打ち水の原理とは?どのような効果があるの?


打ち水は、玄関、庭先に水をまき、涼しくするための日本の昔からの風習です。

昔は夏に打ち水をする光景をよく見かけたものですが、現在では、その光景を見ることは、ほとんどなくなりました。

しかし、2003年から打ち水大作戦という運動が全国で展開されるようになり、打ち水に関心が高まっています。

ここでは、打ち水の原理やどのような効果があるのか、また、打ち水の方法も記載しています。

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打ち水とは?

打ち水は道路や庭先などに水を撒くことで、涼しくする昔からある生活の知恵です。

元々、打ち水は、地面に土埃が舞い上がるのを防ぐための工夫でしたが、夏の間は、熱くなった地面の熱を奪うため、冷房と同じような効果があります。

冷房などがない時代から、玄関先や庭などに打ち水をすることで、涼気が得られることを、昔の人は、経験的に知っていたのです。

打ち水の方法

使用する水

打ち水で使用する水は、エコの立場から、水道の水は使用せずに、風呂やシャワーの残り水、エアコンの室外機から出た水、雨水、台所のすすぎの残り水などの2次利用水を使用しましょう。

撒く水の量

打ち水に必要な水の量は、1m当たり約1ℓです。

1回で撒くより、何回かに分けて撒いた方がより効果的です。

時刻

打ち水は行う時間帯によって得られる効果が変わります。

朝と夕方に行うのが効果的です。

打ち水によって、最も気温が下がるのは昼間ですが、昼間に打ち水を行うと、水が短時間で蒸発してしまいます。

また、蒸発した水のため、周囲の湿度が高くなり、場合によっては蒸し暑くなって不快感が増す場合もあります。このため、昼間に打ち水をする場合は、日陰を狙って撒くのが効果的です。

道具

昔は、木の桶に水を入れて、ひしゃくで、汲んで地面に撒くという方法で行っていましたが、ひしゃくがなくても、手でバシャバシャと撒いてもOKです。

また、ジョウロやペットボトルで水を撒いてもかまいません。

熱射病を防ぐために、できれば帽子を着用しましょう。

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打ち水の原理

打ち水によって涼しくなるのは、水そのものが冷たいからではありません。

水が蒸発するときに地面の熱を奪うので涼しくなるのです。

液体が気体に変化する時に、奪う熱を気化熱または蒸発熱といいます。

液体である水が、気体である水蒸気に変化する時も熱を奪います。

1気圧、100℃のときの水の気化熱は、539cal/g(2264ジュール/g)であり、20℃では586cal/g(2461ジュール/g)、0℃では596cal/g(2503ジュール/g)です。

打ち水で、水が蒸発する時には、湿度も上がって一瞬ムッとしますが、気化熱を地面から奪うので、その後は、周囲の温度は下がって涼しく感じられます。

マンション、アパートのような集合住宅の場合は、ベランダに水を撒くことにより、同じ効果が得られます。

特に、都市部では、道路の表面をアスファルト、コンクリート等で覆われていて、熱を蓄えています。

このため、都市の気温が上がって、ヒートアイランド現象が起こっています。

打ち水により、アスファルトやコンクリート等の表面に水を撒くことで、直接、地面の表面温度を下げることができ、地面が冷えれば、その場所の気温は低くなります。

地面が濡れている場所では、水が地面から、たえず熱を奪って蒸発しようとするので、濡れている場所の方が、そうでない場所より涼しいということになります。

保水性の高い土や芝生が、コンクリートやアスファルトよりも涼しいのはこのような理由からです。

打ち水の効果

地表面温度低下、放射の減少

水が散布された表面は温度の低い水が覆い、また、水が蒸発することによって道路やアスファルト面の温度が下がります。条件によっては地表面温度が10℃以上下がる場合もあります。

また、道路やアスファルトの湿った表面は黒くなるので、日射の反射率も低下し、地表面からの太陽の照り返しや地表面からの赤外放射は減少します。

気温の低下

地表面の温度が低下すると、気温も低下しますが、地表面の温度の低下ほど大きくなく、せいぜい1℃程度です。

打ち水を行っていない場所から風が吹き、温度の高い空気が運ばれて来ることがあるため、実際の温度低下幅は気化熱などから推測される値を下回ることもあります。

気温の低下は僅かですが、地表面の温度が大きく低下し、太陽の照り返しや地表面からの赤外放射の減少の影響が大きいので、体感的には涼しく感じられます。

湿度増加、風

打ち水は蒸発を伴うので湿度は必然的に増加します。

また、打ち水による、気温低下で、空気の密度が大きくなり、周囲との気圧の圧力差が生じるため、打ち水の後にはそよ風を感じる場合もあります。

以上のように、打ち水により、その近辺では、一定の清涼感は得られますが、建物の内部にまで、どの程度の効果が得られるのかは、情報がなく不明です。

建物内部にまで、効果を得ようとするには、打ち水よりも、むしろ、緑のカーテン(グリーンカーテン)の方が適しているかもしれません。

緑のカーテンについては、記事「緑のカーテンはどれくらい効果があるの?温度、節電効果は?」を参照してください。

以上、打ち水の原理と効果についてご紹介しました。

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