ノウゼンカズラは中国原産の落葉性つる性植物です。
茎の節から細かい気根を出し、家の外壁や柵などに絡みついて生長していき、塀や垣根を乗り越えるようにして、7~8月にかけてオレンジや赤の鮮やかな花を咲かせます。
このようなノウゼンカズラですが、「ノウゼンカズラを植えてはいけない」と昔から言い伝えられています。
ここでは、ノウゼンカズラを植えてはいけない理由やルールを守れば安心して栽培できることをお伝えします。
ノウゼンカズラを植えてはいけない理由
ノウゼンカズラを植えてはいけないと世間で言われる理由が6つあります。
順番にみていきましょう。
縁起が悪いと信じる人がいる
ノウゼンカズラは植物単体で上に成長するのではなく、他の木やフェンス、柵
などに巻き付いて伸びていきます。
昔の人はこうした巻き付いて伸びる植物を、「家のあるじ(主)の首に巻き付いて、身動きをとれなくする」と解釈し、不気味で縁起が悪いものだと信じていました。
現在でもこのような考えをする年配の方もいらっしゃるようです。
毒があると信じられていた
ノウゼンカズラには毒があると以前は信じられていました。
その説の出どころは、江戸時代の学者である貝原益軒の著書「花譜」には、ノウゼンカズラについて、「花を鼻にあてて嗅ぐべからず、脳を破る。花上の露目に入れれば目暗くなる」と記載されています。
これは、ノウゼンカズラの花の蜜に手を触れると手がかぶれ、鼻を近づけると脳がやられ、花に触れた手で目をこすると失明するということを言っているようです。
ノウゼンカズラの花の蜜には「ラパコール」という毒性の成分が含まれているのは事実です。
ノウゼンカズラの花を触った手で目をこすると失明するというようなことはなく、少なくとも言われているような簡単に失明するような強毒性はないようです。
建物の外壁を傷める
ノウゼンカズラは茎や幹から「気根」を出して、建物の外壁や他の樹木に取り付きます。
気根とは、茎や幹から空気中に伸びる「根」のことです。
普通は土の中に伸びる根がノウゼンカズラの場合、外(空中)に伸びるんです。
この気根が建物の外壁に根を張ると、外壁に跡が付いたり、穴が空いて雨が染み込むといった被害が出るケースがあります。
長年ノウゼンカズラを壁に這わしたあと、撤去しようとしても、なかなか取れなかったり、跡が残ったり、外壁がボロボロになって塗替えが必要になったというケースもあるようです。
ツルがめちゃくちゃ伸びて庭木を覆い尽くす
ノウゼンカズラのツルは建物の外壁だけではなく、家の庭に生えている他の樹木にも取り付きます。
取り付かれた樹木は、日光が当たらなくなって、最悪枯れてしまうことにもなりかねまあせん。
手入れしないでそのまま放置すると、隣家の庭だけでなく、電信柱や電線まで伸びてしまう恐れもあります。
そのため一年の間に何度かは剪定する必要があります。
こぼれ種や地下茎でどんどん増殖する
ノウゼンカズラは花が咲いた後、毎年のようにエンドウ豆のような実ができ、この実が割れると小さな無数の種が地面へと拡散し、こぼれ種として芽が出ることになります。
また、ノウゼンカズラは地面の下で地下茎をどんどんどん旺盛に伸び、株から離れた場所にも新芽がでることがあります。
そして、いつの間にか株数が増えてしまい、庭がどんどんノウゼンカズラに侵食される恐れがあります。
一度植えたら根絶するのが難しい
ウゼンカズラが邪魔になったから、株を根元から抜いたとしても、それで一件落着とはいきません。
地面に残った地下茎や根は生きており、春先に離れた場所から芽を出すことになります。
地下茎は目に見えないので、庭の全域まで勢力を広げている可能性があります。。
一度植えたが最後、ノウゼンカズラを根絶するのは難しいです。
安全にノウゼンカズラを自宅で育てる3つのルール
ここまで読むとノウゼンカズラを自宅で栽培するのを尻込みしてしまうかもしれませんが、
あれだけ美しい花を諦めるのはもったいなさすぎます。
ルールさえ守れば自宅でも安全にノウゼンカズラを育てることができます。
そのルールとは
・地植えは諦めて鉢植えにする
・むやみに触れない
・子供やペットに触らせないように管理する
です。
地植えは諦めて鉢植えにする
繁殖をコントロールするのが難しいノウゼンカツラを安全に栽培するのは、地植えではなく鉢植えにすれば全ての被害を防ぐことができます。
鉢植えならツルの剪定も楽ですし、小さく育てれば隣近所から注目されることもありません。
もし不要になったときも簡単に処分することができます。
むやみに触れない
ノウゼンカズラには失明するほどの強い毒性はないものの、微量でも毒を含んでいるのは事実で、有毒植物の扱いになります。
ですから、ノウゼンカズラを剪定などで触れる際には素手では扱わないで、手袋を使いましょう。
もし、素手で触れた場合には、あとに目をこすったりしないといった点には注意が必要です。
特に肌が弱い人は気をつけたほうがいいでしょう。
子供やペットに触らせないように管理する
わずかでも毒のリスクがある植物を子供やペットのそばに置くのは不安があると思いますので、ノウゼンカズラを植えた鉢は、子供やペットが触れられない場所に隔離しておくのが一番です。
以上、ノウゼンカズラを植えてはいけない理由やルールを守れば安心して栽培できることをお伝えしました。