赤潮と青潮の違い|どちらもプランクトンが関係

赤潮も青潮も海が着色する現象です。

赤潮はニュースなどでも時々報道されるので、聞いたことがあると思いますが、青潮はあまり聞きなじみのない言葉かもしれません。

東京湾では、赤潮は年に数十回程度起こっているのに対して、青潮はその10分の1程度の頻度だからかもしれません。

本記事では赤潮と青潮の違いについて記載しています。

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赤潮と青潮の違いとは?

赤潮

出典:http://lotus03.seesaa.net

赤潮は湾内や淡水と海水が混じった汽水域など比較的閉鎖的な海域で、プランクトンが大繁殖して海面が着色する現象です。

プランクトンは、水中で浮かんだまま生活している生物のことで、比較的大きなものもありますが、大部分は顕微鏡でその形が確認できる程度の小さい生き物です。

海水が赤みを帯びた色になることが多いので赤潮といいますが、必ずしも赤色になるとは限りません。

赤潮の色は原因となるプランクトンに含まれる色素によって決まり、赤色の他に、褐色、桃色、黄褐色、乳白色、緑色などがあります。

海水の栄養素の量や温度など、いい条件が重なった時、ある特定のプランクトンが爆発的に増えます。それによって海が色づいて見える現象が赤潮です。

プランクトンには植物プランクトンと動物プランクトンがありますが、赤潮を発生させるのは植物プランクトンです。

赤潮を発生させる代表的なプランクトンの一つがケラチウムです。

これは渦鞭毛藻仲間で、鞭毛を動かして泳ぐことができ、日本中の沿岸に生息しています。 

スケレトネマは赤潮を発生させる珪藻の代表で、春から秋にかけて発生します。

また、夜光虫も赤潮を発生させるプランクトンの一種で、夜になると発光することから、赤潮が発生したところが夜に光り輝いて見えるため、話題になることがあります。

時期的には春から夏にかけて発生することが多いようです。

赤潮の原因

植物の成長には適度の水分、日光、肥料が必要です。

海中に生息する植物プランクトンもそれと基本的には同じです。

植物プランクトンは海水中に溶けている、けい酸塩、りん酸塩、しょう酸塩などの栄養塩類を栄養源としています。

赤潮の原因は、一言でいうと、海水の富栄養化です。富栄養化は栄養塩類が豊富にある状態のことをいいます。

河川などから海に流れ込む水は、一般家庭の生活排水、工場排水、農業排水などの流入により、有機物、リン、窒素などの栄養塩類が多くなります。

栄養塩類が多くなると、陸上の植物の肥料と同じように、海中の植物プランクトンに働き、その結果、植物プランクトンの異常繁殖が起こります。また、それを捕食する動物プランクトンも異常に増えます。

気温が上がると、多くの植物プランクトンは活動しやすくなり、赤潮も発生しやすい環境になります。

陸上の植物は生長すると、どんどん大きくなりますが、植物プランクトンは大きくなる代わりに、分裂して数をどんどん増やしていき、赤潮の発生につながります。

赤潮の影響

赤潮が発生するとプランクトンの呼吸作用により、海中の酸素量が極端に低下します。

このような海水は酸欠状態になるため、魚介類は死んでしまいます。

また、プランクトンが魚のエラを塞いで窒息死させたり、ある種のプランクトンでは強い毒性を持つものがあり、その毒で魚が死んだりすることもあります。

このように赤潮は水産業に大きな被害を与えます。

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青潮

出典:http://www.sankei.com

 

青潮は主に秋に起こる現象で、その名が示すように、一見するとサンゴ礁のような美しいエメラルドグリーンになります。

青潮の原因

夏の間に大量に発生したプランクトンの死骸は海底に溜まります。

その付近では細菌類が大量の酸素を使って分解するため、酸素が極端に少ない海水の塊ができます。

通常、このような酸素がない海水の塊は潮流により撹乱され、分散されますが、内湾のような閉じた水域や窪地では分散されにくく、無酸素の塊のまま存在します。

秋になって、北寄りの風が吹くようになると、太平洋岸では陸から海に向かって、海面付近の海水の移動が起こります。

これにより、海底に溜まっていた無酸素の海水が海面付近や浅瀬に移動すると、そこにいる生物は酸素がないので、窒息死します。

人間をはじめとする生物の大部分は酸素がないと生きていくことができませんが、酸素がなくても生息できる嫌気性細菌(けんきせいさいきん)というものがいます。

嫌気性細菌の一種の硫酸還元菌は、無酸素の海水中でも生息でき、海水中に多く存在する硫酸イオンから、硫化物イオンや硫化水素などの硫化物を発生させます。

できた硫化物は海面近くの酸素によって酸化され、硫黄や硫黄酸化物の微粒子が生成され、海水中に一様に分散し、太陽光を反射して海水を乳青色や乳白色 に変色させます。これが青潮です。

青潮の付近は硫化水素特有の卵が腐ったようなニオイがします。

青潮の影響

青潮になると、その海水中には酸素が全くかあるいはほとんどないので、魚介類がほとんど死んでしまうほどの被害が発生する場合があります。

赤潮、青潮の対策

赤潮も青潮もその根本的な原因は海の富栄養化によるプランクトンの大繁殖にあります。

従って、根本的な対策は、栄養塩類の海への排出をくい止めることです。

まとめ

赤潮と青潮はどちらも海が着色する返照で、プランクトンが関係しています。

その根本原因は生活海水、工場廃水、農業廃水などが海水に混じることにより、

プランクトンの栄養となる栄養塩類が多くなることにより、プランクトンが異常繁殖し、海面が着色する現象です。

一方、青潮は、プランクトンの死骸が細菌に分解された結果、無酸素の海水の塊ができ、そこで生息する嫌気性細菌の一種が、海水中の硫酸イオンを基に制裁した硫化物が太陽光の作用で着色したものです。

赤潮も青潮も海水の富栄養化が根本原因であり、これを解決することが対策になります。

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