日本タンポポと西洋タンポポの違いとは?

タンポポ(蒲公英)には、昔から日本にある日本タンポポと外国からやってきた西洋タンポポとに大別されます。

西洋タンポポは明治時代のはじめ頃、北海道の牧場に導入され、それが野生化し、全国各地に広まっていき、今や日本タンポポを圧倒しているといわれています。

そして、現在、環境省指定の要注意外来生物で、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。

ここでは、日本タンポポと西洋タンポポの違いについて記載しています。

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日本タンポポと西洋タンポポの違い

種子の違い

西洋タンポポは日本タンポポよりも、小さくて軽い種子を作ります。そのため、より遠くまで種子を飛ばすことができます。

作る種子の数は、西洋タンポポは日本タンポポの2倍以上です。

繁殖方法の違い

日本タンポポは、自分の花粉では受精することができません。

自分以外の他の株の花粉でないと種子をつくることができず、他家受粉によって生殖を行う他殖性植物なので、ハチなどの昆虫により花粉が運ばれないと、種子ができません。

これに対して、西洋タンポポは花粉で受粉しなくても、種子を作ることができるアポミクシスという特殊な能力を持っています。

このため、周囲に花がなく、昆虫がいないような環境でも種子を作ることができます。

受精を伴わないため、アポミクシスによって生じた植物体は親植物と遺伝的に同じクローンとなります。

花の構造の違い

                   出典:主婦と生活社 蓬莱大介(著)「クレヨン天気ずかん」
茎と花の接続部分の総苞(そうほう)と呼ばれる箇所に注目してみると、西洋タンポポでは総苞は反り返っていて、下を向いているのに対して、日本タンポポでは、総苞はピタッとくっついていて、上を向いています。

タンポポは、咲いた花びらのように見える1枚1枚が1つの小さな花です。この小さな花のことを舌状花と呼びます。

小さい花がたくさん集まって大きく見える花を、頭花あるいは頭状花といいます。

日本タンポポは舌状花のひとつひとつの花びらは大きいですが、花の数が少ないので、頭花の大きさは小さいです。

西洋タンポポは舌状花のひとつひとつの花びらは小さいですが、花の数が多いので、頭花の大きさは日本タンポポより大きく豪華にみえます。

開花時期の違い

日本タンポポは春にしか花は咲きませんが、西洋タンポポは、 春だけでなく、夏以降も咲き、条件によっては冬でも開花することもあります。

そのため、西洋タンポポは次から次へと花を咲かせて、種子をバラまくことができるのです。

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日本タンポポは弱くて、西洋タンポポは強いの?

日本タンポポは、西洋タンポポよりも大きな種子をつけます。

大きな種子は、小さな種子より遠くまで飛ばすのには不利ですが、大きな種子からは大きな芽生えが育ち、他の植物と競う上では有利になります。

日本タンポポは他殖性植物のため、他の花の花粉と交配することによって、多様性に富んださまざまな子孫を残すことができ、多様な環境に適応するのに有利です。

西洋タンポポは、花粉で受粉しなくても種子を作ることができるので、子孫はクローンのため、何らかの環境の変化があった場合には、種が絶滅する可能性が高くなります。

日本タンポポは春にしか花が咲きません。開花後、種子を飛ばすと、根だけ残して自ら枯れてしまうのです。

夏になれば、他の植物は生い茂って、背の低いタンポポには光が当たらず、生きるのに厳しい環境になります。そこで、他の植物との競争を避けて、地面の下でやり過ごすのです。

日本タンポポは、自然豊かな環境下では、とても戦略的に生きているのです。

西洋タンポポは、種子が小さく、他の植物と比較して競争力はありません。

1年中、花を咲かせるので、他の植物が大いに茂る夏場には他の植物に負けてしまいます。

しかし、他の植物が生えないような都会の人通りの多い道端で花を咲かせて、生息場所を広げているのです。

西洋タンポポの生息域が広がり、日本タンポポが少なくなっているということは、実は、日本タンポポが生えるような日本の自然が減少し、都会の環境が増えているということなのです。

西洋タンポポと日本タンポポと、どちらが強いとか弱いとかということではないのです。

まとめ

日本タンポポと西洋タンポポが違うのは以下のような点です。

種子の大きさは日本タンポポの方が西洋タンポポより大きいです。

繁殖は日本タンポポでは、他家受粉により種子を作るのに対して、西洋タンポポでは、花粉で受精しなくても種子を作ることができます。

日本タンポポの花では総苞がピタッとくっついていて、上を向いています。一方、西洋タンポポでは総苞が反り返っていて、下を向いています。

日本タンポポは春しか花が咲きませんが、西洋タンポポでは春だけでなく、夏以降も咲きます。

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