ヒマワリ(向日葵)はアメリカ原産の植物で、コロンブスがアメリカ大陸発見後、スペイン人がヨーロッパに持ち帰り、これが世界中に広がったものといわれています。
ヨーロッパに伝わった頃、ヒマワリは、太陽の動く方向に首を回す不思議な花だといううわさが広がり、「太陽について回る花」と呼ぶようになったといわれています。
しかし、ヒマワリが太陽の方を向いているのは、花が咲く前の若い時だけです。
花が咲いた後は、ヒマワリは太陽の方ではなく、東を向いています。
ここでは、若いヒマワリが太陽の方を向く仕組みやヒマワリの花がなぜ東を向くのかを記載しています。
若いヒマワリが太陽の方を向く仕組み
花を咲かせる前の若いヒマワリが太陽の光を浴びると、茎の先端が太陽の方を向くのは、日が当たらない茎の日陰側が日の当たっている側より、成長が早くて、よく伸びるからです。
茎の成長に関係しているのは、オーキシンという植物の成長ホルモンです。
太陽が東側にある場合、ヒマワリは東の方へ向き、時刻の経過とともに、太陽が西へ移動すると、後を追うようにヒマワリの茎の先端は西の方へ向きを変えていきます。
茎の日陰側は日が当たっている側より、オーキシン濃度が高くなり、良く成長するので、太陽の方へ曲がることになります。
茎に横から光が当たると、光が当たった側から日陰の側にオーキシンが移動するのです。
オーキシンは茎の先端部だけでなく葉でも作られています。
このオーキシンの作られる量は、当たる光の量には関係はありません。光は葉から茎へのオーキシンの輸送を促進する働きをしています。
光が斜め上方から当てられると、それぞれの葉に当たる光の強さに違いが出て、その違いによって、葉から茎へのオーキシンの輸送量に差が出て、茎が曲がると考えられます。
太陽は東から出て、西に沈むので、ヒマワリは朝は東に向き、太陽の光を追うように向きを変え、夕方には西を向きます。
そして、夜の間に、向きを変えて、明け方前には東を向いています。
ヒマワリは、芽生えの時だけでなく、つぼみをつけた後も、太陽を追って首を振っていますが、つぼみの中に黄色い花弁が見え出す頃から、西方向への首振り幅が徐々に小さくなります。
そして花が開花する頃には、茎の成長が止って硬くなるので、太陽の後を追って向きを変えることはなくなり、花は東を向いたまま静止し、運動をやめてしまいます。
ヒマワリは東向きに花を咲かせるのはなぜ?
ヒマワリが東向きに花を咲かせるのには、諸説あります。
一つ目は、植物は、青色の光を感じて、光の方に向って伸びていきます。
夕日は、日中の埃などで、青色光が吸収されて少ないため、植物にとってはとても暗く感じるので、西側ではなく、東側を向くという説です。
二つ目は、ひまわりの花が東向きになると、温度が上昇しやすくなり、花粉の媒介をする昆虫を引き付ける効果があるという説です。
3つ目は、夏は日中と夜間の気温差があるため、空気中の水蒸気が朝露となってあらわれ、東を向いていると、早く乾燥するので、病原菌の蔓延を防ぐことができるという説です。
まとめ
ヒマワリが太陽の方を向くのは、若い間だけです。
つぼみの中に黄色い花弁が見え出す頃までの若いヒマワリは、茎の先端を朝は東に向け、太陽が東から西へ移動するとともに、後を追うように、向きを西へ移動させます。
このヒマワリの茎の動きは、茎の日陰側の方が日に当たっている側より、成長速度が早いために起こります。
そして、夜間には、東側に向きを変えて、次の日に備えます。
ヒマワリの開花の頃には、成長はとまり、花は東を向いたまま向きを変えることはありません。
東向きになる理由は諸説ありますが、まだ解明されていません。
以上、若いヒマワリが太陽の方を向く仕組みやヒマワリの花がなぜ東を向くのかをご紹介しました。