世界一高い山はエベレストであることはよく知られていることですが、本記事では、高さの基準が変われば、別の山が世界一高い山になることをご紹介します。
世界の高い山ランキング(標高)
世界の高い山ランキングでは、下の表のようにエベレスト(中国名:チョモランマ)は標高8848メートルの世界一高い山になっています。
順位 | 山名 | 国名 | 標高(メートル) |
1 | エベレスト | ネパール、中国 | 8848 |
2 | K2 | パキスタン、中国 | 8611 |
3 | カンチェンジュンガ | ネパール、インド | 8586 |
4 | ローツェ | ネパール、中国 | 8516 |
5 | マカルー | ネパール、中国 | 8463 |
この8848メートルという数字は、地球の中心からエベレストの頂上までの距離から地球の中心からエベレストの地点のジオイドまでの距離を引いたものです。いわゆる標高です。
ジオイドとは?
地球には、8000メートルを越える高い山や、 1万メートルを越える海溝など深い海があり、大きな起伏があります。
また、地球内部の地殻構造は均一ではなく、地球の重力も一定ではありません。
このようなでこぼこした地球の形状を、ジオイドと呼ばれる1枚の曲面で定義しています。
地球表面の7割を占める海面では、このジオイドは平均海水面と定義されています。
また、陸上では、そこに仮想的に運河を設け、海から海水を注入した場合に得られる平均海水面と定義されます。
こうして、海上と陸上で定義された連続的な1枚のジオイドは、地球の形と考えられるのです。
エベレストの高さは、エベレストの地点での平均海面から山頂までの高さということです。
日本では、東京湾の平均海面をジオイドと定めています。

出典:https://mainichigahakken.net
次に高さの基準をジオイドではなく、地球の中心から測った場合の山の高さがどのようになるかをご紹介します。
地球の中心から測った山の高さ
地球の中心から測った高さを地心距離といいます。
山の高さの基準を、ジオイドではなく地心距離でみると、世界一高い山はエベレストではなく、赤道付近にあるチンボラソ(標高では6310メートル)になります。
順位 | 山名 | 国名・地域名 | 標高(メートル) | 地心距離(メートル) |
1 | チンボラソ | エクアドル | 6310 | 6384458 |
2 | ワスカラン | ペルー | 6768 | 6384397 |
3 | イェルバハ | プルー | 6634 | 6384125 |
4 | コトパクシ | エクアドル | 5896 | 6384054 |
5 | キリマンジャロ | タンザニア | 5895 | 6383952 |
32 | エベレスト | ネパール・中国 | 8848 | 6382270 |

出典:https://mainichigahakken.net
地球は完全な球体ではなく、赤道部分がややふくらんだ洋ナシのような形をしています。
地球は、北極と南極を軸に自転しているため、遠心力で赤道付近が大きく外に膨らんでいます。
その結果、赤道付近は高緯度地域にくらべ、地球の中心からの距離が長くなります。
赤道付近の山の頂上は、地球の中心からの距離で換算すると、エベレストよりも2000メートルくらい高くなっています。
このようなことから、赤道付近の山ほど高いことになります。
現在は、地球の中心からの地心距離は精度の高いGPSで正確に測れるようになっています。
標高で世界一のエベレストは緯度の高いところにあるため、地心距離では世界で32番目になってしまいます。
ちなみに、地心距離で測定すると、日本でもっとも高い場所は富士山ではなく、日本最南端に位置する小笠原諸島の沖ノ鳥島です。
山のふもとからの高さ
ジオイドを基準にして高さを測る場合、陸地にある山は問題ありませんが、山によっては、海底からそびえている山があります。
海底からそびえている山で、山頂が平均海面より上に出ていなければ、高さを測れないことになります。
このような場合には、海洋底を基準にして山頂までの高さを測ります。
ハワイにマウナ・ケアという山がありますが、この山の標高は4205メートルです。
この山の一番低いところは海底にあり、一番低いところから山頂までを測ると10203メートルもあり、この高さはエベレストの標高を1355メートルも上回ります。
もしも地球上の海水が蒸発してなくなったとすると、マウナ・ケア山は世界で一番高い山といえるかもしれません。
以上、山の高さは、標高を基準にすると世界一高い山はエベレストですが、地球の中心、山のふもとから測った場合の高さでは、エベレストとは異なる別の山が世界一になることをご紹介しました。