種なしぶどうの作り方 | 日本人が開発した技術

最近はスーパーなどで種なしブドウをよく見かけます。

デラウェア、種なし巨峰、種なしピオーネなどは種なしブドウです。

また、種なしだけでなく、皮ごと食べられる、シャインマスカット、ナガノパープルなどの品種もあります。

ここでは、これらの種なしブドウの作り方についてご紹介します。

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種なしぶどうの作り方

果実は受粉、受精しなくても実を結ぶ

植物が果実を作るのは、動物が種の入っている果実を食べて、動物が移動して、消化できない種が排泄物として排出されることにより、生息地を広げるためです。

受粉、受精によって子房などが発達し、胚珠が種子になることで果実が作られます。

ところが植物には、受粉が行われなくても、あるいは受粉が行われて受精がなくても、子房だけが発達して、果実が作られる場合があります。この現象を単為結果、あるいは単為結実と言います。

種なしブドウは、この単為結果という現象を利用して作ることができます

果実は、本来なら種があることによって大きくなりますが、植物ホルモンの力で大きく成長させることができ、その仕組みを利用して種なしブドウなどが作られています。

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種なしブドウの作り方

先にも記載しましたが、果実はめしべの柱頭に花粉がついて受粉することで子房の中に種子ができ、子房がふくらんで実になります。

しかし、ぶどうには単為結果という現象を利用して、子房をジベレリン液に浸すことで種なしぶどうを作ることができます。

ジベレリンは成長促進、種子の発芽促進、開花促進などの働きがある植物ホルモンです。

ジベレリン処理は開花の2週間前と開花の2週間後の2度にわたって行います。

1回目は、開花の2週間前に、ジベレリン溶液に花房をつけると、花粉の受精能力が失われます。

2回目は、開花して2週間後に再びジベレリン溶液に果房をつけると、子房が肥大します。

これらの処理をすることにより、種なしブドウが作られます。

現在、スーパーなどでよく見られるデラウェアのように、粒の小さい品種は、ほとんどジベレリン処理が行われており、種はありません。

しかし、この方法はすべてのブドウの品種に利用できるわけではなく、種なしにすると本来の味が落ちてしまうなど、品種によって、種なし処理ができないブドウもあります。

ブドウ農家にとって、ジベレリン処理は重労働なため、品種改良により元々種のできない品種が作られ、ブランド化を進めている産地もあるようです。

種なしぶどうは日本人が開発した技術

種なしぶどうを作るのに使用するジベレリンは日本人が発見しました。

山梨の農試果樹分場で、アメリカから導入されたデラウェアの果柄(個々の実を支える柄)を長くする目的で、ジベレリンを外部から与えたところ、偶然に種のないブドウができ、これがきっかけで、種なしブドウの生産技術が確立されました。

ちなみに、このジベレリンを世界で初めて発見したのも日本人です。

イネが背丈を伸ばしすぎて倒れてしまう馬鹿苗病を研究していた黒沢英一氏がジベレリンを発見し、その研究を引き継いだ藪田貞治郎氏が、ジベレリンを精製し結晶化することに成功しました。

まとめ

ブドウには、食べやすくするために種なしのブドウがあります。

植物には、受粉、受精がなくても、子房だけが発達して、果実が作られる単為結果が起る場合があります。

デラウェアなどの品種では、花が咲く前後2回ジベレリンという植物ホルモンをつけることにより、単為結果を起こさせ、種なしブドウを作っています。

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