
出典:Wikipedia
カブトエビは約2億年前からほとんど姿を変えずに生き続けているため、生きた化石といわれています。
大きさは2~3cmほどで、頭部に甲羅、後ろに2本のしっぽがあり、体色は茶褐色から緑がった茶色で、甲殻類の中では最も古い形態を保っています。
カブトエビは田植えをしてしばらくすると、田んぼで姿を見かけるようになりますが、一体どこからやって来るのでしょうか?
田んぼのカブトエビはどこから来るの?
実は、カブトエビは田んぼに水を張る前は卵の状態で、土の中で過ごしているのです。
この卵は、前年に、カブトエビが産卵したものです。
カブトエビの卵は、寒さや乾燥に耐えられ、何百年も卵のままで生きることができます。
日本ではカブトエビは水田を生息地としていて、田んぼに水が入った後、水抜きでその水がなくなるまでの期間にみることができます。
卵のふ化
カブトエビの卵は、直径が約0.5mm、橙色の球形をしています。
ふ化に必要な条件は、水、温度、光です。
ふ化するのに適した温度は、12℃~25℃で、最適な温度は20℃前後です。
田植えの時期の水温は、ふ化に適した温度になっていて、田んぼに水を張ると、2~3日経過すると、卵がふ化します。
しかし、全ての卵がふ化するのではなく、3割程度しか、ふ化しません。
一斉にふ化しないのは、カブトエビの生存戦略です。
一斉にふ化してしまうと、何か環境の変化などがあった時に、種が絶滅してしまう可能性があるためです。
ふ化しなかった卵は、次回以降のふ化する条件が満足するまで、卵の状態で過ごします。
カブトエビの繁殖
カブトエビの赤ちゃんは幼生と呼ばれます。
ふ化した幼生の大きさは約1mmで、約10日間で急速に成長します。
体の成長とともに、脱皮をします。脱皮をするたびに、体が約1.2倍大きくなり、成体になるまでに約20回脱皮を繰り返します。
カブトエビの脱皮は、甲殻の周縁部が割れて、その隙間から新しい皮になった体が出てきます。
成体では約3mmの大きさになります。
ふ化して約1ヶ月後には産卵し、産卵を終えると一生を終えます。
したがって、カブトエビの寿命は約1ヶ月です。
カブトエビの活動期間は約1ヶ月で、残りの11ヶ月は卵の状態で過ごすことになります。
カブトエビは田んぼの泥に長期間の乾燥に耐える卵を大量に産むので、一度田んぼに居つくと、卵が残っている限り、毎年田植えの後、1~2ヶ月間は大量にカブトエビが発生します。
カブトエビの餌
カブトエビは、水田の底をはい回って、泥と一緒に、ボウフラ、ミジンコ、雑草、イネの根、ウキクサ、ミミズ、ホウネンエビ、オタマジャクンなど、植物、動物に関係なく食べる雑食性の動物です。
田んぼにいるカブトエビは、田んぼの雑草を食べるだけでなく、多くの肢で泥を掘り返して雑草の幼い芽を浮き上らせたりして、雑草の除草する働きをするので、農家の人からは水田の草取り虫と呼ばれて大切にされています。
このように除草剤を使わないで、カブトエビ農法により、米づくりを行っている農家もあります。
カブトエビの飼育はできるの?
現在では、カブトエビの飼育キットや飼育セットが販売されていて、家でも飼育することができ、小学生の自由研究の課題にすることができます。
飼育はとても簡単で、乾燥したカブトエビの卵を水に入れるだけで、2~3日でふ化します。
成長して、産卵するとカブトエビは死んでしまいます。寿命は1ヶ月くらいです。
カブトエビの種類
カブトエビは、全世界でアメリカカブトエビ、アジアカブトエビ、ヨーロッパカブトエビ、オーストラリアカブトエビの4種類がいて、このうち、オーストラリアカブトエビを除く3種類は、日本で生息しています。
アメリカカブトエビは北海道、沖縄を除いた本州全域に、アジアカブトエビは沖縄を除いた関東より南の全域に、ヨーロッパカブトエビは山形、宮城、栃木の各県で確認されています。
アジアカブトエビが日本の在来種と考えられていて、アメリカカブトエビ、ヨーロッパカブトエビが外来種と考えられています。
アメリカカブトエビ、ヨーロッパカブトエビは雌雄同体ですが、アジアカブトエビは雄と雌の区別があります。
まとめ
カブトエビは生きた化石といわれ、生息地は田んぼです。
水田に水を入れると、2~3日でカブトエビが姿をあらわします。
カブトエビはどこから来たのかというと、水を入れる前は、土の中で卵の状態で過ごし、水を入れると、卵がふ化します。
そして急速に成長し、1ヶ月くらいで産卵し、一生を終え、姿を消してしまいます。
1年にうち、11ヶ月は卵の状態で過ごし、成体で活動するのは約1ヶ月です。
卵は長期間の乾燥に耐える卵を大量に産みます。
飼育キットや飼育セットが販売されていて、家でも飼育することができ、自由研究の課題にすることができます。