春の訪れを祝う「七草粥」は、春の七草を使ったお粥のことで、この習慣は日本の伝統的な風習の一つです。
春の七草のパックがスーパーマーケットで販売されているため、手軽にこの風習を楽しむことができます。
ただし、多くの人々は七草粥をいつ食べるべきか、また七草粥の意味や春の七草の内容について詳しく知らないかもしれません。
この記事では、七草粥の歴史的背景や春の七草の詳細、そして七草粥の調理方法についても解説していきます。
七草粥とは?いつ食べる日?
七草粥とは?目的や食べる日はいつ?
「七草粥」というのは、1月7日に伝統的に「春の七草」と称される七種類の草を混ぜたお粥を頂く慣わしを指します。
かつては、この七草粥を摂ることで悪霊を追い払い、様々な病気から身を守ると信じられていたのです。
現代では、年末年始の豪華な食事によって疲れた胃を休めるためにも役立つとされています。
新暦での1月7日に七草粥を食べるのが普通ですが、1月17日の小正月や2月7日に食べる習慣がある地域も存在します。
春の七草の種類、意味は?
春の七草として知られる七種の草は、「ナズナ(別名:ペンペン草)、ゴギョウ(母子草)、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(大根)」を含みます。
特に、「ホトケノザ」は一般的には紫の花を咲かせるシソ科の植物として知られていますが、春の七草における「ホトケノザ」はキク科の「コオニカタビラ」という植物の別称です。
さらに、ナズナ(撫でて汚れを払う)、セリ(勝負に競り勝つ)、ハコベラ(はんえいがはびこる)など、縁起の良い意味がある草もあります。
ナズナやハコベラは現在でも道端や畑の畦でよく見かける植物です。
また、スズナやスズシロは昔は葉を利用していましたが、今日では一般的に食される根部分も利用されます。
春の七草の起源は、室町時代に将軍「足利義詮」の命により編纂された「源氏物語」の注釈書「河海抄」に記された「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞななくさ」という和歌に由来するとされています。
この七五調の和歌は、春の七草を覚えるのに役立ちます。
なお、秋の七草など他の季節の七草もありますが、食用として利用されるのは春の七草だけです。
七草粥はいつから食べられている?風習の由来や歴史
七草粥の起源は、中国の伝統に根差しているとされています。
中国では古くから、元日から1月7日にかけて毎日異なる動物を割り当て、占いを行う習慣がありました。
例えば、1月1日は鶏、2日目は犬、そして1月7日は人間をあてはめて、「人日の節句」と呼ばれ、「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という七種の野菜を含む温かいスープを食べ、健康と長寿を願っていました。
日本では、正月に若菜を摘むという独自の風習がありました。
この日本の伝統と中国から伝わった「人日の節句」が融合し、1月7日に若草を使ったお粥を食べる習慣が生まれたと考えられています。
旧暦での1月は春の始まりを意味し、若菜は冬の間に不足しがちなビタミンを補う重要な食材でした。
昔の人々は、七草粥を通じて春の訪れを感じ取っていたことでしょう。
この七草粥を食べる習慣は、平安時代中期に宮廷で始まり、江戸時代には一般の人々の間にも広がっていったと言われています。
七草はいつ用意するの?作り方や食べ方は?
通常、七草粥は1月7日の朝に食べることが多いです。
ただ、朝の忙しい時間にお粥を作るのは、学校や仕事への準備で大変かもしれません。
このため、春の七草の調達方法や七草粥の手軽な調理法についてご紹介します。
七草はどうやって入手する?
最近では、スーパーマーケットで七草のセットが売られていることが多く、その中には小さなカブやダイコンも含まれており、見るだけで楽しい気分になります。
子供たちと一緒に七草の和歌を歌いながら、「これがハコベだよ、こっちはナズナだね」と教えるのも良いでしょう。
七草が全て揃っていなくても、カブやダイコンの葉を使っても美味しいお粥を作ることができます。
近くにスーパーマーケットがない場合は、オンラインスーパーやフリーズドライされた七草セットを購入する選択肢もあります。
七草粥の簡単な作り方
通常、お粥は生の米から作るのが基本ですが、火の調節が難しく、時間もかかることがあります。
簡単に作れる方法としては、お湯を沸騰させて白だしを加え、余ったご飯を入れて温めた後、最後に七草を加える雑炊風のお粥がおすすめです。これなら体もすぐに温まります。
この方法は残ったご飯の活用にもなり、わずか10分程度で完成するので手軽です。
七草粥の食べ方や献立
七草粥には通常、塩味が一般的です。
朝食として提供する際には、佃煮や煮魚、おせち料理の残りである昆布巻きなどを添えると、栄養バランスが良くなります。
七草は長く煮すぎずに、その新鮮な香りを楽しむのがポイントですが、子供たちには青臭く感じられることもあります。
その場合、ごま油を少し加えたり、そぼろや卵をトッピングすると、子供たちも食べやすくなります。
また、中華風のスープの素やコンソメを使ってお粥を作ると、子供たちにも好まれる味わいになります。
まとめ
七草粥はお正月の行事の中では控えめな存在かもしれませんが、その背景や起源を知ると、古来から人々が健康と長寿を願ってきたことが理解できます。
さらに、子どもたちにとっては、食べられる野草が新しい発見となるかもしれません。
食育の一環としても素晴らしいので、新年には子どもたちと一緒に七草粥を作ってみることをお勧めします。