生きた化石「シーラカンス」の味は?寿命や生息地はどこ?

シーラカンスは、生きた化石といわれています。

化石のことは知らなくても、シーラカンスの名前は聞いたことがあると思います。

日本人の中に、このシーラカンスを食べた人がいます。どんな味がしたのでしょう。

本記事では、シーラカンスの特徴や寿命、生息地、なぜ生きた化石と呼ばれるのか、日本で見られる水族館についても記載しています。

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シーラカンスの味は?

日本人でシーラカンスを食べた人は二人います。

そのうちの一人は魚類学者の末広恭雄博士です。

末広恭雄博士は、1982年に運良く手に入れたシーラカンスの冷凍標本の一部で、試食会を行いました。

その時のメニューは、刺身や塩焼き、油いためなどですが、「こんなまずい魚は食べたことがない」というのがその時の感想です。

また、1983年には週刊少年ジャンプの企画で、ドラゴンボールの原作者の鳥山明氏がシーラカンスを食べました。

「生のシーラカンスの肉はスポンジのようで、非常に水っぽく、味が何もなかった」というのがその時の感想です。

また、シーラカンスは南アフリカで捕獲されて、シーラカンスと判明するまで、現地では以前からたびたび捕獲されており、「まずくて食べられない魚」と評判が悪かったようです。

シーラカンスはなぜ生きた化石と呼ばれるの?

シーラカンスが繁栄したのは古生代から中生代にかけてです。

シーラカンスは、約3億8000万年前に地球上に出現し、その当時は世界中の海や湖に広く生息していて、約6500万年前に恐竜などとともに絶滅したと考えられていました。

ところが、1938年に、南アフリカのイーストロンドンを流れるチャルムナ川の沖合で、奇妙な魚が捕獲され、調査の結果、それがシーラカンスであることが判明した。

その後、1952年にはマダガスカル島に近いコモロ諸島でも発見され、さらに1998年、インドネシアのセラウェシ島の沖合でも、南アフリカで発見されたものとは別の種類のシーラカンスが発見されました。

これらのシーラカンスが発見された海域はいずれも、水深がたいへん深く、このような深海に進出した種類だけが、他の仲間を滅ぼした原因から逃れ、その後、登場した運動能力の優れた魚類に生息場所を追われながらも、細々と生き残ってきたと考えられています。

シーラカンスの化石や捕獲した生体から、約3億8000万年前に地球上に出現してから、現在に至るまで体の基本構造は変化していないことが分かっています。

このように、化石として発見されている生物によく似た姿形で、現在も生存している生物は、生きた化石と呼ばれています。

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シーラカンスはなぜ進化しなかったの?

生物が進化するのは、環境に適応するためです。

シーラカンスが生息した深海の洞窟には、これといった天敵が存在せず、非常に安定した環境だったので、そのような環境で生活してきたので、進化する必要がなかったのではないかと考えられています。

シーラカンスの生息地 

シーラカンスの生息地域として判明しているのは、南アフリカのコモロ諸島と、インドネシアのセラウェシ島周辺です。

シーラカンスは、体長が100~200cmくらいの大きさで、160~200mの深海の底や洞穴で、小さな群れをなして生活しています。

シーラカンスの寿命

魚の年齢を知るには、ウロコの年輪を測定する方法がありますが、シーラカンスのウロコは他の魚のように経年変化しないので、特定の個体の年齢を特定するのは困難なようです。

動物行動学の専門家ハンス・フリッケ氏の研究グループは、21年にわたって、アフリカのコモロの近海で発見されたシーラカンスの300~400匹の個体群を潜水艇によって写真と動画を撮影し、研究をしました。

その結果、毎年約4.4%の個体が死んでいるという結果から、シーラカンスの寿命は約103年と試算されています。

シーラカンスの特徴

出典:http://keirinkan.com

浮き袋

魚類は通常、浮力を調整するための浮き袋を持っていて、浮き袋の中の空気量を調整して水中でのバランスをとっています。

シーラカンスの胃の中からは、イカなどの海面近くに生息するものや、水深200m以上の深海に生息するものなど、多くの種類の魚が見つかっています。

このことから、日中は光りの届かない海底にいて、夜になると海面近くまで上昇するという、ほかの魚には見られない珍しい生態がわかってきました。

海面と水深200mでは、水圧が大きく変化し、空気の入った浮き袋では急激な水圧の変化には対応できません。

そこで、シーラカンスの浮き袋には、空気の代わりに水よりも軽い脂肪が詰まっていて、水圧の変化にも対応することが可能となっています。

ヒレ

シーラカンスの最も特徴的なのはヒレです。

尻ビレが2種類、背ビレが3種類あるなど、全身に合計で10個のヒレを持っています。

泳ぐときは第一尻ビレと第二背ビレを同じ方向に動かし、方向を変えるときには、胸ビレを駆使して第一背ビレと胸ビレ、腹ビレで体のバランスをとります。

普通の魚のヒレは体に直接ついていますが、シーラカンスのヒレには柄のような部分があって、その中に独特の骨があります。このようなヒレを肉ビレと呼びます。

まるで腕のように見えるヒレには多くの筋肉がついていて、手足のように動かすことができます。

背骨がない

背骨がないこともシーラカンスの大きな特徴となっています。

固い背骨の代わりに、脊柱と呼ばれるホース状の管が頭から尾ヒレまでつながっています。
その脊柱の中は油のような液体で満たされています。

シーラカンスの呼び名の由来は、脊柱はギリシャ語でシーラカンスと呼ばれることから来ています。

繁殖方法

シーラカンスの繁殖方法は魚類の一般的なものとは大きく異なっています。

化石で発見されていた当初、腹部に子どもの魚が入っていたため、シーラカンスは子どもを産む魚と思われていました。

その後、実際に捕獲されたシーラカンスを解剖したところ、腹部からグレープフルーツくらいの大きさの卵が出てきました。

このことから、シーラカンスは母親のお腹の中で卵を孵化させ、幼魚が30~40cmほどの大きさになるまで体内で育てた後、体外に産み出すことが分かってきました。

このような生殖方法を卵胎生と呼び、エイやサメ、熱帯魚の一部が、このような方法で繁殖しています。

シーラカンスを見られる水族館

シーラカンスは深海魚であり、水圧や水温が変化すると弱ってしまうので、実際に泳いでいるところを見られる水族館はありません。

生きているシーラカンスに日本で会うことは、残念ながらできません。けれども、本物の標本などが展示されている水族館や博物館はあります。

沼津港深海水族館シーラカンス・ミュージアム
5体のシーラカンスが展示されていて、そのうちの2体は世界でも珍しい冷凍個体の展示です。

また、0.6mm幅でCTスキャンを行って再現した立体映像も見ることができます。

アクアマリン福島
現在生息が確認されているシーラカンスは、アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンスの2種ですが、この2種類の標本を同時に見られるのは、ここだけだそうです。

以上、シーラカンスはどのような味がするのか、また、特徴や寿命、生息地、なぜ生きた化石と呼ばれるのか、日本で見られる水族館についても記載しました。

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