新年を迎える際、日本の家庭では様々なお正月飾りが用いられます。
これらの正月飾りはいつ外せばいいのか、またどのように処分するのが適切かは、意外と知られていないものです。
お正月とはどんな行事?
お正月は、日本の新年を祝う伝統的な行事で、毎年1月1日に始まり、元旦から数日間続きます。
この期間は家族が集まり、新年の幸運と健康を祈願します。伝統的な飾り付けには門松や鏡餅があり、これらはそれぞれ長寿と繁栄を象徴しています。
おせち料理という特別な食事もこの時期に楽しまれ、それぞれの料理には独特の意味が込められています。
また、初詣として神社や寺院を訪れ、新年の願い事をする習慣もあります。
お年玉として子どもたちにお金を贈る風習もあり、これは一年の幸運を願う意味があります。
お正月は日本文化の中で非常に重要な位置を占め、家族の絆を深め、新しい年の始まりを祝う特別な時です。
お正月飾りの持つ意味
新年の装飾は、新しい年に訪れる神様を歓迎し、その神様が滞在中に宿る場所を提供するための伝統的な飾りです。
これらの飾りは、地域や家庭によって多少の違いはありますが、一般的には、しめ縄、鏡餅、門松という三つの主要な要素で構成されています。
以下では、これら各々の装飾が持つ特別な意味について詳しく解説いたします。
しめ飾り
しめ飾りは、神社でよく見られる「しめ縄」と呼ばれる注連縄に、紙垂(しで)、裏白(うらじろ)、ゆずり葉などを加えて装飾したものです。
これは「清浄で神聖な空間」を象徴し、年神様を歓迎する目的で設置されます。
この飾りは、現世と神々の領域を分ける境界の役割を担っており、門松と同じく家の入口、特に玄関に設置されることが多いです。
しめ飾りは、神域への入口としての意味を持つため、通常はやや高めの位置に掛けられます。
しめ飾りに使用される各種の装飾品には、それぞれ特別な意味が込められています。
以下で、これらの装飾品の意味について簡単に説明します。
【裏白(うらじろ)】
裏白は、シダ植物の一種です。この名前は、葉の裏面が白いことに由来しています。
この特徴的な外見は、純粋な心を象徴するとされ、また、葉の左右対称の形状は夫婦間の調和と円満を意味するとも考えられています。
【紙垂(しで)】
しめ縄に添えられる白い紙の飾りを指します。これは神聖な空間を明示し、区別する役割を持っています。
【ゆずり葉】
植物の葉は、古いものが落ちた後に新しい葉が生える性質を持っています。
この自然のサイクルは、「家督を譲る」という概念に関連づけられ、子孫の繁栄と継続を願う意味が込められています。
門松
門松は、新年に現世を訪れる年神様を歓迎し、邪気を避けるために設置される伝統的な飾りです。
この飾りは、神様を迎え入れる目的があるため、通常は家の入口、特に玄関の外側に一対で設置されます。
ただし、マンションなどの共有スペースでは設置が難しい場合、玄関の内側に置いても構いません。
門松には名前が示す通り「松」が使用され、これはその常緑性から生命力や長寿のシンボルとされています。
また、「松」は「祀る」という言葉と音が似ているため、神様を祀る木としても適しているとされます。
伝統的には松のみを使った「松飾り」が主流でしたが、時代と共に竹や梅が加わるようになりました。
竹はその速い成長と直立する姿から長寿や繁栄を象徴し、梅は新春に花開くことから新年の始まりを祝う縁起の良い植物として取り入れられています。
鏡餅
日本の伝統において、鏡は神様が宿るものとされてきました。
鏡餅は、この神聖な鏡を丸いお餅で象徴し、訪れた神様の宿り木となる装飾品です。
その丸い形は、三種の神器の一つである「八咫鏡(やたのかがみ)」に由来しています。
鏡餅はどの部屋にも飾ることができ、特に神様を迎えたい場所に設置するのが一般的です。
