台風のシーズンになると、天気予報でよく耳にするのがヘクトパスカルという言葉です。
昔はミリバールを使っていましたが、どう違うのでしょうか?
台風のヘクトパスカルの意味
地球は地上から上空約100kmまでは大気という空気の層に包まれています。
1cm四方の地面に乗っている空気の重さは、約1kgです。
大気を乗せた地面は大気から圧力を受けていて、これを大気圧と呼びます。
私たちが暮らす標高0mの大気圧の平均を1気圧としています。
圧力はパスカル(Pa)という単位を使って表します。
1気圧は、101300パスカルです。このままでは数字が大きいので、パスカルの100倍のヘクトパスカルに換算して1013ヘクトパスカルになります。
1気圧=101300パスカル(Pa)=1013ヘクトパスカル(hPa)
ヘクトは、キロ(103=千倍)、メガ(106=100万倍)、ギガ(109=10億倍)、テラ(1012=1兆倍)と同じように、単位の頭につける記号で、100倍という意味です。
Paという単位は、流体における圧力の伝わり方に関する基本原理「パスカルの原理」を発見し、「人間は考える葦である」という名言を残した、フランスの物理学者パスカルに由来しています。
このような圧力に関するパスカルの業績をたたえ、1971年に国際単位系でパスカル(Pa)という圧力の単位が正式に採用されました。
ヘクトパスカルとミリバールの違い
少し年配の方なら、台風などの気圧は昔、ミリバール(mb)という単位を使っていたと記憶されていると思います。
第二次世界大戦後、日本では圧力の単位はミリバールが使われていました。
しかし、1992年に国際標準に合わせるために、日本でも圧力の単位はミリバールからヘクトパスカルに変更されました。
単位が変更されると換算が必要となりますが、ミリバール(mb)とヘクトパスカル(hPa)は同じ値となるので換算は不要です。
1 気圧(標準大気圧)
= 1013mbar(ミリバール)
= 1013hPa(ヘクトパスカル)
= 101300 Pa
台風の定義とヘクトパスカルの関係
一般的に熱帯低気圧の中心付近の最大風速が17m/s以上になると台風となります。
台風はヘクトパスカルでは定義されていませんが、大体、熱帯低気圧の中心付近の気圧が大体990hPaより低くなると台風になるようです。
台風の強さや大きさの目安
台風の勢力を決めるのは、風の強さや大きさです。
風の強さの目安は中心付近の最大風速、大きさの目安は風速15m/s以上の半径で決められており、ヘクトパスカルの数値で決まれているのではありません。
風の強さの目安
階級 | 最大風速 |
強い | 33m/s~44m/s |
非常に強い | 44m/s~54m/s |
猛烈な | 54m/s以上 |
大きさの目安
階級 | 風速15m/s以上の半径 |
大型 | 500km~800km |
超大型 | 800km以上 |
過去に上陸した時のヘクトパスカルが低い台風
台風の勢力は、ヘクトパスカルの数値で規定されていませんが、ヘクトパスカルの数値が低いほど台風の勢力は強くなります。
日本に過去に上陸時にヘクトパスカルの数値が低い台風は以下のようなものがあります。

出典:wikipedia
過去の被害が大きかった台風
昭和以降に多くの台風によって日本は被害を受けてきましたが、その中でも特に被害の大きかった室戸台風、枕崎台風、伊勢湾台風の3個の台風は昭和の三大台風と呼ばれることがあり、いずれも死者、行方不明合わせて3千人以上の犠牲者を出しました。
室戸台風
1934年9月21日に高知県室戸岬付近に上陸し、室戸岬で911.6hPaを観測しました。
上陸後は関西を縦断して北陸地方へと達し、各地に被害が発生しました。
死者2702人、行方不明334人、負傷者14994人
枕崎台風
1945年9月17日に鹿児島県枕崎付近に上陸し、枕崎で最低海面気圧916.3hPaを記録しました。
死者2473人、行方不明1283人、負傷者2452人
伊勢湾台風
1959年9月26日に和歌山県潮岬付近に上陸し、最低海面気圧929hPaを記録しました。
紀伊半島を横切り、伊勢湾へ抜けたのち、愛知県に再上陸後、本州を縦断しました。特に伊勢湾では、台風の中心気圧の低さによって海面が吸い上げられ、その他の悪条件が重なり記録的な高さの高潮が発生し、伊勢湾沿岸での被害は特に大きく、記録的な大惨事となりました。
死者4697人、行方不明401人、負傷者38921人
その他の詳細は気象庁の下記ホームページで確認することができます。
なぜヘクトパスカルの数値が低くなるほど台風の勢力は強くなるの?
水は高いところから低いところへ流れます。
空気は水と同じ流体なので、気圧差のあるところでは気圧が高いところから低いところへ流れます。
高気圧と低気圧はその気圧の数値で決まっているのではなく、周辺の気圧と比べて気圧が
高いか低いかで 高気圧か低気圧かが決まる相対的なものです。
高気圧は風の吹き吹出し口であり、低気圧は風の吸い込み口です。
水路の傾斜が大きいと、水の流れが速くなるように、気圧差が大きいと風の流れは強くなります。
台風の周囲は高気圧で日本付近の標準的な気圧は1013hPaで、台風の中心気圧が低いほど台風の等圧線の間隔は狭くなります。
等圧線の間隔が狭くなると、気圧の勾配が大きくなるので、空気が流れる速度=風速が強くなるのです。
このため、ヘクトパスカルの数値が低くなるほど台風の勢力は強くなる傾向にあるのです。
まとめ
台風のシーズンになるとよく耳にするヘクトパスカルは気圧(圧力)の単位です。
かつて気圧の単位はミリバールでしたが、世界標準に合わせるため、1992年にヘクトパスカルへ変更されました。ミリバールとヘクトパスカルでは数値が同じなため、換算する必要はありません。
台風の定義、勢力はヘクトパスカルでは規定されていませんが、ヘクトパスカルの数値が低くなるほど、台風の勢力は強くなります。
以上、台風のヘクトパスカルの意味やミリバールとの違いについて記載しました。