クマノミとイソギンチャクの関係は相利共生?それとも片利共生?

クマノミという海水魚をご存知でしょうか?クマノミが有名になったのは、ディズニーのアニメ映画「ファインディング・ニモ」です。この映画を観てクマノミを知った方も多いのではないでしょうか。

ここでは、クマノミの特徴である、イソギンチャクとの共生や性転換などについて記載しています。

クマノミの生態、特徴

クマノミの生態

クマノミはスズメダイ科に分類される海水魚です。世界的には28種類の存在が知られていて、日本近海ではこのうちの6種類が確認されていています。

ほとんどはインド洋、紅海、西太平洋の浅瀬に生息していて、日本近海では奄美大島以南で見ることができます。種類にもよりますが、雄では10 cm程度、雌では15 cm程度まで成長します。雑食性で、動物プランクトンや藻類を食べます。昼行性です。

クマノミの寿命

寿命は自然界では10年程度ですが、飼育環境に大きく左右されるので、上手に飼育できた場合には15~20年生きる場合もあるようです。

クマノミは性転換して繁殖する

クマノミは一夫一妻制です。クマノミは、イソギンチャクと共生し、そのすぐ側にある岩に卵を産みつけます。クマノミは卵からふ化した後、集団でイソギンチャクをすみかとして生活します。クマノミは、基本的には全てオスです。

その集団のクマノミの中で一番大きいものがメスになり、次に大きいのが成熟したオスになります。このオスとメスがカップルになり、繁殖活動を行い、メスが産卵して、卵の世話はオスがおこないます。

一番大きなメスが卵をたくさん産んで、たくさんの卵を残すことで子孫を残すようになっているのです。他のクマノミは全てオスですが、未熟な状態で繁殖行動をしません。

メスが死ぬと、オスがメスに性転換し、3番目に大きかったものがオスとして成熟して、再びオスとメスのペアができ、繁殖活動を行います。この性転換を起こすプロセスについてはまだ十分解明されていません。

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なぜイソギンチャクはクマノミを襲わないの?

イソギンチャクはクラゲやサンゴなどと同じ刺胞動物の一種です。

刺胞とは、触手の表面に密集している細胞のことで、ここには刺糸と呼ばれる針と毒液が入っています。

そして触手が何らかの刺激を受けると、この刺胞から刺糸が飛び出し、毒液が発射されます。

小型の魚がイソギンチャクの触手に触れてしまうと、刺胞から飛び出た刺糸に刺され、毒液が体を回って麻痺させられてしまいます。

そして、生きたままイソギンチャクに食べられてしまうのです。

しかし、クマノミはイソギンチャクの触手の林の中で、まるで自分の家のようにして暮らしているのです。

クマノミがイソギンチャクに襲われない理由はクマノミの体を覆っている粘液に秘密があります。

ほとんどの魚の体表面の粘液は中性ですが、イソギンチャクの粘液は酸性です。

イソギンチャクは自分の粘液とは異なる性質のものに触れると、反射的に触手が反応して刺糸が飛び出す習性があり、クマノミはイソギンチャクと同じ酸性の粘液をまとっています。

このためクマノミはイソギンチャクに近づいても、イソギンチャクを外敵だとは思わないので、クマノミを襲わないと考えられています。

クマノミとイソギンチャクの関係は相利共生?片利共生?

クマノミとイソギンチャクの関係は、互いに利益をもたらす相利共生の関係であると広く認識されています。しかし、この関係の具体的なメカニズムを理解するには、両者がどのようにして互いに依存し合っているかを詳しく見ていく必要があります。

イソギンチャクのメリット

イソギンチャクは、クマノミとの共生によって得られるメリットがあります。クマノミはイソギンチャクの触手に残された食べ残しを掃除し、また、クマノミの排泄物はイソギンチャクに栄養を提供します。

さらに、クマノミの活動は水流を生み出し、イソギンチャクの触手に酸素を供給するのに役立ちます。これらの行動は、イソギンチャクの健康と成長に直接的な利益をもたらします。

クマノミのメリット

クマノミにとって、イソギンチャクとの共生は生存戦略の核心部分です。イソギンチャクの毒性のある触手は、クマノミにとって安全な避難所を提供します。

この保護は、クマノミが捕食者から身を守り、繁殖するための安全な場所を確保することを可能にします。また、イソギンチャクの中で生活することで、クマノミは他の魚との競争を避けることができ、食料資源へのアクセスが向上します。

まとめ

クマノミとイソギンチャクの関係は、相利共生の鮮やかな例です。

この関係は、互いにとって生存と繁栄のための重要な戦略であり、自然界の複雑な相互作用の美しさを示しています。

科学的な探究を通じて、これらの生物の生態系内での相互関係の理解を深めることは、私たちにとって自然保護と生物多様性の重要性を再認識させるものです。クマノミとイソギンチャクの間に成立する相利共生は、単に二種間の利益を超え、健全な海洋生態系の維持にも寄与しています。

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