鏡餅は通常、大きいものと小さいものの二つのお餅を重ねて作られ、これは「年々円満に」という願いを表しています。
また、この二つのお餅は陰陽や太陽と月を象徴しているとも言われています。
鏡餅の上に乗せられるオレンジ色の果物は、橙(だいだい)で、「代々」という言葉遊びを通じて、家族が代々繁栄することを願う意味があります。
ただし、最近では橙の代わりにみかんを使うことも一般的です。
お正月飾りを飾るタイミング
お正月の飾りつけは、12月13日の「正月事始め」から始めることができます。
この日は、年神様を迎える準備を開始する日であり、伝統的にはこの日に行われる大掃除を「すす払い」と称します。
最近では、クリスマスが終わる12月25日以降にお正月の飾りつけを始めることが多くなっています。
特に、縁起が良いとされる末広がりの「八」が含まれる12月28日や、区切りが良い12月30日に飾ることが推奨されています。
しかし、不吉な「二重苦」を連想させる12月29日や、葬儀に関連づけられる「一夜飾り」となる12月31日の大晦日に飾るのは避けるべきです。
しめ飾りなどのお正月飾りはいつ外せばいいの?
門松やしめ飾りは、「松の内」と称される期間中はそのまま飾っておくことができます。
松の内は、正月の準備が始まる日から神様が帰られるまでの期間を指し、その終わりは地域によって異なります。
例えば、関東、東北、九州では1月7日が松の内の終わりとされ、関西では1月15日(小正月)までとすることが一般的です。
しかし、沖縄では旧暦の1月14日に飾りを片付け、一部地域では1月20日(二十日正月)まで飾り続ける習慣もあります。
鏡餅に関しては、1月11日の鏡開きまで飾るのが通例です。
鏡開きの日には、鏡餅を割ったり取り出して、お雑煮などの料理に使用します。
ただし、地域によってはこの日が異なり、関西では1月15日や20日が鏡開きとされることもあります。
特異な例として、京都では1月4日に鏡開きを行い、門松やしめ飾りを片付ける前に鏡餅を食べる習慣があります。
お正月飾りの処分方法
松の内が終わった後に取り外したお正月飾りは、一般的には神社への奉納を通じて処分されます。
一見もったいないように思えるかもしれませんが、お正月飾りを再利用することは神様に対する不敬とされているため、避けるべきです。
多くの神社や地域では、1月15日の小正月に「どんどん焼き」、「どんど焼き」、または「左義長(さぎちょう)」と呼ばれる伝統的な火祭りを行い、そこで飾りを焚き上げることが適切な処分方法とされています。
ただし、沖縄では旧暦の1月14日に飾りを片付け、一部地域では1月20日の二十日正月まで飾り続ける習慣もあります。
自宅で飾りを燃やす場合は、まず庭の土地を塩やお酒で清め、その上で飾りを焼くのが望ましいです。
焼け残った灰は、新聞紙に包んで処分しましょう。もし「どんどん焼き」などの行事に参加できない、または自宅での焼却が不可能な場合は、自治体の規定に従って一般ゴミとして処分しても構いません。
ただし、他のゴミと一緒に捨てるのは避け、塩やお酒で清めたり、半紙で包んだりして、他のゴミとは別に処分することが推奨されます。
まとめ
お正月の飾りには、それぞれ特別な意義があります。
飾る時期や片付ける時期には、地域による違いはあれど、一般的な慣習が存在しますので、これらを適切に守ることが大切です。
これらの飾りは、年神様を自宅に迎え、一年間の幸福や健康を祈願するための重要な役割を果たします。
神様に対して失礼がないよう、お正月飾りの正しい飾り方や処分方法を学ぶことをお勧めします。
ただし、沖縄では旧暦の1月14日に飾りを片付け、一部地域では1月20日の二十日正月まで飾り続けるなど、地域によって異なる慣習がある点にも注意が必要です。