感電の人体への影響とは? 症状と防止対策

出典:http://hukumusume.com

毎日何気なく使用している電気製品による感電事故は少なくありません。

特に水気のある場所で使用する家電製品には注意が必要です。

ここでは感電することによって人体に与える影響や防止対策などについて記載しています。

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感電の人体への影響

感電とは?

通常、電化製品や電線は直接電気と接触できないように絶縁物により保護されていますが、何らかの原因で絶縁不良になり、電気が通じている部分に人や動物が触れると、体内に電流が流れダメージを受けることがあります。これが感電です。

水が高い所から低い所へ流れるように、電気も電圧の高い方から電圧の低い方へ流れます。

電流が流れるには、電流の通る道が一つの輪のようにつながっていなければなりません。すなわち、電流の戻る道がなければなりません。

下の左に図のように、人が電圧のかかっている電線に手でぶら下がって、足が浮いている状態では感電しません。

この時、人体には電流が流れないからです。電線にとまっている鳥が感電しないのは同じ理由によります。

右の図のように、電線にぶら下がった状態で大地(地面)に足がついている場合には、電線に触れた手と地面の間に電位差があるので、人体に電流が流れ感電します。

電線に使われている銅などの金属は電気をよく通します。大地(地面)は、金属ほどではありませんが、電気を通します。いわば、大きな電線と考えることができます。

もう少し厳密に言うと、
各家庭に来ている交流電源の2本の線のうち1本は大地(地面)と接続されている(アースが取られている)ので、このラインと地面間には電圧がかかっていないので、感電することはありません。

しかし、交流電源のアースされていないもう一方の電線ラインと地面間には電圧がかかっているので、触ると感電します。

通常、2本の電源ラインのどちらがアースされているのか分からないので、とにかく交流電源には絶対触れてないようにしましょう。
 

感電時に流れる電流

感電した時にどれくらいの電流が流れるのでしょうか。

電気でオームの法則というのがあります。

抵抗R(Ω)に電流I(A)が流れると電圧降下V(V)が発生した場合、電圧降下Vは電流と抵抗の掛け算V=I×Rで計算することができます。これがオームの法則です。

この法則から電流Iは電圧降下V を抵抗で割れば計算できます。
I=V÷R

人体の抵抗は、皮膚が乾燥した状態では通常4000Ωといわれています。

このとき100Vの電気に感電したら、1OO(V)÷4000(Ω)=0.025(A)となり、人体には25mAの電流が流れます。

水分や汗で皮膚が濡れている状態では、人体の電気抵抗が大幅に下がり、電気が体内を通りやすくなります。

この時の抵抗は2000(Ω)といわれているので、100Vに感電すると、0.05(A)、すなわち50mAが体に流れます。

電圧が高くなると人体に流れる電流は大きくなるので、危険度はその分高くなります。

屋内では、床材や敷物などの抵抗が人体の抵抗に加わりますから、流れる電流は先に計算した値より少なくなりますが、感電はします。

感電の人体への影響

感電による人体の反応は、体内を流れる電流の大きさ、通電時間、通電経路によって変わってきます。

人体に約 1 mA の交流電流が流れると、しびれを感じ始めます。

約 10 mA の電流であれば、自力で充電部から離れることができますが、20mAを超えると自力で充電部から離れることができなくなり、50mAを超えると死に至る確率が高くなります。

この現象は、人体の神経回路での情報伝達は微弱な電気信号により行われていますが、感電により人体に電流が流れると、本来行っていた微弱な電気信号の情報伝達ができなくなり、心臓や肺などの重要な循環器系などの機能が働かなくなるので死に至るのです。

交流電流により人体の症状は大体以下のようになります。

1mA:ビリッと感じる。
5mA:苦痛を感じる。
10mA:耐え難い苦痛を感じる。
20mA:筋肉がけいれんし、神経が麻痺して自力では動けなくなる。
50mA:呼吸が困難となり、死に至る確率が高くなる。
100mA:心臓の筋肉が障害を起こし、呼吸が停止し死に至る。

感電は体内を流れる電流が大きく、かつ時間が長いほど危険になります。

特に電流が流れる経路に心臓があると非常に危険で、最悪死亡することも少なくありません。

日本では過去に35Vで感電して死亡した例があるようです。

それでは、次に感電を防止するにはどうすればよいのか見ていきましょう。

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感電事故の防止対策

漏電遮断機の有無を確認する

漏電遮断機は漏電(絶縁不良)を検知した場合に、電源ラインを遮断する装置です。

一般家庭で設置されている漏電遮断器の動作規格は、感度電流15mA、動作時間0.1秒以内と決められています。この規格はこれくらいの程度なら人体に危険は及ばない範囲とされている値です。

家庭用ブレーカーには通常、漏電遮断機が付いていますが、旧タイプのものは付いていない場合もあるので、漏電遮断機が付いているかどうか確認しましょう。

漏電遮断機が付いていない場合は、漏電遮断機付きのものに変更する必要があります。

漏電や感電が起こったことを検知していますから、漏電遮断器が電源ラインを遮断するまでの間は、物や人体に電流が流れていることになります。

この間のダメージを小さくするには、次に記すアースを取ることが重要になってきます。

アース(接地)を取る

感電事故を防ぐためには、アース(接地)を取ることが重要です。

アース(接地)は地球(Earth)がその名前の由来となっています。

「アース(接地)を取る」とは、例えば電気機器の金属製外箱を地球(大地)と電気的に接続させることです。

アース線を接続していな場合、漏電(絶縁不良)している箇所に人が接触すると、人体が電気の通り道となって、ダメージを受けます。

アース線は、洗濯機、冷蔵庫、食器洗い機、トイレのウォシュレットなど、水気のある場所に設置する電気機器には、機器の金属製外箱と大地を電気的に接続する接地工事をすることが、「電気設備技術基準」で義務付けられています。

アース線の接続は、以前はエアコンの室外機や洗濯機など、機器ごとに直下の地面に接地棒を埋め込んで行われていましたが、最近ではブレーカーで大地にアース接続を行い、そこから家庭内のコンセントにアース線を配線してコンセントで機器との接地を取る方法が一般的になっています。

コンセントについているアース端子に接続することで、万一漏電などで電気に触れても、電流の大部分はアース線を通じて地面に流れるので、人体に及ぼす影響は小さくなります。

コンセントキャップ、コンセントカバーの使用

ハイハイを始める時期から5歳前後までのお子さんがいる場合には、例えば、プラグをなめたり、金属片などをコンセントの穴に差し込んで、感電して、やけどなどを負った事故が約6年間に30件前後起きています。

小さいお子さんがいる家庭では、コンセントの差し込み口を塞ぐコンセントキャップや、コンセント全体を覆うコンセントカバーを使用することをおすすめします。

濡れた手で電気器具などを触れない

水は電気を通しやすいため、濡れた手で電気器具やプラグ、コンセントには触れないようにすることが大切です。

また、浴室内に電源コードを引き込んで、スマホなどを充電しながら使用していて、感電死している事例もあり、水のある場所での電気製品の使用は非常に危険です。

破損している電気器具の使用はやめる

破損しているプラグやテーブルタップも、感電の原因になる可能性があるため、不具合を見つけたら使用を控えましょう。

まとめ

感電の人体に与える影響や防止対策についてご紹介しました。

感電事故は電気工事などの作業中に起こることが多いですが、一般家庭でも起こることがあります。

漏電遮断器の設置やアース線を接続することにより、感電事故は大幅に減らすことができるので、上に記した感電事故の防止対策をチエックしてみて下さい。

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