花が開く時刻は植物の種類によってまちまちですが、種類ごとの植物の開花時刻は大体決まっています。
朝顔は朝になると開花し、夕顔は夕方に花を咲かせます。
朝顔はなぜ朝になると花が咲くのでしょうか?
朝になると気温が上がってくるからでしょうか? それとも朝になり、明るくなるから開くのでしょうか?
朝顔は短日植物
朝顔などの種子植物は、種をまいた後、ある程度成長した段階で、温度や昼間の時間の長さなどの環境条件の変化を感じると、花のもととなるツボミを作るようになります。
植物は昼間の時間が長くなるとツボミをつける長日植物と、昼間の時間が短くなるとツボミをつける短日植物と、昼間の時間に関係なくツボミをつける植物があります。
朝顔はこれらのうちの短日植物で、ある一定以上の連続的な暗闇があることが、つぼみをつける条件となります。
それでは、朝顔がツボミをつけると、どのような条件で開花するのでしょうか?
朝顔の開花条件
朝顔は朝に明るさを感じて、花を咲かせるのではありません。
暗さを感じて約10時間後に、花が咲きます。その時の明るさは関係ありません。真っ暗でも10時間経過すれば花は開きます。
ツボミのついている鉢植えの朝顔を暗い部屋に入れ、何時間後に花が開くかを観察すると、約10時間後にツボミが開きます。
暗い部屋に早く入れれば入れるほど、翌朝の開花は早くなり、遅く入れるほど開花は遅くなります。
日が暮れて暗くなってから、約10時間後に朝顔の花が開く時刻が、たまたま朝だから、朝顔と呼ばれるようになったということです。
朝顔の開花時刻
朝顔の開花条件は暗くなってから、約10時間ですが、暗くなる時間は季節により変わってきます。
6月末から7月上旬にかけてが、1年の中では日没が最も遅い時期です。
東京の場合、この頃の日の入り時刻は午後7時頃です。ここから、10時間後の午前5時頃が朝顔の開花時刻です。
また、朝顔は品種にもよりますが、10月下旬でも咲いていることがあります。
この頃の東京の日の入り時刻は大体午後5時です。この10時間後の午前3時頃が開花時刻となります。
ですから、夏至を過ぎた頃、朝顔は一番遅く咲き、それ以降次第に早く咲くようになり、秋には夏より2時間程早く開花するようになります。
実際には開花は気温の影響も受けるので、気温が低くなると、開花は少し早くなります。
10時間の暗闇がないとどうなる?
朝顔は暗闇を感じてから、約10時間後に花が開きます。
これは、別の言い方をすると、朝に開くツボミは、開花前に約10時間の暗闇を必要としているということです。
暗闇の時間が短いと、開花する時刻は大幅に遅れます。もし暗闇がいっさい与えられなければ、ツボミは開きません。
ツボミをつけはじめた鉢植えの朝顔を、周囲温度を一定にして、照明をつけっぱなしにして育てると、時間の経過とともに、ツボミはどんどん大きくなり、開花直前の大きさになりますが、何日経過しても、そのツボミが開くことはありません。
朝顔は体内時計をもっている
人間をはじめとする動物は体内時計を持っていますが、朝顔を含めて植物も体内に時を刻むための時計をもっています。
これは次の実験から確かめることができます。
ツボミのついている鉢植えの朝顔を明るい場所から暗い部屋へ移すと、ツボミは約10時間後に開きます。
この鉢植えの朝顔を明るい場所に戻さずに、暗い場所に置き続けると、翌日に咲くツボミは、約24時間後に開きます。その後も暗い場所に置き続けると、その次の日にも約24時間後にツボミが開きます。
このことから朝顔の体内では、ほぼ24時間という概日リズムの時の長さを刻んでいることが分かります。
まとめ
朝顔は昼間の長さが短くなるとツボミをつける短日植物です。このため、夜の長さが短いとツボミはできません。
朝顔は朝の明るさを感じて、開花するのではなく、暗闇を感じてから約10時間後に開花します。
このため、日没時刻の遅い夏は、遅めに開花し、秋になって日没時間が早くなると開花時刻は徐々に早くなります。
朝顔は動物と同じように体内時計を持っていて、開花時刻を決めているのです。
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