
出典:Wikipedia
ナナフシの細長い体と脚で樹上をゆっくりと歩く姿はユーモラスで、人気のある昆虫の一つとなっています。
ナナフシはどうして木の枝にそっくりな姿をしているのでしょうか?
どのような餌を食べて生きているのでしょうか?
ナナフシの名前の由来
「七転び八起き」ということわざがあります。
何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力することの意味で使われることわざです。
この七は具体的な数値ではなく、たくさんという意味です。
ナナフシは漢字で七節または竹節虫と書きます。
ナナフシの体に7つの節があるということではなく、ナナフシの体にはたくさんの節があるということからナナフシという名前がついたようです。
ナナフシはなぜ木の枝にそっくりなの?
一般にある生物が何かに似せて他の生物をだますことを擬態と呼びます。
最も多い擬態は、食べられないようにするための擬態です。
森の中には多くの昆虫などの虫が暮らしていますが、なかなか姿を見ることができません。
昆虫は、鳥や小型、中型の動物の格好の餌になるため、これらの天敵に見つからないように
じっと身を隠しているのです。
ナナフシも擬態する昆虫のうちのひとつです。
ナナフシは毒やトゲなど、自分の身を守る手段を何一つ持っていません。
天敵に見つかれば、食べられ命はありません。
ナナフシの天敵は、鳥、カマキリ、ヤブキリ、スズメバチ、クモなどです。
ナナフシは身近にいる昆虫ですが、その体が木の枝にそっくりなため、なかなかその姿を見つけることはできません。
ナナフシは体をゆっくりと揺らしながら動きます。こうして、まるで枝が風に揺れるように見せているのです。
ナナフシは夜行性で、日中はじっとして枝そっくりに擬態し、夜間に植物の葉などを食べています。
ナナフシの餌、食べ物
ナナフシは基本的に植物を食べます。
種類によっては特定の植物しか食べないものもいますが、大部分のナナフシは食性の幅が広く、融通がきくことが多いです。
ナナフシの餌としては、サクラ、バラ、キイチゴなどのバラ科植物やブナ、シイノキ、コナラなどのブナ科植物の新葉または柔らかい葉を与えると、そのうちの気に入ったものを食べてくれます。
ナナフシの卵

出典:Wikipedia
ナナフシの卵の形は種類により異なりますが、 いずれも硬い殻におおわれていて、植物の種子によく似ています。
ナナフシは成虫だけでなく、卵の段階でも植物に擬態している昆虫なのです。
卵の産み方も種類によって異なります。
落下方式
ナナフシの大部分の種類は、地表へ卵を1個ずつ産み落とします。
粘着方式
タイワントビナナフシやハチジョウナナフシでは、粘液で卵を食植物や他物へ付着させます。
樹上方式
ヤエヤマツダナナフシは食植物の葉の基部と幹の間に卵を産み置きます。
ナナフシの幼虫
昆虫は体の形を変えながら成長していきます。これを変態とよびます.
昆虫には、幼虫からさなぎの時期を経て成虫になる完全変態をするものがありますが、ナナフシの変態は、卵から成虫への成長の過程でさなぎの時期がない不完全変態です。
卵→幼虫→成虫
幼虫と成虫の姿はほとんど変化がなく、生活している場所もほとんど変えません。
ナナフシの成虫は羽のある種類と羽のない種類とがあり、大部分は羽がありません。
羽のない種類では幼虫と成虫の区別が難しいことがあります。
ナナフシは脱皮を繰り返して成長していきますが、脱皮回数は5~6回程度です。
ナナフシの種類
世界には約2500種類のナナフシが確認されています。
体の色は緑色や褐色をしています。
日本では北は本州から南は沖縄までほぼ全国的に生息していて、夏の初めから秋の終わりにかけて見ることができます。
日本では以下の18種類のナナフシの生息が確認されています。
・ナナフシモドキ
・エダナナフシ
・ヤスマツトビナナフシ
・ニホントビナナフシ
・シラキトビナナフシ
・タイワントビナナフシ
・ヤエヤマツダナナフシ
・トゲナナフシ
・メスツヤエダナナフシ
・メススジエダナナフシ
・メスホソエダナナフシ
・メスフトエダナナフシ
・ニセエダナナフシ
・セオビエダナナフシ
・ミナミエダナナフシ
・ハチジョウナナフシ
・アマミナナフシ
・コブナナフシ
ナナフシの体長は7~10cmくらいのものが多いですが、大きいものでは数十cmくらいのものもいます。
世界最大の虫は実はナナフシの仲間です。
2014年に中国の山でそのナナフシは発見されました。
そのナナフシは「フリーガニストリア・チャイネンシス・ツァオ」という名前で全長は62.4cmもあったそうです。
ナナフシとナナフシモドキ
ナナフシは、節足動物門昆虫綱ナナフシ目に属する昆虫の総称です。
ナナフシモドキは、ナナフシ目に属している1つの種類です。
通称名としてナナフシと呼ぶ場合に、ナナフシモドキと呼ぶ場合が多いようです。
ナナフシの飼育
ナナフシは性質がおとなしく、飼育は難しくありません。
ナナフシはゆっくり動作しますが、意外と動き回るので比較的大きめの透明プラスチック製の虫かごや水槽ケースが適しています。
また狭いケースに多数を入れると、脱皮や羽化のときに互いに傷つけあうことがあるので、大きめのケースに少数入れるようにしましょう。
虫かごの中に水が入った瓶を入れその中にバラ科やブナ科の葉を入れます。
ナナフシの幼虫は上へ登る傾向があるので、幼虫を飼う場合には餌はケースの天井付近に設置するようにしましょう。
ナナフシは新鮮な柔らかい葉を好むので定期的に交換するようにしましょう。
ナナフシの寿命は、成虫になってからは2~4か月ほどで、幼虫期間は4~6か月ほどです。
ナナフシの入手
ナナフシの入手は森や林で採取するのがベストですが、それができない場合には通販やオークションでも入手することができます。
成虫の他、卵の状態での入手も可能です。
ナナフシには毒があるの?
ナナフシには毒があるといわれることがあります。
ナナフシに毒があると言われているのは、江戸時代の「千蟲譜」という図譜の中にナナフシのことを「大毒蟲(おおどくちゅう)」と記されていたからですが、これは誤りです。
アメリカに生息するナナフシには毒があるものがあるようですが、日本にいるナナフシには毒のあるものはなく、触っても問題ありません。
最後に
ナナフシは虫の中でも人気のある昆虫で、飼いやすいです。
あなたも飼ってみてはいかがですか?