空はなぜ青いの?|レイリー散乱が関係


空が青く見えるのは、子供の頃から誰もが抱く素朴な疑問ですが、はっきりと答えられる人は、あまりいないのではないでしょうか。

ここでは、空がなぜ青く見えるのか、また、夕日が赤く見える理由についても記載しています。

スポンサーリンク

空が青く見えたり、夕日が赤く見えるのは、太陽光の散乱が関係しています。

空はなぜ青いの?

太陽光の波長

太陽の光には、赤外線や人間の目で感じることができる可視光線、紫外線が含まれています。

人間が見ることができる可視光の波長は、ほぼ 380nm ~780nm (nmは10億分の1メートル)の間にあり、赤から紫までのあらゆる色の光を出しています。

この赤から紫までの全ての色の光を混ぜると白色になります。これが白色光と呼ばれる太陽光の光です。

可視光線の中で、紫や青は波長が短い光で、赤や橙は波長が長い光です。

(波長が短い)紫-藍-青-緑-黄-橙-赤(波長が長い)

出典:http://www.my-craft.jpから一部変更

太陽光の散乱

光が物体にあたると、反射、透過、散乱などさまざまな現象が起きます。

物体の表面が滑らかな場合は反射が起こりますが、物体の表面がデコボコの場合は、光の方向が不規則に変わり、四方八方へ散らばる散乱が起こります。

レイリー散乱

地球は厚さが500kmほどの大気層に被われています。

大気層の窒素分子や酸素分子の直径は0.2nm以下で、光の波長(380~780nm)よりはるかに小さな粒子です。

光の波長に比べて窒素分子や酸素分子のような小さな物体に光があたると、散乱の度合いが波長によって大きく異なるレイリー散乱が起きます。

太陽から発生した太陽光は地球の大気層に突入すると、大気層の窒素や酸素分子によって散乱されることになります。

レイリー散乱では、光の波長は短いほど散乱されやすくなり、光の散乱量は波長の4乗に反比例します。

赤色光の波長が青色光の波長の約2倍とすると、青色光は赤色光の約16倍も散乱されやすくなります。

太陽光のうち、赤、橙のような光は波長が長いのであまり散乱されずに空気の中を通り抜けますが、波長の短い紫や青の光は窒素や酸素分子に当たって散乱されやすくなります。

その結果、空のどの方向を見ても散乱された紫や青の光が目に届き、空全体が青く見えるのです。

もし上空に空気がないと、光は散乱されず直進するので、昼間でも太陽の方向のみが明るく、空全体が明るくなることはありません。

ロケットに乗って大気圏の外から 空を眺めると、そこでは空気による光の散乱が起こらないので昼間でも空は黒く見えるはずです。

なぜ紫ではなく青いの?

可視光線の中で波長の一番短い色は紫なので、紫の方が青より散乱されて空は紫色に見えるはずですが、実際には青く見えます。

人間の眼が感じることのできる可視光線の波長は380nm~780nmですが、波長によって感じ方が異なります。

波長の短い側から順に紫、藍、青、…、橙、赤と波長ごとに色を順に並べたものを光のスペクトルと呼びますが、明るい場所ではスペクトルの中央付近の波長555nmの黄緑色の感度が最大になります。

この555nmの明るさの感度の程度を1 として、他の波長の明るさ感を比較値で表したものが比視感度です。

スペクトルの端の波長の光ほど感度は悪くなります。

出典:http://sci.tea-nifty.com


光のスペクトルの端に位置する紫色は感度が悪く、紫に対する感度は青の10分の1程度です。

青の波長よりも紫の波長の方が空気中に多く散乱しているにも関わらず空が青く見えるのは、人間の目が紫色よりも青色をとらえているからです。

虹の中で紫色が最も目で確認しづらいのも同じ理由です。

以上の理由から空は紫ではなく青く見えるのです。

スポンサーリンク

夕焼けが赤い理由

本来、太陽の光は白色のはずですが、夕日になると、なぜ黄色や橙など赤っぽく見えるようになるのでしょうか?

夕方には、太陽の高さは低くなり、水平に近い位置から光が射してきて、太陽光は大気に対して浅い角度で入射するので、太陽光が大気層を通過する距離が長くなります。

太陽の光は地球の大気層を通り抜けて地上に届きますが、波長の短い青や紫色の光は空気の分子などによって散乱されて一部が失われてしまいます。

昼間の太陽は頭上にあるので、光が通過する大気の層の距離は短く、青系統の光の散乱により失われる量は少ないですが、夕日になると太陽光が大気層を通過する距離が長くなるので、波長が短い青や紫の系統の光は昼間より多く失われてしまいます。

このため地表に届くときは、波長の長い橙、赤の光の割合が多くなり、夕日は橙、赤などに見えるようになるのです。

朝日が橙、赤に見えるのも同じ理由です。

まとめ

太陽光が大気層の窒素や酸素分子にあたると、レイリー散乱が起こります。

レイリー散乱は光の波長に比べて、小さな物体にあたったときに起こります。

レイリー散乱では、波長の短い紫や青色の光は散乱されやすくなり、空のどの方向を見ても散乱された紫や青の光が目に届き、空全体が青く見えるのです。紫が見えないのは、人間の眼の紫の比視感度が青より悪いためです。

夕日になると、太陽の光は大気の層を斜めに通過するので距離が長くなり、散乱により波長が短い青系統の光は昼間より多く失われ、地表では、波長の長い橙、赤の光の割合が多くなり、夕日が橙、赤などに見えるようになるのです。 これは朝日でも同じです。

以上、空が青く見える理由や夕日が赤く見える理由についてご紹介しました。

スポンサーリンク

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました