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ハクビシンは、元々山林などに生息し、農作物を荒らすなど郊外での被害が多かったのですが、近年、東京都内などの都会にもすみついて、住宅の天井裏、物置などに侵入し、被害を出すなど問題となっています。
本記事では、ハクビシンの生態や被害状況、対策について記載しています。
ハクビシンとは?
ハクビシンはジャコウネコ科の動物で、体長は50~75cm、尾まで含めると1m前後の大きさになります。
漢字では「白鼻芯」または「白鼻心」と書き、その名の通り、額から鼻にかけて白い線が入っているのが大きな特徴です。

出典:農林水産省HP
猫のような体つきをしていて、灰褐色、黄褐色の長い体毛で覆われ、頭、手足、尾が黒いので狸にも似ています。
ハクビシンは夜行性の動物で、基本的に日中は眠っていることが多く、昼間に目撃することは稀です。
性格は、基本的にはおとなしくて臆病で人にかみ付いたり、襲ったりすることはありませんが、餌を与えたり、触ったりしてはいけません。
ハクビシンの生態
生息地
海外では、ヒマラヤ、中国南部、台湾、マレー半島、スマトラ、ボルネオなどに生息しており、日本国内では、沖縄を除きほぼ全国的に生息しています。
ハクビシンは、樹上や木の穴などに巣を作りますが、住宅に侵入した場合には、暗くて温かい場所を好むので、屋根裏や床下などに巣を作ることが多いです。
食べ物
ハクビシンは、植物食中心の雑食性で、イチジク、カキ、ナシ、バナナ、ミカンなどの果実、特に糖度の高い果実を好んで食べます。その他には小動物、昆虫なども食べます。
運動能力
ハクビシンの足裏は人間の手のひらのような構造をしていて指が5本あります。
しっかりと物を握ることができるので、垂直の壁やツルツルした電柱でも簡単に登ってしまいます。
足跡は下図のようなものです。

出典:農林水産省HP
ハクビシンは樹上生活者とも呼ばれ、バランス感覚は非常に優れていて、電線の上をしっぽでバランスをとりながら、電線を使って移動することができます。
また、ハクビシンの関節は非常に柔らかく、頭部が入るわずか6cm四方くらいの穴があれば、頭を入れて、難なく通り抜けることができるので、家の通気口や屋根の隙間から建物の内部に侵入することができます。
鳴き声
家の屋根裏などにすみつくと、騒がしい足音がしたり、ニャーニャー、ギャーギャーという鳴き声がしたりする場合もあります。
天敵
ハクビシンの天敵は、アライグマやタカ、フクロウなどの猛禽類です。
アライグマはハクビシンの最大の天敵です。
アライグマの多くは森林に生息していますが、人間が住んでいる家の床下や屋根裏などにも住みつくことがあります。
アライグマはハクビシンより体が大きく凶暴なため、アライグマに見つかると、すみかを追い出されてしまいます。
ハクビシンの糞
ハクビシンは、ため糞といって、糞や尿は1か所場所を決めて排泄し続けるという習性があります。
繁殖
ハクビシンは、1年に1度、平均2~3頭の子供を産みます。
妊娠期間は約2ヵ月で、生後10~12ヶ月程で成熟して妊娠可能となるので、繁殖力は高い動物といえます。
野生での寿命は約10年で、飼育する場合には20年以上生きる場合もあるようです。
ハクビシンの歴史
明治時代以降、毛皮用として日本に持ち込まれたものが、野生化したとされる説が有力ですが、江戸時代の蒔絵(まきえ)にハクビシンによく似た動物が描かれており、日本に持ち込まれた時期は明らかではありません。
日本への移入時期が明確になっていないため、ハクビシンは在来種として保護されることもなければ、外来種として駆除されることもできない動物です。
ハクビシンによる農作物被害
ハクビシンの食性は、植物食中心の雑食性のため、ビワ、ミカン、モモ、ナシ、カキ、ブドウなどの果物やトウモロコシ、トマト、ウリなどの野菜などの農作物を食い荒らす被害が報告されています。
住宅での被害
住宅の屋根裏、床下、物置の中などがハクビシンの巣作りの場所となっています。
屋根裏の糞尿被害、騒音
屋根裏などをすみかにした場合には、断熱材が食い破られ、ベッドにするだけでなく、そこをトイレにしてしまいます。
先に記載したように、ハクビシンはため糞の習性があるので、その量は大量になります。
糞尿の臭いは強烈なため、悪臭で動物の存在に気づくケースもあります。また、天井にシミができたりする場合もあります。
騒がしい足音がしたり、ニャーニャー、ギャーギャーという鳴き声がしたりする場合もあります。
健康被害
ハクビシンは野生動物のため、ノミ、ダニを保有しており、屋根裏にハクビシンの侵入を許すことは、ノミ、ダニの侵入と繁殖を許すことになります。
ハクビシンの対策
ハクビシンが建物に侵入されないためには、まず、通気口、屋根での隙間がないかチェックし、隙間が見つかった場合には、隙間をふさぐ必要があります。
ハクビシンは、その存在が確認されるだけでなく、何らかの実害がないと、有害鳥獣として認められないので、鳥獣保護法により駆除することができません。
また、駆除する場合には、それぞれの自治体の許可を受けなければなりません。
屋根裏などで足音、悪臭、天井のシミなど、ハクビシンの可能性が疑われる場合には、動物の特定や駆除は、個人では難しいので、害獣の駆除業者に依頼するのがベストな方法です。
以上、ハクビシンの生態や被害状況、対策について記載しました。