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雷は夏の風物詩となっていますが、北陸地方を中心とした日本海側では冬にもよく起こる自然現象です。
このように雷は身近な存在ですが、その発生の原理、仕組みについては案外知らないのではないでしょうか。
ここでは、雷が発光する原理、仕組みや雷がなぜゴロゴロ音がするのか記載しています。
雷が発生する原理、仕組み
雲のでき方
通常、空気は 水蒸気の形で水分を含んでいます。
空気は温度が高いほど、水分を水蒸気の形で多く含むことができ、温度が下がると、水蒸気の形で含むことができなくなり、水滴が発生します。
地上付近では、水分を水蒸気の形でもっていた空気が、何らかの理由で上昇気流が起こって、上昇すると、温度が低くなるため、空気中の水蒸気が水滴になります。これが雲です。
雲には、でき方や形状により層状雲と対流雲のふたつに大きく分けられます。
雷に関係する雲はこのうちの対流雲です。対流雲は上昇気流が原因で発生します。
対流雲はその発達段階により、積雲、雄大積雲(入道雲)、積乱雲にわかれます。
これらのうち、雷が発生するのは積乱雲です。
雲の帯電
通常1000m高度が高くなると、温度は約6℃低下します。
真夏に地上では30℃の温度であっても、5000mの上空では、0℃くらいになります。
雲は地上10km以内の対流圏で起こる現象のため、雲の中には水滴だけでなく、氷の粒やヒョウができます。
氷の中には、大きい氷も小さい氷もあり、小さい氷は上昇気流によってどんどん上にもち上げられますが、大きな氷は重力により落ちていくものもあります。
そのため、小さな氷と大きな氷は雲の中でぶつかり合い、すれ合うことになり、その摩擦により静電気が発生します。
その衝突した時に小さな氷はプラスに、大きな氷はマイナスに帯電することが知られています。
このようなプロセスが進むと、雲の上層部の小さな氷にはプラスの電気が、雲の下層部の大きな氷にはマイナスの電気が溜まります。
マイナスに帯電した下層部の雲と大地間は静電誘導作用によって大地がプラスに帯電します。
静電誘導とは、帯電した物体を導体に近づけると、帯電した物体に近い側に、帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象のことです。
空気の絶縁破壊
この静電気が十分溜まってくると、雲の下層と大地の間や雲の下層部と上層部との間の電圧が高くなってきます。
雲の下層部と上層部との電位差や雲の下層部と大地との電位差が大きくなって、ある限界値を超えると、空気が絶縁破壊を起こして放電します。
雲の下層部のマイナスの電気と大地のプラスの電気との間の放電が落雷です。
空気は絶縁体で、通常、電気は通しませんが、絶縁体に加わる電圧を増してゆくと、ある限度以上になると絶縁体は、突然、絶縁性を失って大電流が流れます。これが絶縁破壊という現象です。
平板電極を空気中に、ある間隔で2枚向い合って設置して、電圧をかけていくと、1cm当たり30kVで絶縁破壊を起こすといわれています。
絶縁破壊電圧は気圧や湿度などによっても変化し、雲と大地間は平板電極とはいえないので、実際にはこの電圧とは少し異なる電圧で放電すると考えられます。

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雷が発生しない通常の雨雲でも、内部にはヒョウや氷の粒が存在していることから電気を持っていますが、雷を発生させる雷雲の持つ電気に比べ小さくなっています。
雷の種類
雷には大きく分けて熱雷と界雷の2種類があります。
熱雷
夏の雷の代表的なものが熱雷です。
熱雷は太平洋高気圧に覆われた蒸し暑い晴れた日に起きます。太陽の強い日射によって地表が熱せられると、上昇気流が発生し、大気が不安定になり、雷雲の発生につながります。
また、日射によって地表が熱せられると、海から陸地に向かって海風が吹き込みます。
海風は陸地の奥の方まで進入し、山地まで到達すると、山地で風は強制的に上昇させられます。この上昇気流をきっかけにして雷雲が発生します。
界雷
界雷は異なった気団との境で発生する雷です。
そのため寒冷前線の接近、通過に伴う前線付近での雲の発達により発生します。
前線では寒気と暖気がぶつかって上昇気流が生じます。
寒気は密度が高いため、寒気が暖かい空気を押し上げることになります。
暖気が寒気に持ち上げられる形で上空に行くと、上空で空気が冷やされ雲が発生します。さらに発達を続けやがて雷雲になります。
界雷は、季節の変わり目などにはよく発生し、冬の日本海側、特に北陸地方では冬の初めに多発します。
雷の音はなぜ鳴るの?
雷のゴロゴロという音が発生する原因は、雷雲の溜まった静電気が、地表面との間で放電する時の雷のエネルギーの熱のために、空気は数万℃に熱せられて一気に膨張し、周囲の空気を激しく振動させるからです。
落雷時の放電は数万A、数億Vに達するものがあり、1/1000秒程度の短時間の間に雷のエネルギーが放出されます。
雷の音の大きさや違いは、雷が落ちた点までの距離が関係します。
近くでの落雷はバリバリというような鋭い大きな音になり、遠ざかるとゴロゴロと尾を引くように聞こえます。
また、同じ距離でも地形の違いや大気の状態が不安定で気温、気流が急変することもあり、音は反射、屈折、拡散などにより重なり合い複雑になります。
なぜ稲妻はキザギザに進行するの?
落雷の時の稲妻は一気に大地に到達するのではなく、進んでは止まり、また進んでは止まり、というように、枝分かれしながら数十μ秒(μ秒:1秒の百万分の1)おきに発光しながら、ステップ状に進んでいくので、ギザギザに光って見えます。
一つのステップの長さは雷によって違いますが、平均で50 m程度です。
この時、毎秒数百kmの速さで段階的にマイナスの電荷が大地や建物に向かって移動します。
この移動を何回か繰り返して最終的に大地に到達します。この現象をステップトリーダーと呼びます。
稲妻がなぜ一気に大地に到達しないのかは、まだ解明されていません。
ステップトリーダーが大地に到達した後、大地側から雲に向かって、このステップトリーダーの電気を打ち消すように、大地の電気が上昇していきます。これをリターンストロークと呼び、通常私たちが目にしている落雷は、このリターンストロークです。
まとめ
雷が発生する原理、仕組みは、上昇気流により生じた雲の中の氷の粒どうしの摩擦により発生した静電気が溜まり、これによる雲と地表面との間の電圧が、空気の絶縁破壊電圧に達した時に生じる放電現象です。
雷の種類は、雲の上昇気流の成り立ちの違いにより、熱雷と界雷に分かれます。
雷のゴロゴロという音が発生するのは、落雷の時に放電する雷のエネルギーの熱のために、空気は数万℃に熱せられて一気に膨張し、周囲の空気を激しく振動させるからです。
以上、雷が発光する原理、仕組みや雷がなぜゴロゴロ音がするのかについてご紹介しました。