セイタカアワダチソウの花粉はアレルギーの原因ではない!真犯人は?

花粉症といえば、春のスギやヒノキのイメージが強いのですが、実は秋にも原因となる花粉は飛んでいます。

その秋の花粉の原因に間違えられるのが、セイタカアワダチソウです。

セイタカアワダチソウは繁殖力が非常に強く、秋の七草の一つのススキなど、日本の植物の生態系を脅かす存在として知られています。

ここでは、秋の花粉の本当の原因がセイタカアワダチソウではないことやセイタカアワダチソウの繁殖力、駆除の方法などについて記載しています。

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セイタカアワダチソウの生態

セイタカアワダチソウは、キク科アキノキリンソウ属の多年草で、北米が原産の帰化植物で、本来は日本には自生していませんでした。

北アメリカ原産で、日本では明治時代に切り花用の観賞植物として導入された外来種で、第二次世界大戦後に、北九州に進駐したアメリカ軍の貨物に混じっていた種子から日本全国に広がったといわれています。

北は北海道の一部から南は沖縄まで広く生息し、河原や空き地などに群生し、高さは1 ~ 2.5m、良く肥えた土地では3.5 ~4.5m程度にもなることがあります。

8月から11月頃に濃い黄色の鮮やかな花を多く付け、種子だけでなく地下茎でも繁殖します。

セイタカアワダチソウの花粉はアレルギーの原因ではない

秋の花粉症やアレルギーの原因はセイタカアワダチソウ?

秋に飛ぶ花粉は、春とは違い雑草によるものが多く、スギやヒノキのように遠方まで飛ばないので、影響を受ける人はそう多くはありません。

秋の雑草の中で花粉症やアレルギーの原因となる花粉を飛ばす植物は、セイタカアワダチソウと思っている人がいるかもしれませんが、これは間違いです。

セイタカアワダチソウはハチやアブなどの虫を媒介として、受粉が行われる虫媒花の植物であって、風に花粉をのせて飛ばす風媒花の植物ではありません。

セイタカアワダチソウの花粉は量が少なく、重さも重いので、風に飛ぶようにはなっていないのです。

セイタカアワダチソウの花粉は花粉症、アレルギーの原因とはならないのです。

秋の花粉症、アレルギーの真犯人はブタクサ

セイタカアワダチソウと開花時期が重なるブタクサがあります。

ブタクサはスギやヒノキと同じく、風で花粉が飛ぶ風媒花の植物で、花粉症やアレルギーの原因となります。

ブタクサは全国的に分布しており、セイタカアワダチソウと同じく、秋に黄色の花を咲かせ、同じくらいの背丈で、川沿いや道端などに自生しています。

このようなことから、セイタカアワダチソウがブタクサと間違えられ、花粉症、アレルギーの原因を作っていると思われているのです。

ブタクサは、国内ではスギ、ヒノキに次いで花粉症の患者数が多いとされています。

スギやヒノキに比べて背が低いので、飛散距離は短く、近づかなければその被害から避けられます。

それでは、セイタカアワダチソウとブタクサはどこが違うのでしょう?

セイタカアワダチソウとブタクサの見分け方

花の色の濃さ

出典:http://goldfishbox.net

セイタカアワダチソウの方がブタクサに比べて、花の色が濃くて鮮やかです。

ブタクサの花は、セイタカアワダチソウより色が薄くて、目立ちません。

上の画像が、セイタカアワダチソウ、下の画像がブタクサです。

出典:http://goldfishbox.net

葉の形

ブタクサはシダ植物のような葉の形をしていますが、セイタカアワダチソウの葉は流線形になっています。

セイタカアワダチソウの驚異の繁殖力

セイタカアワダチソウは、種子以外に地下茎によっても繁殖します。

セイタカアワダチソウの地下茎

花が枯れるとしばらくして地上の茎が枯れますが、地下の根茎から新たな栄養個体ができてきます。

この地下部の栄養繁殖が盛んなことがセイタカアワダチソウの繁殖力の主な原因です。

セイタカアワダチソウの種子

一株に5万個もの種子をつけ、それがタンポポのような綿毛で風に舞って泡立つように見え、草丈が高いことからセイタカアワダチソウと命名されました。

1m2に100本という高密度で生え、1m2では500万個もの種子をつけ、これが風にのっていたるところに散布されます。

セイタカアワダチソウのアレロパシー

セイタカアワダチソウにはアレロパシー(他感作用)という働きを持っています。

アレロパシーとは、周囲の植物の成長や種子の発芽を阻害する作用のことです。

セイタカアワダチソウの根にはcis-DME(シス-デヒドロマトリカリエステル)という植物の発芽や成長を阻害する物質が含まれていて、それを分泌することによって、周囲の植物を攻撃するのです。

この働きにより、一時期セイダカアワダチソウと同じ環境に生えていた、ススキなどの居場所がどんどんなくなっていきました。

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セイタカアワダチソウの自家中毒

セイタカアワダチソウが何年も生えていると、地中にアレロパシー物質が溜まってきます。

このアレロパシー物質は、他の植物だけでなくセイタカアワダチソウ自身の発芽、成長を抑えてしまいます。

セイタカアワダチソウは自家中毒を起こして生育が抑えられ、ついには自滅してゆきます。

セイタカアワダチソウの勢いがかつてほどなくなってきているのは、この自家中毒が原因と考えられています。

セイタカアワダチソウの駆除

手で引き抜くことによるセイタカアワダチソウの駆除は難しいです。

セイタカアワダチソウは地下50cmくらいの深さまで根を張り、地下茎で増殖していくので、地上に見える部分を抜き取っても根が残っていればまた生えてきてしまうためです。

最も手間も費用も少なくてすむ駆除方法はグリホサート系の除草剤を使用する方法です。

有名なものではラウンドアップ、また、同じ性質で安価なサンフーロンもオススメです。

これらの除草剤は葉から浸透し根まで枯らすタイプの除草剤なので、セイタカアワダチソウの駆除に向いています。

まとめ

秋の花粉症やアレルギーの原因となる植物は、セイタカアワダチソウではなくブタクサです。

セイタカアワダチソウは花の色、生息場所、開花時期などがブタクサと似ているため、よく間違えられます。

セイタカアワダチソウの花は、虫媒花のため花粉は飛びません。

セイタカアワダチソウは、作る種子の数の多さ、地下茎の栄養繁殖、アレロパシーによる、驚くべく繁殖力をもっていたため、ススキなどの植物の生態系を脅かしてきました。

しかし、そのアレロパシーによる自家中毒を起こし、かつての勢いはなくなってきています。

セイタカアワダチソウの駆除は、手作業では難しく、根まで枯らすグリホサート系の除草剤による方法がおすすめです。

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