奈良県には奈良公園、大仏、平城旧跡をはじめ、神社、寺など多くの観光地があります。
しかし、奈良県内のホテルなどに泊まる宿泊者数は全国で3番目に少ないのです。
ちなみに一番少ないのは徳島県です。2番目に少ないのが佐賀県です。
ここでは、奈良県はなぜ宿泊者数が少ないのかをご紹介します。
奈良県には多くの観光客が訪れる
大仏のある東大寺、法隆寺などの国宝の建造物の数や世界遺産の数は共に都道府県別で全国1位です。また、奈良を訪れる人は年間約3500万人に上ります。
奈良の宿泊客が少ない理由
奈良市内が比較的短時間で回れる
奈良の観光地は比較的近い所に集まっていて、半日かければ奈良市内の多くの名所を回ることができてしまいます。
日本人の場合、奈良を訪れるのは、大阪、京都、兵庫などの近畿エリアからの観光客が多く、奈良で宿泊する必要がないのです。観光客の8割近くが日帰り客なのです。
外国人や、日本の遠方からの観光客など宿泊が必要な場合は大阪、京都、兵庫などの宿泊施設に泊まるのです。
奈良-難波または三ノ宮、奈良-京都間ともに近鉄電車だけで移動でき、移動するのにそれほど時間はかかりません。
商売人が客を集める努力に欠ける
近鉄奈良駅の周辺は、土産物を販売している商店街が多くあり、昼間はお土産目当ての観光客や、地元の買い物客で賑わっています。
しかし、夜7時を過ぎると店はシャッターを閉め始め、8時にはほとんどが店じまいしてしまいます。
奈良の観光業者や地元の商売人は何もしなくても、大仏に参詣する観光客が立ち寄るので、進んで客を集める努力をしない、いわゆる大仏商法が身についてしまっているようです。
名産品が少ない
志賀直哉の随筆にも出てくる「奈良にうまいものなし」という有名な言葉があるように、奈良にはこれといった名産品が少ないのです。
建造物の厳しい高さ制限
古都の景観を守るため奈良県では条例により、建築物には厳しい高さ制限が設けられています。
建物の高さ制限があると宿泊施設では部屋数に影響するため、経営が成り立たなくなってしまうこともあります。
現在奈良県内で一番高いビルは「ホテル日航奈良」で、高さは46mです。
以前、奈良でビル建設工事中に地中から遺跡が見つかったため、工事が中断したという事例もあり、奈良の市街地に新たなホテルを建設することは難しい状況になっています。
2020年春には「JWマリオットホテル奈良」が開業予定ですが、このホテルもこの高さ制限の例外ではありません。