刺身には大根、パセリ、生姜などの野菜が付いていて、これを「つま」と言います。
大部分の方は、刺身だけ食べてつまは残すのではないでしょうか?
ここでは、刺身についている「つま」の種類や意味について、また、マナーとして食べた方がよいのか、それとも残してもよいのかについて記載しています。
刺身の「つま」の意味
料理で「あしらい」という言葉があります。
「あしらい」とは、メインの料理を引き立たせるための添え物のことをいいます。
料理の彩りを鮮やかにし、香りや味のバランスを取るなど、あしらいがあるとメインの料理がぐっと引き立ちます。
焼き魚に添えるダイコンおろし、煮魚の上に盛りつける白髪ネギなどは、全てあしらいです。
刺身の場合のあしらいを「つま」と言います。
ですから「つま」は刺身を引き立たせるための添え物のことです。
つまの語源は刺身を引き立てるために欠かせないパートナーということで「つま」と呼ばれるようになりました。漢字では「妻」と書きます。
もう一つの説はメインとなる材料の端に添えるということで、「端」という意味がある「褄」と書くものです。
つまの種類
つまには、刺身に添えて飾る飾りづまと刺身の下に敷く敷きづまがあり、ワサビや生姜などのからみも、つまと呼びます。
飾りづま
飾りづまには、穂じそ、芽じそ、パセリ、食用菊、ワカメ、ボウフウ、トサカノリ、などがよく使われます。
「穂じそ」はシソの穂、「芽じそ」はシソの若葉のことで、どちらも青色のものと赤紫色のものがあります。
ボウフウはセリ科の多年草で、葉は濃緑、茎はすらっとしていて紅紫色の色合いを持ち、独特の香りのある野菜です。
トサカノリは海藻の一種で、緑色の青トサカノリ、紅色のトサカノリ、無色の白トサカノリの三色があり、刺身の彩りとしてよく使われます。
敷きづま
敷きづまは、ダイコン、ニンジン、キュウリ、カボチャなどの野菜を千切りにして使います。スーパーなどで売られている刺身は大根の千切りが使われていることが多いようです。
敷きづまは、関東では「つま」と呼び、関西では「けん」と呼ばれています。
「けん」とは刀の「剣」のことで、細長い物を意味します。
つまは食べる?それとも残す?
刺身は生ものであるため、つまに使われている食材は以下のっように殺菌作用、解毒作用があるものが多く用いられています。
食用菊
食用菊は殺菌作用があり、昔のように冷蔵技術がなかった時代は、刺身を食べた時の食中毒対策として、一緒に食べていたといわれています。
シソ
シソの独特の香りの成分はペリルアルデヒドです。
ペリルアルデヒドには防腐作用(制菌作用) があり、魚やカニの中毒に対しては解毒剤として用いられます。
大根
大根のイソチオシアネートには血液をさらさらにする作用、解毒作用などが期待でき、しかも生の状態の方が効果が強く発揮されます。
生姜
辛味成分のショウガオールは強い抗菌、抗酸化作用があります。
わさび
ワサビの有効成分は辛みにあり、その主成分はアリルイソチオシアネートです。
アリルイソチオシアネートには、抗菌効果や殺菌効果、食欲増進効果などがあります。
パセリ
パセリの独特な香りの成分は、ピネンやアピオールです。
つまは単に刺身の見栄えをよくするだけでなく、殺菌効果、解毒効果のある食材が使われ、先人の知恵と工夫がこらされています。
衛生的な効果を得るためにも、つまはできるだけ食べることが望ましいのです。
まとめ
料理には「あしらい」というものがあります。
あしらいとは、メインの料理を引き立たせるための添え物のことで、刺身のあしらいが「つま」です。
刺身に添えて飾る飾りづまと刺身の下に敷く敷きづまがあります。
つまに使われる食材は、解毒、殺菌作用のある食材が多く使われていて、先人たちの知恵が詰まっています。
刺身だけ食べて、つまは食べない人が多いようですが、衛生面からもつまは食べることが望ましいのです。
以上、刺身についている「つま」の種類やその意味についてご紹介しました。
つまはできるだけ残さないで食べるようにしましょう。