陰の多い場所で育ったタンポポは、葉の数が少なく、あまり切れ込みがない葉をつけるものがあります。

切れ込みが少ないと、葉の面積が増え、太陽の光をたくさん浴びることができます。

反対に、日当たりのよい場所では、切れこみが深い葉になります。

タンポポの葉の多くは、ギザギザして切れ込みがあり、この切れ込みがあるため、葉が重なっても、その隙間から太陽の光がさしこみます。

太陽の光が強い夏は、他の植物が元気に育つため、背が低いタンポポは他の植物に光を遮られて、光合成を行うことができません。

このため、タンポポは、葉の数を減らして夏をやり過ごします。

他の植物が元気をなくし、少なくなる秋になると、タンポポは活動が活発になります。

地面にはりついて、短い茎を中心に、丸く広がるようにつく葉のつき方をロゼットといいます。

タンポポは冬になると、上の葉と下の葉が重ならないように、少しずつずれてつき、茎は上から地面に押しつぶしたような形をしてとても短くなります。

冬のタンポポは、ロゼットの形をして、冬を越します。

地面にはりつくことにより、風にあまり当たらず、葉から水分がとばされにくくなっています。

茎が短いので、たくさんの葉が根元に集まり、外側の葉が枯れても、その葉が内側のの葉を包み込むようになるので、生きている葉を、寒さや乾燥から守ります。

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地面から空に向かって伸びているタンポポの1本の茎は花茎とよばれています。

花茎は、葉はつけずに花だけをつけます。

タンポポの葉のつけ根に、ツボミができ、大きくなるにつれて茎が伸びていきます。

花が咲き終わると、花茎の成長はとまり、地面に倒れますが、その間に花茎を通して、根や葉から、花に養分を送り、タネを育てていきます。

その後、約2週間かけて、頭を右や左に少しずつ振りながら、だんだんと立ち上がっていき、綿毛があらわれます。

頭状花、舌状花

タンポポの花の開いた黄色(または白)の花びらのように見える1枚1枚が、1つの小さな花です。

小さい花がたくさん集まって大きく見える花を、頭花、または頭状花といいます。

この小さな花びらのように見える1枚をつまみだすと、そこにはオシベもメシベもついています。この花の花びらは平らで舌のように見えることから舌状花といいます。

舌状花の数は、在来種の日本タンポポでは約80個、外来種の西洋タンポポでは200個くらいです。

このように小花が集まって一つの大きな花に見せ、昆虫などの目を引く工夫をしているのです。

舌状花をよくみると、その先端には4つの浅い切れ込みがあり、これは5枚の花びらが並んでくっついて1枚になったことを示しています。

このように花びらがくっついている花を合弁花と呼びます。

アブラナのように花びらが分かれているものを離弁花といいますが、これに対比する言葉が合弁花です。

花が開く条件

タンポポの花は、朝につぼみが開いて、夕方にしぼむ運動を繰り返します。

一つの花は、3日間しか咲きません。

1日目は外側からだんだん開いていき、花の中心部分はまだ開かず、2日目、3日目と、時間をかけて、全部咲きます。

株全体が一斉に咲くのではなく、数日の間に、根元から次々とツボミを出していき、開花します。

そのため、各々の花が開く日は、違いがでてきます。

タンポポの花の動きには、太陽の光と気温が関係しているようです。

花が咲く1日目は、太陽の光がさしこんで、気温が15℃~25℃の間であれば花は開きます。

2日目は、太陽の光は関係なく、気温が高ければ花は開きます。

3日目は、太陽の光も気温もあまり関係なく、花が開くことがあります。

タンポポの花の動きは複雑で、まだ不明なことが多くあります。

以上のようにタンポポは、独特の特徴があり、道端や空き地など、人によく踏まれるような場所で、健気にたくましく生きているのです。

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