ドライクリーニングの仕組み|洗濯とどう違うの?

ドライクリーニングは、クリーニング店でしかできないので、実際にどのようにしているのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。

ここではドライクリーニングの仕組み、通常の洗濯とどう違うのかを記載しています。

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ドライクリーニングの仕組み

家庭で行う洗濯は水を使用しますが、ドライクリーニングは水の代わりに、有機溶剤を使用してクリーニングを行っています。

溶かすことを目的として用いられる液体を溶剤といい、水は例えば塩や砂糖を溶かすので溶剤の一種です。

溶剤の中でも、生物が作るもので炭素原子を含むものを有機溶剤といいます。

ドライクリーニングでは溶剤としてパークロロエチレン(テトラクロロエチレン)または石油系有機溶剤が使用されます。

汚れは大別すると、水に溶ける水溶性の汚れと、水に溶けず油に溶けやすい油溶性の汚れがあります。

家庭の洗濯では水溶性の汚れは衣服を水に入れてゆすげば、汚れが水に溶けて衣服から汚れが離れます。しかし、油溶性の汚れはそのままでは落とすことができないので洗剤を使用します。

一方、有機溶剤を使うドライクリーニングは、油溶性の汚れを落とす洗浄力に優れていますが、水溶性の汚れを落とすのは苦手です。

油溶性汚れは溶かしてしまえば、それに付着しているホコリやチリは繊維から離れ、あとは機械の力で簡単に取り除くことができます。

水溶性汚れはそのままでは落ちないので、有機溶剤に少量の水とドライソープといわれる洗剤を混ぜることにより水溶性汚れを落とします。

ドライクリーニングは、1830年頃にフランスで開発され、日本では初めて白洋舍が1907年に独自開発によりドライクリーニングを導入したといわれています。

ドライクリーニングはなぜドライと呼ぶのかというと、水を使わないということから、水(=ウエット)の反対の意味でドライと名付けられたという説や、ドライクリーニングで使う有機溶剤は揮発性が高いので、乾くのが早い=ドライということからドライと呼ぶようになったという説もあります。

なぜドライクリーニングするの?

ウール、麻、シルクなどの衣服を、通常の水で洗濯すると、縮んだり、型崩れしたりします。

このため、水を使わないドライクリーニングをするのです。

ウールは、繊維の表面がスケールと呼ばれるウロコ状になっています。このスケールに水圧がかかるとウロコが開いて毛羽立った状態になります。

その状態で揉まれると毛羽立った繊維どうしがからみ合い、目が詰まって繊維自体が硬くなってしまいます。これをフェルト現象といい、縮み、形状は崩れ、風合いが台なしになってしまいます。

また、麻やシルクなどは水に浸すと糸が膨らんで太くなるため形が崩れます。

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ドライクリーニングのプロセス

実際にドライクリーニングはどのように行われていくのか見てみましょう。

水の代わりとなる有機溶剤は、溶剤タンクから洗浄ドラムにポンプで汲み上げられ、同時にソープ投入機からドライソープを入れ、ドラムを回転させて洗浄を始めます。

洗浄中、有機溶剤は常に洗浄ドラムからポンプ、ポンプから洗浄ドラムへと循環させて、その間に溶剤中のチリやホコリはフィルターでろ過されます。

家庭用洗濯機では使用した水はすべて排水されてしまいますが、ドライクリーニングでは溶剤を常にきれいな状態にして、循環させて使用します。

フィルターだけで溶剤中の汚れを全て取り除くことは難しいため、汚れた溶剤を熱して気化させ、そのガスを再び冷却して液体に戻すという方法もとっています。

洗浄が終了すると衣類を乾燥させます。

ヒーターから温風を送り出し、洗浄ドラム→クーラー→ヒーター→洗浄ドラムと循環させます。

乾燥させた時に気化した溶剤は冷却して、液体に戻して再利用されます。また、乾燥の過程で出たホコリやチリは、リントフィルターによって除去されます。

家庭でドライクリーニングはできるの?

家庭での洗濯用に使用されるドライマーク衣料用洗剤が販売され、また、洗濯機にドライコースが設定されていますが、これはドライクリーニングではなく、色落ちや型崩れのリスクが少なくなるように工夫されたものであり、ドライクリーニングとは別物です。

大切にしている衣類については、クリーニング店に依頼するのが無難なようです。

有機溶剤の危険性

ドライクリーニングでは主にパークロロエチレンという非常に危険性のある有害な有機溶剤が使用されています。

ドライクリーニングから戻ってきた衣服を着て肌が赤くなったり、水ぶくれが出るといった化学やけどの症状が起きることがあります。

ドライクリーニングでは、洗浄後、乾燥させるので、衣服には有機溶剤は残っていないことになっていますが、仕上がった時にビニール袋に覆われていて、クリーニングから戻ってきた衣服には稀に溶剤が残っていることがあります。

このため、クリーニングから戻ってきた時には、しばらく風を通して、乾燥させてから、着るなり、クローゼットなどに保管するなどしましましょう。

まとめ

通常の洗濯では水溶性の汚れは水という溶剤で汚れを落とし、油溶性の汚れは落ちにくいので洗剤を使用します。

ウール、麻、シルクなどの衣服を、水で洗濯すると、縮んだり、型崩れしたりするため、水を使わないドライクリーニングで洗濯する必要があります。

ドライクリーニングでは水の代わりに油汚れに強い有機溶剤を使用します。ドライクリーニングでは汗などの水溶性の汚れは落ちないので、ドライソープという洗剤を使用します。

ドライクリーニングから戻ってきた衣服を着ると、化学やけどを起こすことがあります。
これは衣服に有機溶剤がまれに残っていることがあるからです。

ドライクリーニングから戻ってきた衣服はしばらく風を通してから、有機溶剤を揮発させてから着るなり、保管するようにしましょう。

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以上、ドライクリーニングの仕組み、通常の洗濯とどう違うのかについてご紹介しました。

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