米の食味ランキングは、毎年新聞やニュースなどで取り上げられ、●●産の●●というブランド米は特Aだとか報道されています。
これはどのようにして決まるのでしょうか?
米の食味ランキングの決め方
米の食味ランキングは日本穀物検定協会により食味官能試験が実施され、その結果が毎年2月に公表れています。
米の食味検査は、米の産地や品種ごとに、炊いた白飯を食味試験の訓練を受けた日本穀物検定協会の評価員が実際に試食して食味官能試験を行い、審査されます。
複数の産地のコシヒカリのブレンド米を基準米として、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目について、実際に試食した際の感覚的な相対評価を行うものです。
基準米を0点として、各評価項目について+3~-3の評点を付け、総合評価の点数の高いものが良いものと判断されます。
外観
米の白さ、ツヤ、てり、粒の形の崩れをチェックします。
香り
鼻で直接嗅ぐ以外に、口に含んで鼻に抜ける香りを確認します。
味
口に含んで数回噛み、甘み、旨味、酸味、塩味、苦みの優劣を判定します。
粘り
粘りが強ければプラス、弱ければマイナス評価とします。
硬さ
軟らか過ぎず、硬過ぎず、適度な噛みごたえがあれば評価が高くなります。
総合評価
5項目とは別に、全体的な印象としての総合評価をつけます。
基準米とおおむね同等の米を「A’」、良好なものを「A」、特に良好なものを「特A」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」としてランク付けしています。
食味ランキングは日本穀物検定協会のホームページで確認することができます。
米の美味しさは何によって決まるの?
米の美味しさはアミロース、タンパク質、水分、脂肪酸度と相関があることが解明されています。
アミロース
アミロースは米のでんぷんを構成する成分の一つで、アミロース含量が低いと、炊いたご飯に粘り気が出て、逆にアミロース含量が高いとパサパサした食感になります。
日本人は粘性の高い食物を好むため、アミロース含量が比較的低い米を美味しいと感ずる人が多いようです。
最も美味しいと評価が高いコシヒカリのアミロース含量は16%前後ですが、評価の低い品種の多くは、アミロース含量が25%前後あるいはそれ以上と高いのです。
タンパク質
タンパク質は、水を通さないため、炊飯時の米の吸水を妨げます。
タンパク質含量の高い米はパサパサしたご飯となり、逆にタンパク質が少ないと柔らかく、ふっくらした粘りのある美味しいご飯となります。
水分
水分が14%以下の米は炊飯前の浸水時にひび割れを起こし、デンプンが流出することにより、食味が悪くなり、14~15%が最適とされています。
脂肪酸度
米の脂肪は貯蔵して時間が経過すると徐々に遊離脂肪酸とグリセリンに分解されていきます。
遊離脂肪酸の割合が脂肪酸度で、米1g中の脂肪酸のmgで表します。
脂肪酸度の数値が高いほど古米化が進んでいます。
収穫直後の新米の脂肪酸度は、10~20が標準ですが、時間とともにこの数値は高くなります。脂肪酸度が低いほど新鮮で美味しい米になります。
新米および低温貯蔵された玄米は一般に脂肪酸度は20以下ですが、古米化した玄米は30を越えます。
同じ品種でもなぜ産地により味が変わるの?
食味に大きく関係するアミロース含量には品種間に差があり、それは遺伝的な特性なのですが、環境条件によっても変動します。
アミロースの合成に関係している遺伝子は温度により働きが変動します。
稲の穂が出てから収穫までの時期の気温が低いと、アミロース含量が高くなる傾向があります。
同じ品種を栽培しても産地により、また、同じ産地でも年によって美味しさに差が出る原因の1つは気温によるアミロース含量が変わるためです。
タンパク質は含量が低いほど美味しくなります。
タンパク質含量は稲の穂が出てから収穫までの時期の肥料の条件で変わってきます。
肥料を少なくすると、米のタンパク質含量は低くなり、美味しい米が得られる可能性が高くなるのです。
食味計による評価
米の美味しさは感覚的なものですから、実際に試食して評価を行う食味官能試験は
一つのすぐれた試験方法ですが、多くの手間と時間がかかるのが難点です。
米の食味と相関の高いアミロース、タンパク質、水分などの成分を測定して、これらの成分データから独自の計算式によって米の美味しさを点数で表示できるようにしたのが食味計です。
食味計の大部分は近赤外分析装置がセンサーとして組み込まれています。
近赤外線は波長が800~2500nm(nm:10億分の1メートル)の領域の光です。
近赤外線を米に照射し、その反射や吸収された度合いから、米に含まれるアミロース、タンパク質、水分の含有量を測定し、美味しさを点数で表示します。
食味計は複数のメーカーから製品化されていますが、メーカーによって測定法、計算式、点数は多少異なります。
食味計は米の販売店が食味値を掲示して販売したり、米の品評会では試食審査の前段階で食味計の点数が高いものだけを残したり、また、農家では食味計を参考にたんぱく質が低くなるように肥料の与え方を工夫するなど、幅広く活用されています。