日本人は一人が年間約330個消費する卵も消費大国ですが、卵を使った後、殻は捨ててしまう方が大部分だと思います。
しかし、卵の殻は意外といろいろな再利用ができます。
家でできる卵の殻の再利用
ぬか床の酸化を抑える
ぬか床の漬け物はしばらくすると酸っぱくなってしまうことがあります。この原因は、乳酸菌が増え過ぎて、ぬか床が過剰発酵したためです。
このような時に2~3個分の卵の殻の薄い膜を除去し、洗って乾燥させた後、細かく砕いてぬか床に混ぜると酸化が抑えられます。
酸性の土壌を中和する
植木の土が酸性に傾いている場合、土に卵の殻を混ぜると中和されます。
卵の殻には多くの微細な穴が空いていて、酸性土の場合はそこに酸性の水が浸み込んで殻を溶かし、溶け出たアルカリ分が土壌を中和してくれます。
肥料
卵の殻を家庭菜園などの土にまくとカルシウムの補給になるといわれています。しかし、植物が吸収できるレベルまで卵の殻が分解されまでには、時間がかかるようです。このためできるだけ卵の殻を細かく砕く必要があります。
鍋、食器洗い
鍋、フライパン、食器などの頑固な汚れを落とすのに研磨剤として使うことができます。細かく砕いた卵の殻を洗うものに振りかけ、洗剤のついたスポンジで、こすって落とします。
軽いやけどやすり傷の手当
傷口に卵の殻から薄い膜だけを取り出して貼ると傷の治りがはやくなるということが昔から知られています。相撲部屋や格闘技選手がよく使用しているようです。
コーヒーの苦みを抑える
コーヒーが苦くて困っている場合、卵の殻を砕いて、コーヒー豆と一緒に挽くことにより、苦みを抑えることができます。
卵の殻が再利用されている製品
化粧品
卵の殻の内側についている卵殻膜の主成分はタンパク質で、人の肌や髪に近い18種類のアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸で構成されていて、美容効果もあるということで卵殻膜を配合した化粧品が販売されています。
あぶらとり紙
あぶらとり紙は余分なあぶら分だけを吸収し、必要な皮脂は取り除かず残してしっとり感を与えるものです。卵殻膜には保湿効果があり、あぶらとり紙に卵殻膜を配合することにより、優しい肌触りになるそうです。
卵殻カルシウム
卵の殻の主成分は炭酸カルシウムです。このカルシウムは多孔質な構造のため、胃酸で溶解されやすく、体内に消化吸収されやすくなっています。
マヨネーズ最大手のキユーピーは卵殻カルシウムとして「カルホープ」という卵の殻を8~10μmの大きさに微粉化した商品を1981年から業務用として販売しています。
自宅で卵の殻を粉末にするには、よく洗った後、乾燥させてすり鉢ですり潰し、それをフライパンでから煎りにするのがいいようです。
バスマット、コースター、石鹸置き
卵の殻には多くの気孔と呼ばれる小さな穴が空いているので、水分を吸収する機能があります。この働きを最大限に活かせるように砂や粘土などと調合して混ぜ合わせ、高い圧力を加えた後、焼き固めたものが、2016年10月よりエッグタイル「UFUFU(ウフウフ)」がバスマットとして発売されました。
マット1枚あたり70個分の卵殻が使用されていて、肌触りもなめらかで、消臭効果もあり、寒い冬でもひんやりしないそうです。
バスマット以外に卵の殻を使用したコースター、石鹸置きなども商品化されています。
チョーク、運動場のライン引き
学校の黒板などで使うチョークは、石膏カルシウム製と炭酸カルシウム製の2種類の原料が使われています。
昔は石膏カルシウム製が主流でしたが、卵の殻やホタテの貝殻などの本来廃棄していたものを再利用できるというリサイクルや使い勝手などの面から炭酸カルシウム製が主流となってきています。
また、学校の運動場などで使われるライン引きの白い粉も卵の殻から作られています。
鮮度保持フィルム
抗菌研究所は卵の殻を使った微粉末抗菌消臭剤を開発し、これを樹脂に5%程度練り込んだ鮮度保持フィルムを販売しています。鮮度保持フィルムはカット野菜などの鮮度を保つことができ、A4サイズで、上部にジッパーが付いています。
卵は完全食品といわれていますが、使ったら捨ててしまっていた殻にも優れた特性があり、それを生かした意外な再利用の方法があります。手軽にできるものも多いですから試してみてはいかがでしょうか。