日本では、信号機の色は赤・青・黄の3色ですが、海外においても、多くの国で信号の色は赤・青または緑・黄の3色を採用しています。
赤・青・黄が使われているのには、深い理由があるのです。
ここでは、信号機の色が、赤・青・黄になっている理由や、色の配列が左から青・黄・赤の順番に並んでいる理由についても記載しています。
信号機の色はなぜ赤・青・黄なの?
赤…止まれ
赤が「止まれ」を意味するのは、赤は人間にとって目立つ色であり、これを見る人間に注意を喚起します。
危険を知らせる「止まれ」に赤が採用されているのには、物理的な理由があります。
危険を知らせる色が、霧や塵によって、見えなくなっては大変なことになります。
赤は、他のどの色よりも遠くからよく見える色なのです。これは、赤の光が空気中の塵や水蒸気によって乱されにくいからです。
私たちが、目でみることができる可視光線の色は、紫、青、…、黄、橙、赤で、このうち、赤は波長が最も長い色です。
物理学でレイリー散乱というのがあり、微粒子によって光が乱される割合は、光の波長の4乗に反比例するという法則があります。
赤は一番波長が長いので、可視光の中では、一番散乱が少なく乱されにくいので、水蒸気や塵などによって減衰しにくく、遠くまで届くのです。
赤の光が水蒸気や塵で乱されにくいことは、夕陽が赤く見える説明に利用されます。
夕方、太陽の光は地球の大気に斜めに入り、斜めの分だけ大気中を移動する距離が長くなり、大気の塵などにより進行を乱されます。そこで、波長の短い青や緑などは途中で減衰してしまいますが、波長が長い赤の光は減衰が少なく、夕陽となって太陽が赤く見えるのです。
青…進め
赤と同様、青が「進め」に採用されたのには理論的な理由があります。
赤と青は識別しやすい色だからです。
色の三要素の一つに色相があります。色相とは、赤、青、緑、黄などの色味の違いのことをいい、色の違いを環状に並べたものが色相環で、この環で遠くに位置する色どうしは、区別がつきやすいのです。
青は、赤とは色相環のほぼ反対に位置し、遠くからでも赤との区別がつきやすいので、信号機の「進め」の色として採用されたと考えられます。

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黄…但し書き付の止まれ
「但し書き付の止まれ」を表わすのに、黄色が使われる理由も色相環で説明がつきます。
赤や青と一番遠く離れた色は、この色相環でいうと黄なのです。このため、遠くからでも赤や青との区別が付きやすいのです。
青信号は緑色なのになぜ青信号なの?
今まで「進め」は青信号と記載してきましたが、よく見るとその色は緑色に近いように見えます。
日本で初めて信号機が設置されたのは1930年ですが、法令上では緑信号とされていました。
その当時の信号機の色はやや濃い緑を使っていたようです。
その緑を青と呼ぶ理由は、日本語の青が表す範囲の広さにあるようです。
日本語では、青野菜、青物、青葉など緑色のものを青と呼ぶことが多く、緑信号を青信号と表現するようになったようです。
1947年には、青信号という呼び名が一般に定着したことから、法令でも青信号と呼ぶようになりました。
さらに1973年以降に作られた信号機は、それまでの緑より、より青に近い色に変わっていきました。
信号機の並んでいる色の順番が青・黄・赤なのはなぜ?
交差点に設置されている横型の信号機では、左から青・黄・赤の順番に並んでいます。
日本では、一般的に車は右ハンドルのため、ドライバーは車の右側に座るので、信号機で重要な色の赤を道路の端から中央寄りに置くことで、ドライバーが赤信号を見やすくしているのです。
また、道端の看板や街路樹の枝で、信号の左側が見づらくなっても、右側の赤信号は影響されにくいという効果もあります。
まとめ
信号機の色に赤、青、黄が採用されている理由は以下のように考えられます。
赤が「止まれ」を意味するのは、赤は人間にとって目立つ色であり、これを見る人間に注意を喚起するからです。
「進め」を表す青は、色相環で赤と反対側にあり、赤との区別がつきやすいのです。
「但し書き付の止まれ」を表わす黄色も色相環で、赤、青と一番遠く離れた色のため、区別がつきやすいです。
信号機の緑が青信号と呼ばれるのは、日本では青物、青葉など緑色のものを青と呼ぶ場合が多く、日本語の青という言葉の範囲の広さにあるようです。
横型信号機の色の順番が左から、青、黄、赤と並んでいるのは、車の右側に座るドライバーが信号機で一番重要な赤を見やすくし、道端の障害物があっても、右側の赤信号に影響されにくくするためです。
以上、信号機の色が、赤・青・黄になっている理由や、色の配列が左から青・黄・赤の順番に並んでいる理由についても説明しました。